表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/93

9

「行ったか」

男子生徒たちが見失った神崎は屋上にいた。


「よくこんな場所知ってたわね」

今、神崎と桐野がいるのは、屋上の給水塔の裏だ。屋上の出入り口の真上なので、人が気づくことはほとんどない。神崎はここを1年生の時に見つけて以来、昼食はここで食べている。

「たまたま、見つけてな」

神崎はそういうと何処からか取り出したお弁当を広げ始めた。


「あら、いつお弁当を取ってたの?」

「教室で隠れたときだ。」

「それにしても、神崎君、以外に先生方に人気なのね」

神崎は午前中に回った先生たちに必ずと言っていいほどからかわれていた。


「暇なときに、いろいろと手伝っているからだろう」

「そんなことをしてるの?」

「暇だからな。何か面白いことがないかと思ってな」

「先生たちから面白いことを探しているの?」

「正確には教材などを見せてもらってる。先生が個人的に持っているものとかな」

「へぇ、面白いことをしてるのね」

桐野も質問しながら、弁当を広げて食べ始めた。


そんな会話をしてると給水塔に上ってくる梯子から上ってくる音が聞こえてきた。


緊張が走るはずが神崎は弁当を普通に食べていた。

「神崎、いるだろ」

「ああ、ここにいるぞ」

そう言って上ってきたのは櫻井だった。


「あれ、桐野さんもいる。どうして連れてきんだ、神崎?」

面白そうに、にやにやした笑みを見せながら櫻井は聞いてきた。

「はぐれると面倒だからだ」

「そんなことだと思ったよ」

「お前のパートナーは?」

「今後のためにもここを知られるわけにはいかないから、おいてきたよ。集合場所を決めてあるから大丈夫」

「そうか」

神崎は相川らず弁当を食べ続けている。櫻井も弁当を広げ始めたところで、桐野さんがいることを思い出したようにはっと顔を上げた。


「ごめん、桐野さん、2人だけで話し込んじゃて」

「別にいいのよ、私がお邪魔してるんだから」

「あ、そうだ。桐野さん、神崎の弁当食べてみてよ。おいしいよ」

「そうなの、以外ね」

桐野は話していて、あまり神崎の弁当をよく見てなかったので顔を弁当の方にに向けた。

そこには至って普通の弁当があった。弁当箱の中身は半分が白米で、あとはおかずがだし巻き卵、から揚げ、サラダだった。


「神崎君、少しお弁当を分けてくれないかしら?」

「なぜ、俺が一方的に弁当を分けてやらなきゃ、いけないんだ?」

「ごめんね、桐野さん、こいつの言い方が悪いんだ。何かと交換じゃないとくれないんだ。やらないって言ってるわけじゃないから安心して」

「うん、わかったわ。じゃあ、ハンバーグとと神崎君のだし巻き卵を交換しましょ」

神崎は無言で弁当を桐野の方に差し出した。

「それじゃあ、交換ね」

桐野は自分の箸を使ってハンバーグとだし巻き卵を入れ替えた。桐野はさっそく、だし巻き卵を食べてみた。口に入れると、だし香りが広がり、卵も半熟でとろけて、絶妙な味が口に中に広がった。


「おいしい」

桐野の口からは自然に感想が出てしまった。

「でしょ」

「お前のは普通だ」

神崎も桐野のハンバーグをいつの間にか食べていて、桐野にハンバーグの感想を言ってきた。


「え」


桐野は自分の料理にある程度の自信を持っていた。女子の友達にもおいしい言われていたし、家族にも褒められたぐらいだ。なので神崎に言われたことにショックだった。

「すごいよ、桐野さん」

「どうして、櫻井君?普通って言われたのよ」

「神崎は料理に拘っていて、少しでも気に入らないと必ず指摘をするんだ。その指摘がなかった人は桐野さんが初めてだよ」

「そうなの」

「うん、あいつとは中学から一緒だけど、一人も見たことがないから自信もっていいよ」

櫻井は興奮した様子で桐野に昔、神崎がどんな指摘をしたのかを話し始めた。


昼休みも櫻井が桐野に一方的に話しかけて、残り15分になってしまった。


「おい、そのくらいにしとけ」

「え、なんで?」

「時間を見ろ」

「わ、もう集合する時間だ。ごめんね、桐野さん」

「別に気にしてないわよ。早くいってあげないとパートナーの女子を待たせちゃうわよ」

「そうだね。先に行かせてもらうよ。桐野さん、神崎、それじゃ」

櫻井はそう言い残すと急いで梯子を降りて行った。


そこで丁度、放送が聞こえてきた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ