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神崎が図書館で本を漁っているとポケットから振動が伝わって来た。
読書を止めて、スマートフォンを見ると琴吹から連絡が入っていた。
【急に仕事に休みが入ったので都合が合えば明日、遊べませんか?】
確かに約束もしたし、暇のだが、神崎は何故か悪寒が止まらない。
【何もないので遊べます】
しかし、自分の言ったことは守る神崎であった。
【よかったです、では明日、学校近くの駅に10時集合でお願いします】
【了解しました】
普通の連絡のはずなのに神崎は何故かどっと疲れてしまった。しかし、桐野の様に突然後ろに現れないだけマシと言うのもだ。
そんなことを考えながら、読書に神崎は戻った。
次の日
自分で弁当を作ろうか神崎は考えたが、色々な事態を考え、何も作らず、手ぶらの状態で駅に向かった。
時間に余裕を持ち、30分前に駅に着くように向かうがが何故か人だかりによって道が塞がれていた。それも男子によって、神崎は嫌な予感がしたのですぐに琴吹にスマートフォンで連絡を入れた。
「あ、神崎さん、おはようございます」
「もしかして、人だかりの真ん中にいますか」
「ははは、もしかしなくてもそうです」
その言葉に神崎は頭を抱えたくなった。何故、こいつは人気アイドルという自覚がないんだ。これでは神崎と会った瞬間、週刊誌に取られる可能性があるし、そもそもこれでは会うことすら出来ない。
「仕方ないですね、琴吹さんは今日は何処へ向かうつもりですか」
「え、千葉県にある遊園地だよ」
「わかりました、では千葉県に現地集合で行きましょう」
「え―――、一緒に行きたかったのに」
「この状況だとそれは無理です」
「む、わかりました」
「駅だと他の人が付いてきてしますので、タクシーで向かって下さい、料金は後で自分が支払います」
「いえ、料金は自分で払いますよ、取りあえず、わかりました。また、後で」
「はい、いろんな意味で気を付けて下さい」
「はい、すいません」
電話を切ると、すぐさま神崎は人だかりをダッシュで抜けて、駅に向かう。
時間的にはぎりぎりの所だが、電車の方が僅かに早い、琴吹をより早く着かなければ、さっきと同じ二の前になってしまうだろう。
神崎が駅に乗ったところで、人だかりが解散し始めていた。それにより、琴吹がタクシーに乗ったことが確認できたが、初めからこの調子では、この後、どんな試練が待っているのだろうと神崎は天を仰いだ。




