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休日、神崎はいつと同じように5時に起きるはずが今日は別の時間に起こされた。
「ほら、起きなさい、優」
やさしい声とは裏腹に部屋に侵入した本人は神崎に踵落しをくらわせようと空中に飛び上がった。
「ん、なんだ・・・あぶね」
間一髪の所、横に転げることで踵落しを避けることに成功した神崎は侵入者の方へ視線を向けた。
「不法侵入って立派な犯罪って知ってるか?姉さん」
「兄弟だから、警察も許してくれるわよ」
部屋に侵入したのは、神崎優の実の姉、神崎理沙だった。
「はぁ、毎回、俺に嫌がらせする為だけにこんな時間に来ていい迷惑だ」
「その嫌がらせを、簡単に避けちゃうから、またしちゃうのよ」
「避けなかったとしてもまたやるだろうが」
「そりゃそうよ。面白いもの」
もう慣れたがめんどくさいと思って、神崎はため息をついた。
「それで何の用だ?また、読者モデルか?」
「ええ、その仕事よ」
「断る」
寝室からリビングに移動して、テーブルに着いた神崎は何の躊躇もなく断りを入れた。
「お願いよ、また、編集長に頼まれちゃって」
「だからって俺が出る理由にはならない。別に今、金には困っていない」
「そこを何とかお願い」
「おいしいコーヒーの店を教えれくれるなら考えてもいいがもう結構、教えてもらったしな」
そう言いながら神崎は自前のミルでコーヒー豆を挽く始めた。
「大丈夫よ、今回は路線を変えてきたから」
「と言うと?」
「コーヒーに会うスイーツを売ってるお店を見つけてきたわ」
「それはご苦労なことで」
「これでどうかしら?」
「はぁ、わかった。行きゃいいんだろ」
姉のドヤ顔が若干、うざいと思いつつも断ると後が怖いので仕方なく読者モデルの仕事を受けることにした神崎だった。
「ありがとう、流石、私の弟だわ」
「今日の何時からなんだ、今、4時だけど」
「えっと、5時からよ」
「まぁ、いつものことだから特に攻めはしないが、せめてもっと連絡を早くな」
「そしたら、悪戯できないじゃない」
「早くな」
「・・・はい」
神崎の迫力に負けて、理沙は返事をしてしまった。
「ちょうど、コーヒーもできたからこれを飲んだら行くぞ」
「わかったわ」
まだ、肌寒い中、やっぱりめんどくさいと思って準備する神崎だった。




