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梵珠山に、神は眠らない ―八峰 遥の豪運―  作者: 菜乃花 薫


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7/9

「梵珠山に、神は眠らない」7

今までより少しだけ前に進んだような夢の余韻を引きずりながら、

出勤後、公用車で梵珠山へと向かう。


―夢の暗闇は、自分の心理状態かしら


だとしたら、陰鬱としているという暗喩か。


そんなことを思いながら、またも梵珠山麓へとたどり着く。


仕事柄、山に分け入ることが多いからトレッキングどころか

山菜取りのような恰好ではあるが、大きな違いとすれば

目立つように反射材ででかでかと

N-BaRC(エヌ・バーク)と勤め先のロゴがあちこちに入ってるところか。


現地到着報告メールを送信し、続けてスーツケース状の記録装置を起動。

駐車場から状況を確認しながら登山道を一時間弱登ると、依頼があった寺屋敷広場の東屋に到着した。


先日も来たところだが、あの時は夜間であった上に火の玉まで登場した。


そこから記憶が途切れているのが不安要素だが、今日は稼働中の記録装置も持ってきている。

人工衛星中継でのライブデータ送信と内部記録があるから、何かがあったとしてもデータは残るだろう。


県からの報告書では登山道から対象が見えたということだったが、記録写真を撮りながら歩いても何も見つけられなかった

気が付くと登山道の合流地点まで着いてしまう。


そのまま梵珠山山頂まで登ってみるが、なにも見つけることは出来なかった。


先日は気が付かなかった梵珠七観音と書かれた立て札と、小さな屋根が掛かった観音様の像に手を合わせ、下りがてら調査を再開する。


山頂周辺には対象物は見当たらない。

そもそも、あの写真の割れ目すら地面のどこにもない。


普通の登山客が見つけたなら、余程でない限り登山道からそうは離れていないだろう。

注意しながら東屋まで戻るが、やはり何も見つけられなかった。


一息つきがてら、東屋で中間報告を入れる。

ついでに梵珠七観音と先日案内された釈迦の墓について検索してみる。

衛星でネットが使えるのは山に分け入ることが多いから非常に便利。


だが、どちらも県の資料などにはなく、登山者がブログに上げている写真がある程度で、

起源その他もどうも説明が安定しない。


……次は周辺を少し探ろうか。

自分の目で見るのが一番信頼できる。


そう思い、立ち上がった途端、風景に違和感を感じた。

―立ち眩み起こしたかしら?


いや、普通に立っているし身体もぐらついていない。

廻りを確認すると、違和感の原因が目についた。


先程まで凹んでいた地面、言い伝えでは井戸の跡と言われているところにあからさまに穴が見える。

ここは窪地ではあったが、穴ではなかった。


デジカメを取り出し、写真を撮る。

撮った後、山頂に向かって登ってる途中で撮った写真と比べると、明らかな違いが見て取れる。


急速に陥没が進んだか?

地下水脈の急激な変化や山体崩壊などの予兆かもしれない。


危険を予測するのも仕事のうち。

念の為デジカメを動画モードに切り替えて速足で帰路に着く。


いや、つこうとした。


―知りたいことは、”ここ”にある


そう聞こえた気がした途端、またも意識が遠のきそうになるのがわかった。

流石に二度目。


「どこの誰だか、物の怪だか知らないけどさ、人の身体を勝手にいじくんないでよね!」


そう言ってポケットから強烈な眠気覚ましドリンクを取り出し、蓋を開けて一気にあおった。


―いくらなんでも、用意周到が過ぎるのではないか


幻聴にしてはやけにリアルタイムな文句を言ってきた。


「先日、一回意識を無くされてるからね、激辛唐辛子も考えたけどダメージが残るから止めたのよ!」


……いったいどこの誰に言っているのか。我ながら非論理的な行動に苦笑する。


―なるほど、精神的耐性も高いようだね。その調子ならば”わたし”に触れても大丈夫だろう。


”色欲対象が耐性条件を満たしました。レベル2をアンロックします”

先日、バスの中で聞こえたアナウンスと同じ声がした。


……いくつの怪異がまとわりついているのよ

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