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歓声が鳴りやまないが、そんな声にかまけている時間は神崎にはなかった。恐らく、もう控室の目の前には女子生徒たちが大勢待機しているだろう。ここで大勢の目の前でこの学校を去る選択肢が一番穏便なのだろうが、クラスの食事を担当してる為、そんなことをしていたら、時間が絶望的に足りなくなるだろう。
というわけで、神崎は控室で驚くべき速さで制服に着替えていた。その間にも石沢さんは神崎の髪を神業のような速さで戻していた。それが終わるのと同時に生徒会のメンバーの腕章をつける。ここにいる生徒は基本的に生徒会しかいないからだ。
「今回はありがとうございました」
「いいのよ~、私とユウ君の中じゃない、それより早くいかないとどうなっても知らないわよ」
「ははは、そうですね、では、また現場で」
それが終わると神崎はステージの脇に行く。そこには他の生徒会メンバーがステージの片づけをしていた。
軽くそこを取り過ぎると、控室に集まっている生徒たちをしり目に体育館を後にした。
家庭科室に戻ると、若干、涙目の中村七海がいた。
「あ、やっと戻って来た。全く、何でこんな置手紙一つでどっか行っちゃうのよ。ほんとに焦ったじゃない」
中村が見せてきた紙には、30分ほど出かけてくる、その間は作り置きした料理を出してといてくれと書いてあった。
「料理には全然余裕があっただろう」
「それでも、次々に料理がはけて行ったら、焦るじゃない、予想以上にオムライスが出て、なくなりそうになるし」
「誰のせいでそうなったかは簡単に想像つくな」
神崎の頭の中に浮かんできたのは先ほどまでコンサートをしていたアイドルの顔が浮かんだ。
「そんなこと言ってないで、早く料理を作ってよ―――」
「材料はちゃんと買って来てくれるみたいだな、安心しろ、すぐに作ってやる」
そして、あれよあれよと料理は作られていき、1時間もしない内に今日の分の料理が作られることになった。
一方、その頃、体育館の控室前では暴動に等しい感じで人が集まっていた。
「ユウ様を出して」
「早く、姿を現して―ー」
「ユウ様―――――――」
女子生徒たちは本当にユウを出さないと収まらない勢いだった。
「困ったわね~、もうここにはユウ君はいないのだけど~、言っても信じてくれなさそうだし」
「いい案が一つあります、さっきユウ君が使っていた衣装をお借りできませんか、石沢さん」
「別にいいわよ~」
桐野はその衣装を手に取ると、ある人物の前に行った。
「副会長、貴方にこれを着て、逃げ回ってもらいます」
「え、会長、何を言って」
「この混乱を納める為よ、頑張りなさい、これで体育祭の事は水に流してあげるわ、それに陸上部でしょう」
「う」
そう言われると反論できない副会長だった。そして、副会長の地獄の鬼ごっごが始まるのだった。
服を着替えた副会長はステージに出ると、控室に集まってした女子生徒たちから一斉に視線を向けられた。しかし、そんなことに構っている余裕は副会長にはなかった。そのままステージから降りると全力ダッシュで体育館入口まで走る。それにつられ女子生徒たちが副会長に続く。何かを女子生徒たちが言っているが副会長には聞こえなかった。いや、聞きたくなかった。捕まったら、ある意味命はない緊張感の中副会長は全力で走った。
何とか、学校外逃げたわいいが、逃げても逃げても何故か、先回りされ、いつまでたっても終わらない。ここまで女子の執念とは恐ろしいものなのかと副会長は痛感した。
地獄の鬼ごっごはそのまま夕方まで続くことになる、体力的にも精神的にも擦り減った副会長を救ったのは、石沢さんだった。ヘロヘロな副会長を車で先回りして回収することで何とかこの騒動は終わったのだった。この時の副会長には石沢さんが天使に見えたことであろう。




