花蘇芳の過去 7
「まてっ、貴様ら何者だ!!どうして、どうして父上をっ!!」
その声に振り向く黒装束の二人。
振り向いた先に居るのは亡き竜胆の脇差を握り泣き叫びながら向かってくる柚子だった。
しかし、二人はまったく動じず、怒りに身を任せる柚子の刃先を軽快によけるばかり。
「はぁ、はぁ。ゆる、さない」
さすがの柚子も何度振りかぶっても当たらない相手に疲れを見せていた。
その姿を見て吉田は笑い出す。
「貴女の怒りとは、その程度のものですか?」
「貴様っ」
吉田の挑発に乗ろうとしたのがいけなかった。
柚子は、背後から近づく久坂にまったく気づいていなかった。
「柚子、危ないっ!!!」
ズシャッ・・・・・・、バタン
倒れたのは柚子ではなく皐だった。
先ほどと同じくゆっくり柚子の前に倒れる皐。
それは、竜胆の姿と重なった。
流れ行く血は美しい鮮紅色で皐の体を染めていった。
「貴女はまた護られた。一度目に父に。次は母に。貴女は弱いんですよ。
弱い貴女が二人を殺した。貴女が殺したんです。」
血の匂いが充満する部屋に倒れる二人を見ながら打ちひしがれる柚子。
(あたしが父上と母上を殺した?あたシガ、アタシガコロシタ。ヨワイカラ。アタシガヨワイカラ)
吉田に言われた言葉が頭の中で繰り返される。
その姿を見た久坂は吉田に尋ねる。
「おいおい、やりすぎじゃねえの?ま、いいけど。で、この餓鬼どうすんの?」
一仕事を終えすっかり気を抜いている久坂。
その姿を見た柚子は再び脇差を構える。
「貴様らさえ来なければ、貴様らさえいなければぁあああ!!」
すっかり戦う気のない人形と化したと思っていた柚子に何も注意を払っていなかった久坂は咄嗟の事に反応が遅れる。
(殺れる。こいつらを殺せるっっ)
スパッ
吉田さん、過去と現在でしゃべり方違うんですけどこの先のお話に少し関係してくるので許してやってくださいね。