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「それでは1位は――――」

盛大なドラムロールと共に為にスポットライトが当てられたのは


「ユウさんです」


ユウこと神崎だった。観客の半分は落胆し、半分からは歓声が飛んだ。


「投票内容を簡単に説明しますと、ユウさんが5割、琴吹さんが4割、桐野さんが1割ですね。女性票がユウさん、男性票が琴吹さん、桐野さんに分かれて形になりました。それでは優勝したユウさん一言、お願いします」

横からため息が聞こえた気がしたが、司会者がマイクを渡して来た為、仕方なく神崎はマイクを持って前に出た。


「まずは皆さん、投票ありがとうございました。飛び入り参加でしたけど、優勝できたのは皆さんのおかげです。ありがとうございました」

なんとも、当たり障りのない挨拶だが、これ以上騒ぎになっても問題になるので無難な挨拶がこの場では一番いい選択肢と言える。


「ユウさん、ありがとうございました。さて、これで本日のステージは全て終了となりますので、本日はありがとうございました。まだ、祭りは続きますので、是非、遊んで行ってください」


司会者の終了の合図とともに観客からは落胆の声が広がるが、見られている側はそんな観客に手を振りながらステージ兼矢倉から降りた。


矢倉から一緒に降りてきた、他の出場者が物欲しそうな目で神崎を見てくるが観客と同じように手だけ振ると石沢さんが待っているテントの方へ歩き出した。


石沢がいるテントに入った瞬間、神崎は髪で顔を隠した。

「あら、勿体ないわ~」

「ばれたら大変ですからね」

そういって神崎は浴衣も脱ぎ、もともと来ていた服を着なおした。


「今回は本当にありがと~ユウ君~」

「いえ、イベントが潰れるんじゃないかと心配しました」

「確かにすごい人気だったわね~、頼んのは私だから、何とも言えないんだけど~、ユウ君、今日無事に帰れるかしら~」

「・・・多分、大丈夫じゃないですかー」

体中の至る所から冷や汗が噴き出ているのはきっと気のせいで今日が暑いだけだろう。


「お待たせ~」

「待たせたわね」

「あれ、ユウさんは?」

石沢さんと話している内に2人は着替えを終えて戻って来た。


「貴方の探している男なら目の前にいるわよ」

桐野のその言葉を止めようとせず、神崎は諦めた様に苦笑で済ませた。

「え、ちょっ、どうゆうこと」

突然の情報に、戸惑いを隠せない琴吹は神崎と雫を交互に見ている。


「全く、貴方は馬鹿なの?」

「ははは」

目立つことが嫌いなくせに今日の神崎の行動は目立つことばかりだった。目立たないように配慮した雫にとっては面白くないことだ。それが分かっている神崎からは乾いた笑いしか出てこなかった。


「長くここに居てもしょうがないから、帰るわよ、神崎君」

「確かにそうだな、雫」

何より、あまり長く留まっているとファンたちによって本当に帰れなく可能性が出てくる。


「今日はありがとね~、ユウ君」

「今日の貸しはいつか、返してもらいますよ」

「いつでも連絡して頂戴、喜んで貸しを返しに行くわ」

「はい、ありがとうございます、石沢さん、それでは失礼します」


テントを出る際、石沢さんに軽く会釈をして神崎はテントを出た。


「ちょっと、2人とも待ちなさいよ~連れてくのは私の車でしょ~」

混乱から立ち直った琴吹はいつもの如く、後から2人の後を追った。



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