三話 協力者とは
「だぁかぁらぁ!昨日私が話しかけてた男は何処だって聞いてんの!あんた見てたでしょ!?」
「...そう言われましても生憎見ておりませんでしたので、せめて何かしらの特徴を伝えて貰えればお力になれるのですが...」
「それは......覚えてないの!...もう良い!とにかくあの男が来たら私に教えなさい!良いわね!?」
「はぁ...かしこまりました...」
普段通り騒がしいギルドの中でも一際うるさいギルドの受付、そこで騒いでた女が退けた後俺は昨日もあった受付のお姉さんに喋りかける。
勿論ギルド長に会うためだ。
「ギルド長に面会したいんだけどいつ頃空いてますか?」
「貴方......はぁ、伝えたいことが有るので奥の部屋へどうぞ」
奥の部屋?もう会えちゃう感じかな?
そんな呑気な事を考えながらお姉さんの後ろを着いていく...
応接室と書かれた扉を開け2人きりの状態で扉を閉められる
「まず伝えたいことを率直に言います。
一つ、面倒事を起こさないでください
二つ、どんな目的があるのかは知りませんが彼に会うことはお勧めしません
そして三つ、貴方がどんなに彼に会いたがっても貴方が賄賂を渡すか可愛い女性を連れてこない限りは彼は絶対に会うことは無いでしょう」
応接室に入った俺が聞いたのはまた忠告のような物だった
「そう言われてもな~俺はどうしてもギルド長、ひいてはこの街を治めている奴に会わなきゃいけないんだよね」
「アイツに?...」
なんだ?この話には食い付いたな?
「ん~そうそう、この街を治めているハレデルってのに会わなきゃいけなくてさ。何故会うのかは秘密なんだけど勇令なんだ」
そう、今回俺がハレデルに会いにきた理由は勇者の命令、つまりは国王からの特別なお達しであると言うことだ。
「勇令......それなら書類を見せてください、勇者の血統しか表す事の出来ない特別なサインが入った文書があるはずです」
「良いよ、ほら」
俺は適当に紙を取りだし見せつける、なにも書かれていない白紙の紙を
「これは......!確かに勇者の刻印、大変失礼いたしました。しかしそれなら初めから見せていただければすぐにでもご案内しましたのに...」
「これは秘密裏に進めなきゃいけなくてね、本来は貴女にすら見せちゃいけなかったんだけどまぁ仕方ない、これを見た事はギルド長やハレデルにも伝えないように。そして俺の協力者になってほしい」
「協力者、ですか?」
「極秘である以上は誰にも話しちゃいけないんだけど貴女は聞いてしまったし俺としても協力者の存在はいるだけでとても助かるんだ、なぁにまずはギルド長に会わせてくれるだけで良いよ」
彼女は少し考えた後頷く
「ありがとう、まぁこれは国王からの命令でもあるから変な心配はしなくて良いよ?それと......お名前をお聞きしても?これから協力者になるわけですし」
「私は......ヒュルフです」
ん?俺のスキルが反応した、嘘だなこれ
なんで偽名なんか使ったんだ?......まぁいいか
「そっか、これから宜しくね?ヒュルフさん。それでギルド長に会いたいって話なんだけど...」
「その件は私が何とかしておきます、そうですね...明後日の昼間に来てください、彼に会わせましょう」
「あ、あぁうん、じゃあお願いするね?」
そう言ってその場は解散となった、賄賂とか女性を連れてくるとかじゃないと会えないって言ってたのになんでそんなトントン拍子で進んでいくんだ?
彼女に抱く疑惑や不安は確かに有ったが態々勇者の刻印まで出したんだしまぁ会わせてくれる...よな?
雑紙入れから紫色の煙が消える...
――――
「勇令か......あの刻印は本物だったし...」
「彼なら、この街を壊してくれるかもしれない。この檻が壊れたら、私は...」