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「さぁさぁ、今年も浴衣コンテストがやってまいりました」

盛大なBGMと共に司会者が矢倉に上がって来た。


「今年は皆さん、知っての通り、アイドルの琴吹響ちゃんも参加するので存分に期待してくれ――」

会場は司会者の言葉により、盛り上がっている。その矢倉裏では関係者のテントで浴衣に着替え、今年の浴衣コンテストでは一番の目玉になるだろう美少女が2人居た。


事は30分前に舞い戻る。


「事情は分かったけど、私この後の浴衣コンテストに出るから、もう少し、待ってほしいかな」

琴吹に簡潔に事情を説明をすると了承と共に待ってほしいとの返答が来た。


「琴吹さん、貴方も参加するの?」

「そうよ」

「なら私も参加するわ」

「え?」

雫の言葉に声を上げたのは神崎だった。桐野は先ほど言いに来たスタッフに丁重にお断りの言葉を言っていたからだ。


「何か、問題があるかしら、神崎君」

「問題はないが、さっきの・」

「さ、琴吹さん私たちは着替えに行きましょうか」


神崎の言葉を遮る形で雫は琴吹と2人で更衣室に消えて行った。



「さぁそれでは、1人ずつ登場してもらいましょう」

司会者の掛け声と共に1人ずつ浴衣を着た女性がステージ上に現れる。

「名前と観客の皆さんに何か、アピールがあればどうぞ」


浴衣コトンテストに自分から名乗り出るだけあって、容姿が整っている人達が揃っていた。本来なら、誰が優勝するかわからないほど白熱したコンテストになっただろう。しかし、観客が待っていたものは、アイドルだった。


「みんな―待った――、改めて琴吹響です―――」


「「「うぉ――――」」」


前の人たちが可哀想になるぐらいの盛り上がりだ。ここに集まっている観客は琴吹が目当てなので仕方がないことなのだが。


「ここで私の友達を紹介します――桐野さんです——」

「ちょっと、待って琴吹さん」

琴吹の後に遅れて出て来たのは、下駄を歩きづらそうにしている雫だ。琴吹の紹介もあって、琴吹だけに集中していた視線が雫に集中する。そこにはアイドル琴吹響に負けない浴衣姿の雫が居た。町を歩けば、男性の10人中10人振り返るだろう。結い上げられた髪と浴衣によって、不思議な色気が漂っていた。一瞬ではあるが琴吹を見に来た男性たちも雫にくぎ付けになっていた。


この時点でもう勝負は決まったも同然になってしまっていたのだが、突然、それは引っくり返った。


スタッフが一枚の紙を司会者を渡した。

「え、ここで飛び入りの参加者!だそうです。それでは出てきてもらいましょう」


え、ここで誰が出てきてもあの2人に敵うわけないという雰囲気が会場中に漂った。

「どうも、ユウです」

その一言だけで会場に女性が殺到した。


それにより元からいた男性客と殺到した女性客で会場はごった返した。その様子をただ見ているしかなかった神崎は、やっぱり出ない方が良かったのではないのかと10分前の出来事を思い出した。


10分前


「もしかして~ユウ君かしら~」

2人が着替えに行ってしまって暇をしていた神崎に話かけてきたのは、神崎のヘアメイクを担当してくれている石沢さんだった。

「お仕事、お疲れ様です。石沢さん」

「ありがと、ユウ君はどうしてここにいるのかしら?」

「連れが浴衣コンテストに出るもので」

「あら、ユウ君、彼女さんかしら、そういえばさっき飛び切りの美人ちゃんが居たわね」

「多分、その子ですけど、彼女じゃありません、友達です」

「ユウ君に女子の友達ね・・でもその子、その姿で貴方を祭りに誘うなんて、いい目持ってるわね」

「ははは・・」

確かに今の神崎の姿では、コミュ症を患っている根暗に見えるだろう。すべては顔が髪に隠れていることに集約しているのだが。

「琴吹ちゃんの所為って訳じゃないけど、信用ある人じゃないとコンテスト参加できないようにしちゃったから~人が少ないのよね~」

「そうなんですか」

確かに琴吹響に近づく為だけに浴衣コンテストに参加しようとする輩は大勢いるだろう。その為に男性の参加者を規制するのは仕方がないことだろう。


「そうねぇ~、せっかくだし、ユウ君も浴衣コンテスト出て見ない?」

「それは・・」

絶対に騒ぎになる。過去の経験から神崎は自分がどれだけ目立つ存在下は自覚している。

「騒ぎになるでしょうけど、お願い、私の顔を立てると思って~」


「石沢さんは何か、このコンテストに思い入れでもあるんですか?」

いつもはこちらの意思を尊重してくれる石沢が神崎に食い下がってお願いをしてくるので何か事情でもあるのかと神崎は石沢に疑問を投げかけた。


「ユウ君になら話しても問題ないかしら~笑わないでよね~、この祭り、私がスタイリストを目指すことに決めた場所なの~」

「へぇそうなんですね」

「最近は、少し人が少なくなったりしてるの~、だから私の伝手でね、ちょっと流行りの人とか、呼んでるの~、憧れた場所に演出する側で立ってるなんて変な話よね~」

「全然、変じゃないですよ、そうゆうことなら、1つ貸しで、石沢さん」

「ありがと~、ユウ君~」


ここで10分後に戻る。

「これは・・・まずいか」

目の前の光景を見て、逆に自分が出てことによって、祭りが中止になってしまうのではないかと神崎は不安に陥ってしまった。


遅くなってすみません。

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