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梵珠山に、神は眠らない ―八峰 遥の豪運―  作者: 事業開発室長


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1/7

「梵珠山に、神は眠らない」1

――夢を見ていた。

いや、目覚めた今も、それが夢だったのか確かではない。


白い霧の向こうに、ふわふわと揺れる光の玉。


暖かさと、どこか不気味な静けさを帯びた光が、

私の足元にふわりと降りてくる。


立ち尽くす私の身体は思ったように動かず、逃げることは叶わない。

誰かに呼ばれている気がするが、そこから先は記憶がない。


毎回、そこで目が覚める。


カーテンの隙間から差し込む朝の光は弱く、まだ夢を見ていると錯覚させる。

枕元のスマートフォンのアラームが鳴る。


「……変な夢ね」


仰向けのまま、じっと天井を見つめる。


夢の内容はいつも同じ。

あの不思議な光の玉だけは鮮明に残っている。

景色はぼんやりしていても、強い光を放つあの光。

あれだけは幼少期からずっと見続けても慣れることはない。


軽い朝食を済ませ、身支度をして外出する。


部屋に差し込む朝日が示した通り、今朝は曇り空。

黒く見えるほど雨が染み込んだアスファルト、街路樹の葉もまだ水滴が残っている。

歩道を歩くうち、昨日までと何かが違う気がするが、それがなにかはっきりとしない。


……寝ぼけているだけか


そう思ったのだが、やはり一度感じた違和感はそうそうぬぐえるものではない。


テレビのCM、駅前のデジタルサイネージ。

信号の変わるタイミング、走ってくる車の量。


CMはペットや家、宝くじなどのものが多く流れている。

信号は歩いていても一度も止まることなく青信号で、渡る際に車は来ない。


宝くじが当たったら家を建てて犬を飼おう。

そんな妄想をしながら歩く道は、足を止める必要がない程スムーズ。


まるで無人の野を歩くような感覚だが、少なくとも人の営みは普通にあった。

だからこそ、余計に違和感を覚えてしまったのだろうか。


―今日は少しだけラッキーデーっぽいし、宝くじ買ったら当たるかしら?


ネットで宝くじを10枚ほど買っておく。


その夜、同じ夢を見た。

白い霧、光の玉、子どもの自分。

夢の中で、誰かに呼ばれている。


「……」

聞き取れないほど微かな声に振り返ろうとするが、やはりそこからは覚えていない。


翌朝、私は珍しく二夜連続でいつもの夢を見たことに引っかかりを感じながら、

ぼんやりと朝食をとった。


今日は月曜日。

当然宮仕えの身としてはいつもの通りのルーチンで出勤の準備をする。


私、八峰遥やつみね・はるかは、

国立埋蔵物研究センターで歴史的遺物の発掘と調査をしている。

青森生まれ、青森育ち。

生粋の津軽衆だ。

挿絵(By みてみん)

家から歩いて10分ほどの距離が勤め先。

おかげで通勤ラッシュもなく、朝はゆったりと過ごすことができる。


職場でいつもの通りの発掘物分類や、調査依頼のチェックをこなした昼休み。

テレビでは他人事のようなニュースが流れ、

スマートフォンには未読メールが溜まっていた。


その中に「ご当選おめでとうございます」という通知があった。

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