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放課後、重い足を引きずりながら、神崎は櫻井と校長室の前までやって来た。

中から声が聞こえて来ているので、もう、噂のアイドルはそこにいるのだろう思うのだが神崎の足はなかなか動かない。


「あら、入らないの?」


「うわ」

「お前は先に教室出ただろう、何故、俺の後ろに立っているんだ」

驚いている、櫻井を無視してゆっくりと後ろを振り返ったら、神崎の予想通りの人間が立っていた。


「乙女の秘密よ」

「全く、急に声かけれたから、心臓に悪いよ、桐野さん」

「2人の後ろ姿をみたら、ついね、ごめんなさいね」


心の中でこのまま帰ろうかなと思っていた矢先の登場である。いいタイミングでよく登場するな思ったが、こいつなら狙ってやっている可能性も否定できない。


「何か、言いたそうね、神崎君」

「いいや、何も」


「こんなところで立っていないで早く入りましょう」

桐野は神崎の腕を引っ張ると校長室のドアを開けた。

「おい、引っ張るな」


桐野が扉を開けると、そこには琴吹本人とマネージャーらしき人物が話し込んでいた。

「「失礼します」」

神崎と櫻井は挨拶をして一礼をして校長室に入った。ちなみに桐野は言っていない。

その言葉に反応して、琴吹響とマネージャーがこちらを見た。

校長室の中は、何故か、校長先生がいなく、琴吹とマネージャー2人だった。もしかしなくても、桐野は校長が先生がいないことを知っていたのだろう。出なければ何も言わず、校長室に入るはずがない。


「昨日はどうもありがとうございました」

3人が入って来たなり、頭を下げて琴吹はお礼を言ってきた。


「いえ、別に当たり前の事をしただけですから」

そう言って、前に出たのでは、櫻井だった。これは事前に話し合って決めたことだ。実際に助けたのは神崎だが、ネットの状況だけでは、2人の内どっちが助けたのかは、断言できない。なので、神崎は面倒事を櫻井に押し付けたのだ。


「あの、お礼と言ってはなんですが、これどうぞ」

そういって琴吹が渡してきたのは、自分のコンサートのチケットだった。

「これは、は」

櫻井は信じられないという顔でチケットを見ている。


「人気過ぎて、なかなか手に入らない。琴吹響のコンサートチケットじゃないかーー」

「目の前に本人いるんだから、そっちの方を喜べよ」

櫻井は本人に会った瞬間より、チケットを貰った時の方がテンションが高くなっていた。


「喜んで貰えたようでなによりです」


琴吹がお礼を言っている間、マネージャーの視線は桐野、櫻井に釘付けになっていた。

「ねぇ、君たち、芸能界に興味はないかい」

「私は人に見られて喜ぶ趣味はないので、遠慮しておきます」

桐野は一言でバッサリ切り捨てた。

「自分も、モテるのはこりごりなので止めておきます」

同じく櫻井も一言でバッサリ切り捨てた。


「そうかい。気が変わったら、連絡してくれ」

マネージャーはガックリと項垂れたが、ちゃっかりと名刺を出して2人に渡した。


「もう、何やってるんですか、石田さん」

「すまない、つい2人を見たらね」

「私たちはこれで失礼します。ぜひ、コンサート見に来てくださいね」

一礼をすると琴吹響は、マネージャーを連れて校長室を出て行った。


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