第2章 過去の話
雨が降ってきた。
ボロボロな私の身体は傷口を雨に打たれながらも雨宿りできる場所を探した。
「…っ」
打たれる雨が傷に滲みる。
私の身体には、タバコを押しつけられた痕 叩かれたあと 針で刺された痕 そして背中には大きな火傷がある。
この火傷は、両親につけられた痕である。
両親の顔はもう覚えていない。
というより 思い出したくないといった方が妥当だろう。
ボロボロの半袖のTシャツ、短パンという10月半ばの雨には相応しくない格好で歩いている私を周りの人物は汚そうな目で見ている。
それはそうだ、短い袖から出ている手足は痛々しい傷だらけ 中途半端に伸びたボサボサの髪 目が見えないくらい長い前髪 そんな子供が悪臭を放ちながら歩いているのだから。
目の前を通りすぎようとする自分と同じくらいの学生服をきた中学2年生くらいの男女4人が自分の存在に気付いた。
顔を歪めるのが長い前髪の隙間からわかる。
通りすぎようとしたときその中の女子1人に私が歩いた際に水溜まりの水が飛んでしまった。
「きゃ!!汚ーい!」
と、甲高い声をあげた。
ただの水ではないか…と思いながらも頭を下げた。そして、その場を離れようとしたときだった。