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第十話

「おぉ、総司じゃねぇか。花蘇芳についての報告か?」


「あぁ、永倉さん。それに、原田さん、平助も」


沖田が、土方の部屋から出てきてすぐ遭遇したのは新撰組三馬鹿とも呼ばれる、永倉、原田、藤堂だった。

三人とも、すでに沖田が花蘇芳と勝負をしにいったことは知っており、興味津々の目で沖田を見ている。

沖田は、やれやれとつぶやきながらも、


「えぇ、そうですよ」


と、満面の笑みで答えた。

その笑みの裏にはどす黒いものが見えており三人は背筋が青くなるのを感じた。

さすがに、耐え切れず原田が、


「は、ははは。っで、そんなに喜んでるって事は勝ったのか?」


すると、沖田は、さらに笑い出した。

さすがの三人も顔を見合わせている。


「ふふふ、原田さんも土方さんと同じ事を言うんですね。勝負の決着はついてませんよ。

邪魔が、入っちゃって。でも、また明日行って来ますから明日こそは・・・」


「そ、そうか、それならいい。

でも、総司が引き分けるって事は、なかなかの男なんだなぁ」


と、原田は、感心しながら言った。

すると、沖田はまた笑い出し、三人はまた顔を見合わせるのだった。


「あのさぁ、総司。さっきから、ずっと笑ってるけどいったい何が面白いわけ?」


「ハハハ、いやぁ、平助、ふふふ。土方さんとまったく同じ事を言うものですから」


沖田は、これでもかというほど、笑い転げまわっている。

三人は、同時に、


(((総司が壊れた。)))


と心の中でつぶやいた。

さすがの沖田も、やっと笑いも収まり三人に話し出した。


「いやぁ、花蘇芳。もとい、柚子さんは、女性ですよ。どうしてみなさんはこう間違えるんでしょうかねぇ?」


その言葉に、三人は口をぽかんと開けるばかりだった。

が、さすが、一番の常識人永倉。すぐに意識を取り戻し、


「はあぁぁぁぁぁ?お、女だって?今のは、俺の聞き違いか?

それに今、柚子って…。何で名前まで知ってんだよ」


その言葉に、残りの二人も意識を取り戻し口々に叫んでいる。


「いやぁ、そんな事いわれましても。事実ですから。名前も自分で名乗ってくれましたし。

面白い人でしたよ。そういえば、逃げる際に置手紙をおいて言ったんですけど、いつの間に書いたんでしょうか?」


などと、つぶやきながら、沖田は口々に叫ぶ三人を置いて自室に戻っていった。

その姿を見て、永倉は小さく、


「総司に女が引き分けるなんて…。ただの女じゃねぇ・・・」


と意味深につぶやいた。

すると、その言葉を聴いた原田は、心の中で、


(そうか、花蘇芳は、ただの女じゃなくてゴリラみたいな野郎だったって事か。)


などという意味のわからない解釈をしたとかしなかったとか。

柚子や沖田など、一人一人の心の中でいろいろな感情が渦巻く中、夜は更けていった。



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