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公立高校ということもあり、警備員を雇うお金もあるはずもなく、誰でも入れる高校の体育大会で、人が溢れかえっている状況に珍しく桐野は驚いていた。
(予想はしてたけど、予想以上だわ。一応、生徒側と仕切りのロープが張ってあるけど、侵入するのは時間の問題かしら、まぁ、癪だけど、彼女の所には彼がいるから取りあえず安心ね)
「会長、大丈夫ですか?」
桐野は考えに耽っていたので横に居た副会長から心配の声を掛けられてしまった。
「ええ、大丈夫よ」
桐野の予感は的中していた。
神崎の目の前には明らかに体操服ではない者が居た。
「すみませんが、ここはここの学校の生徒以外立ち入り禁止なんですか、どうしてここにいるんですか?」
「いやーそれは・・・」
「道に迷ったのでしょうか?、それならあなた達が来た方向に戻って行けばいいですよ」
返答に困った男たちは自分たちを見渡し、頷きあった。その表情は何時ぞやの犯罪者と同じ顔をしていた。
男たちはいきなり、神崎の後ろに向かって走り出した。
「そう来ると思ったよ」
「どけ――」
しかし、神崎が目の前に立ちはだかる。障害になっているので、思わず、男たちは神崎に殴りかかり、道を開けようとしたが、それが男たちの運の尽きだった。
「はい、正当防衛成立と」
神崎は殴りかかって来た男たちを拳の勢いを使い投げ飛ばした。しっかりと、自分の力も加えて。強く背中を打ち付けた男たちは息も出来ず、のたうち回る。
「お前ら、運んどいて」
「「イェッサー」」
そこに現れたのは琴吹親衛隊だ。勝手に何を作っているんだと言ってやりたい所だが、目的は琴吹を下賤な輩から守ることだけで、やましいことは何もないと神崎に宣言してきたので協力してもらっている。これで本当に琴吹に近づかないので神崎も驚いている。普通なら琴吹の近くにいるので目の敵にしてもおかしくないのだが、やつら曰く、本人から近づいているので問題ないとのことだ。
「これで10人か・・・、はぁ」
「神崎氏、頑張って下さい、我々も人員を増やします」
「まぁ、体育大会に支障が出ない程度に頑張ってくれれば、別にいいさ、俺も次の競技があるから、気を付けてな」
「それはもしかして、二人三脚でしょうか?」
「そうだが」
「いえ、すみません、何でもありません」
本人は何も言わなかったが、何でこんな奴が会長と琴吹に好かれているのかと表情に出ていた。
「いや、俺にもあの2人に好かれているか、分からないよ」
別に本当に神崎はあの2人なら他のいい相手がいると本気で思っている。
「重ねてすみません、顔に出ていましたか、変なことを言わないようにこれで私も失礼します」
そう言って、本当に申し訳なさそうに親衛隊のリーダー神崎の元から去った。
「さて、俺も行くとするか」
そして、神崎は桐野が待つ、テントへと足を向けた。
この前のお詫びです。早く更新できなくて、すみませんでした。




