6/8
付箋が連ねるぬくもり
無機質な光しか差さない深夜の0時、やっと私は帰途についた。
仕事の失敗、上司からの叱責、同僚のカレとは喧嘩して3日も会話なし……。仕事に集中できるはずもなく、作業はダラダラとしか続けられない。私には脚を動かす体力しか残っていなかった。
玄関の灯りをつけたら、壁には矢印の書かれたポストイットが連なって貼られている。
「またこんな無駄なことして……」
呆れながらそのポストイットに書かれた矢印の方向へ歩いていくと、冷蔵庫の前にたどり着いた。何の気なしに開けると、そこには近所にできたケーキ屋の箱があり、「俺が悪かった。ごめん」と書かれたポストイットが貼られている。その中には4本のケーキバーが入っていた。
私はその中からチーズケーキを取り、噛み締めた。すると勝手に涙が溢れて、頬を伝って流れていった。




