表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
梵珠山に、神は眠らない ―八峰 遥の豪運―  作者: 菜乃花 薫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/10

「梵珠山に、神は眠らない」9

―今向いているほうへと歩いてきてもらえるかな


「こんな技術持ってるのに、中の移動は徒歩なの?」


思わず文句を言ってしまった。

折角の技術を有効活用してないなんて、もったいない。


―君がいいなら、そうするけど?


「安全に配慮はしてね」


そう告げると、身体が浮き、向いた方向へと滑るように景色が動いていく。

身体にGも風も感じないからか、現実感がまったくない。

おまけに持っている記録装置も浮いているから、

握ったグリップの感覚はあるけどなんか不思議な気分になる。


―そろそろ着くよ


右手の壁が開き、ゆっくりと曲がっていく。

今のはドアだったのか。


入った先の床には車止めが大量に刺さっていた。


いや、正確に言えば車止めらしきもの、か。

P字型で床と固定されてクッションらしきものが巻かれているから、

もしかして椅子なのかも。


―知りたいことはここにある


「先日の迷惑メールと同じこと言ってるわね。

あれもあなたの仕業だったの?」


―では、一通り説明しよう


「待って」


―なんだい?


「私が質問するから、それに答えてもらえるかしら?」


―私が全てを教えるよ


「いいえ、それでは理解できないもの。

聞いた後で言いたいこと、伝えたいことがあるなら聞くわ」


―いいだろう。それが君の判断なんだね。


「そうよ。

押し付けられた説明なんて聞く気にもならないし、身につかないわ」


そう言って一息つく。


「まずはここ最近の運の良さ、ね。

確率論的に考えて、大きい幸運ではないにしても

あんなに立て続けて起きるのは普通じゃない。

あれ、あなたがやったことなの?」


―そうだよ。まずは度が過ぎる現象の連続に疑問を持つかどうかを確認したんだ


「まあ、ありがたかったけど、あれだけ続けば運なんてレベルじゃないわよね。

誰でも疑念を抱くと思うけど?」


―疑念を持つだけか、もっともっとと欲をかくか

大体この2つに収束していくものだよ


「なるほどね。でも誰がどうやってるかわからないから聞くこともできなかったし、

もっと運を良くして!って頼むことだってできないじゃない」


―きわめて冷静かつ論理的思考だね


「まあね。

じゃあ、続いて火の玉と子供の頃の記憶がなかったこと。

これ、両方ともあなたの仕業?」


―君の幼少期のは本当に偶然の事故だった

私はそれを利用して君にマーキングを施し、先日再度君を呼んだ


「やっぱりストーカーじゃないの?

マーキングって、犬や猫の、じゃないわよね?」


―君の中に小さなしるしをつけたんだよ、ほんの小さな、ね


「勝手に人の身体をいじくったわけ?エッチすぎない?」


―私には性的欲求はないよ


流石に怒鳴った。

「それにしたって、女性の身体をいじくっていいわけないじゃない!

ちゃんと理由を説明しなさいよ」


―なるほど、君はやはり適切な人選だった。


「どういう意味よ?」


―では説明を


「待ちなさい、まだ私のターンは終わってないわよ」


そう言って遮ってやった。

黙って聞かせられるなんてうんざりだもの。


―では質問を続けて


「新郷村のツアー当選もあなたなのよね?

あれに意味はあったの?ただ癒しを提供してくれただけ?」


―あれは意味がある。

君はあそこで何を見た?


「……火の玉を見たわ、それも朝。

あれもあなた、じゃないの?」


―あれは私ではない

でも、無関係でもない


声はそこで少しだけ無言になった。

あれだけ饒舌だったのに、意味ありげに。


―あれを見た君が、どういう行動に出るかも知りたかったんだ


「エデンの園って話だったし、家に帰って検索したけど?」


―それは知っている

そうではなく、君がエデンの園を知って、火の玉を見てどう考えたか、

どう行動しようとしたかを知りたかったんだよ


「……それを知ってどうするの?」


―君は「知りたい」という欲に突き動かされた経験はないかい?


「学者だし、あるわよ」


―じゃあ、エデンや私については?


「知りたいのは確かね。だからネットで調べたわ」


―それ以上の事を私が教えよう


「あ、それは結構」

掌で静止する。


―か? 言い終えるより早く拒否しなくてもいいのではないか?

ずいぶんせっかちだね、君は

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ