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ほぼ、一方的にデートが始まったが、神崎は自分で言った以上、しっかりとした場所を選んだ。

2人が居るのはとあるカフェに来ていた。そのカフェは場所が少しわかりづらく、穴場的なスポットになっていた。しかし、客足が無いわけではなく、6割ぐらいの席は埋まっていた。


「良くこんな場所、知ってたわね」

「いろいろと教えてくれる人がいるんでね」


情報を仕入れてる先はもちろん、読者モデルからなので神崎はこれ以上余計なことは言わずに口を閉ざす。


「ふーん、気になるけど、今は聞かないでおくわ」

「ここもまぁまぁだろ。大輔さんの味にはかなわないけどな」

「あれと比べるのは可哀想よ」

「それもそうだな」


大輔の味は神崎が食べた中でもずば抜けていて、他の店より1味も2味も違っていた。むしろ、あの味で客が来ない方がおかしいのだ。


「それにしても騒動が起こって意外に早く、出てきたじゃない」

桐野がSNSで事件を確認してから30分とたっていたない。ごたごたする中、すぐに出てきたことを桐野は不思議に思っていた。


「それは会う前に出てきたからな」

「貴方、バカなの?」

「仕方ないだろ、あのまま居たら、ファンの連中が帰るまで俺はあそこにいなくちゃ、いけなかったんだぞ」

「また、学校にくるわよ、あの女」

なんだか、凄く恨めしいといった感情が混ざっているのは気のせいだろうか。


「それこそ、もう関係ない話だ」

「貴方は良くてもあっちは良くないのよ」

「お礼は言われた」

実際に琴吹を押し倒した際、すぐにその場でお礼は言われている。神崎はそれでチャラと言わんばかりに手をひらひらさせて、アイスティーを一口飲んだ。


「そういう問題じゃないの」

「そういう問題だ。大体、友達でもないのに桐野みたいに会う理由がないだろ」

神崎の言葉に桐野は少し機嫌を良くしたがそれでも不満が残っているようだ。


「でも、私は必ず来ると思うわ」

「来てもお礼だけだろ。それだけなら、特に問題ないだろ」

「それだけならね」

桐野は意味深な言葉を行った後は、琴吹の話題を出さず、カフェのパフェを食べ始めた。


神崎はその言葉の後は美味しいケーキを食べたはずなのに何故か、胃が重たい様な気がした。


2人とも何気ない会話をしていたがいつのまにか一時間以上時間が経っていた。


「もう、こんな時間か。そろそろ帰るか」

「そうね」

2人の時計の針は9時を指していた。2人は席を立ち、会計まで移動する。


財布から金を出そうとした神崎にそっと桐野が手で制す。

「なんだ?」

「やっぱり、私が払うわ、今回は私が誘ったのよ。何なら私が奢ってもいいわ」

「あとでどんなことされるか、分からないし、やめとくよ」

「あら、残念」

2人は割り勘で会計を済ませた後、店を出た。


駅を目指して2人はゆっくりと話しながら歩いている。


「それにしても、今回のデートは評価してもいいわよ」

「何の評価だ」

「私の彼氏となるとしたらよ」

恥ずかしがりもせずに桐野はストレートな気持ちをぶつけてくる。


「まだ、俺にはそんな気持ちはないんだがな」

「私は振り向かせて見せるわよ」

「何処からその自信はくるんだぁ、それじゃ、楽しみにしてる」

神崎は実際、過去の事についての折り合いは着いたが気持ちの整理はまだ、もう少し時間が掛かる気がしていた。だが、着実に前には進んでいた。


話をしている内にいつの間にか駅についてしまっていた。

「俺、こっちだから、また明日な」

「ええ、また明日」

駅のホームで2人は別れ、それぞれの路線に乗って家に帰って行った。


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