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第十五話

沖田目線です。

「あたしは…。どうしたらいいんだろ」


そんな声が、どこからか聞こえてきた。

その声は、どこか悲しそうで何か悩んでいる声だった。

その声を聞いて、沖田は気づいたときには声をかけていた。


「何か、悩み事ですか?柚子さん」


と。


声につられて沖田の方を向いた柚子の顔は今にも泣きそうな顔だった。

声の相手が沖田だったことに気づき、


「なんでもないよ。沖田さん。んじゃ、昨日の続き、はじめよっか」


と、笑いながら言う柚子を見て沖田は思った。


(あぁ、この人は私によく似ている)


会ってまだ二日しかたたない相手にそんなことを思うのが少し可笑しくて、それでも似ているとしか思えなかった。

瞳の奥に隠された悲しみ、怒り、すべての感情がただ、その笑顔によって隠される。


(誰にも悟られたくないから…)


今の柚子の笑顔は、沖田にはただ感情を押し殺しているようにしか見えなかった。

きっと、普通の人には見抜けないだろう。

他人からみれば、にこやかに微笑む少女。


(同じ。私と。感情を隠す方法を身につけてしまった私と。感情を微笑で隠し続けた私と)


先ほどから、微笑み、言葉を返してこない沖田を不思議そうに見つめる柚子。

その瞳の奥は、今まで人を斬ってきたとは思えないほど綺麗な瞳だった。


(でも。彼女はまだ戻れる。今なら)


そう思った沖田は、やっと柚子に言葉を返した。


「無理はしないでください。深くは聞きません。ただ、話したくなったら教えてください。

今日は、ただ、そばにいますから」


自分のようにただ笑うだけの人間になってほしくなくて、ただそれだけが今の沖田の願いだった。


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