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忙しいオトナのお手紙交換
私と社長である彼は、日常生活が忙しい中でも互いに愛を確認するために手紙の交換をすることにした。
私達が顔を合わせられるのは、週に1度のランチミーティングだけ。スタートアップ企業だからか、彼は土日も休む間もなく働き、人と会っていた。
そんな彼はすごくシャイだから、社内でこっそり手を繋いだりキスをするなんて甘いことはしたがらない。だからメモを渡す感覚で手紙のやり取りをする。それがささやかな幸せだった。
ある日、久しぶりに彼が休みを取れることになったらしい。その日のランチミーティングで渡された手紙には、こう書かれていた。
「そちらに猫を撫でに行ってもいいですか?」
彼は手紙の中でもやっぱりシャイだった。