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ダブルベッドの魔法
「明日は朝早いから」
キミがそう言ってベッドに寝転がった。
その穏やかな寝顔にはフシギな吸引力があって、私はシンクの中に食器を残したまま、ついベッドへと歩みを進めてしまう。
日に日に寒くなっていって、闇が長く感じる夜。外は満月で、部屋の中へほのかに光が差し込んでいる。
ふたりで住むには狭い部屋、空間を圧迫しているダブルベッド。
布団の中に入ってキミの胸の上に寄り掛かると、すでに目を閉じているキミの腕が強く締め付けてきて、カラダがぴたりと絡まって重なった。
ふたり寝転がれば狭いはずのベッドは、キミと寝ているときだけ、なぜだか広くなる。