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梵珠山に、神は眠らない ―八峰 遥の豪運―  作者: 事業開発室長


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6/7

「梵珠山に、神は眠らない」6

――どうして、こんなにも調べないと気が済まないのだろう。

昔からの性分とは言え、ここ最近はとみにその傾向が強くなった気がする。


普段は冷静な観察者であるべきと心掛けているのに、

最近は自分の中に妙な渇望が強くなっていることを感じていた。


つまり、端的に言えば「知りたい」という欲求

―小さいとは言え、幸運が立て続けに来るのは何故?

―梵珠山とか新郷村とか、オカルトが続くのは偶然?


ベッドに横たわって寝ようとしても、それらが頭を離れない。


梵珠山での火の玉体験が発端だった。


火の玉は本当に火の玉なのか?

自然現象?人為的なもの?


どこから湧き上がるのかわからない、強い衝動が収まらない。

一体、なんでこんなにも「何故?」と思うのか。


時計を見ると午前3時。

今からでは3時間も眠れないし、そもそも眠れる気もしない。


意を決してベッドを降りて、電気を点ける。

目覚ましにコーヒーを入れようと、電気ケトルに水を入れセットする。


お湯が沸く数分間を潰すのに、タブレットを手に取りソファーにもたれかかる。


「梵珠山 火の玉」

それだけでも検索にはいろいろ出てくる。

タップすると周辺に伝わる口伝や怪異譚が、写真とともに掲載されていた。

流石に火の玉の写真はないものの、どちらかと言えば登山のレポートの方が多い。

自然が多くハイキングを兼ねて登る人が多いのだろう。


残念ながら、現地ガイドが言っていた内容以上のものは出てこなかった。


「新郷村 伝説」

こちらは出てくる出てくる。

流石にメジャーなだけあってか、キリストの墓やピラミッドにエデンの園。

写真だけでなくオカルト専門動画『月間Moon超』でも扱っていた。


山下編集長が現地レポートを面白おかしく報告をしているが、見ていてなにかがひっかかった。

違和感とも言えないが、それが何なのかを説明できるほど明確なものではない。


―なんなのだろうか

   

眠い目をこすりながらも研究センターに出勤すると、自分の机の上に見慣れない封筒が置かれていた


「青森県文化財保護課」からの依頼書だった。


内容は、梵珠山近くで発見された遺物の現地調査協力依頼。


――梵珠山。


偶然にしては重なりすぎてはいる。


だが、仕事が仕事だけに古代の祭事跡や遺跡などは場所が集中して当然。

断る理由もない。


上司の佐伯が声をかけてきた。


「八峰さん、それ、なんでも登山者がなにか変なものが埋まってる、って通報してきたみたいだよ。

県職員が撮った写真付きだけど、念の為専門家にも現地で現物確認をお願いしたいってさ」


「……?

現地で既に見てるのに、うちにも見て欲しいと?」



佐伯は続ける

「まあ、話半分で聞いてね?

見てきた県職員と電話で話したけど、なんでも”今まで見たことが無いもの”って言うんだよ。

梵珠山の言い伝えを考えたらお釈迦様の墓石とかならわかるけどね。

石碑とかそういうのじゃないかな?と思うけど調査をお願いね」    


「……いったい何を見たんでしょうかね?」

思わずそう呟いた。


封筒を開くと数枚に纏められたレポートが付いた依頼書が入っていた。


…なるほど、”これ”は見て調べないと気が済まなくなりそうだ。


添付されていた写真には金属とも岩ともつかない半光沢で出来た”なにか”が映っていた。

記号とも文字とも判別がつかない、少なくとも私は見たことがない文様が表面にあった。


「これ、一人で調査、ですか?」

私の声が、少し震えていた気がする。


「うん、まずはロケーションだけ確認してきて欲しいんだよね。

その結果次第では後日チームを組んで本格的に調査するから」


後日?

なんとなく後日の調査はない気がする。

虫の知らせ、なのだろうか。


帰宅後、再度ネットで情報を漁ってみた。

梵珠山に古代の祭事場や文明の遺跡があるかどうか。


やはり伝承以上のものは出てこない。

範囲を広げて津軽の伝承なども含めて探してみる。


津軽古代王国や徐福伝説が出て来ても、梵珠山や青森市、五所川原市など

梵珠山周辺の自治体には特にそう言った情報は見当たらない。


現地に行って調べるしかないか。

火の玉の一件もあるし、何か関係があるかもしれない。


そう思うとベッドに入る。

昨夜の寝不足もあり、すぐ眠りにつく。


また、夢を見た。

今度は火の玉にいざなわれ、どこかの入口から中に入っていく、


視界に映る私の手は、やたらと小さい。

子供の私?

今までの夢とは違い、明らかに自分が「そこに居る」感じがある。


目線の先には、闇だけが広がっていた。

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