38話 魔人の伝説編 (13)終
長いです。
長いので長いです。マジ長い……………。
ほんとに長くなったので注意です。長いです。
多分自分史上で1番長い気がする。
5日目
ニック・チョッパーと之郎の最終決戦の舞台。
彼は複数の敵に囲まれ窮地に追い込まれてしまう。
そんな之郎のピンチに颯爽と姿を見せたのは伊駒 蕾水、其の人だった。
「伊駒さん!?
どうして……………?」
疲れ切った顔で零す之郎に蕾水は笑顔を見せると之郎の胸ぐらを掴み怒る。
之郎を相手にダンスのパートナーのように踊るように敵を蹴散らしてゆく。
「今更かしこまるなぁ、お前は誰で私は誰だ!!
リンダの時、私は当事者だった!」
言いながら之郎を引き寄せて回し蹴りで死体被検体を割れた培養槽に激突させる。
「違うかぁ!
あの時、一緒にぃ!!
伴に行こうと………いや行くのが私の責任。
違うな私の役目だったんだ。
友を1人救えない私だかなぁ!
身勝手に強い女とか勝って理想とかを押し付けて女の子だからとか女の子だから守られる存在じゃないんだ!」
血なのか培養液で滑った之郎に蕾水が突き出した拳が死体被検体の胸部に貫通する。
その勢いで之郎と蕾水の顔が至近距離になる。
その表情は眉間にシワが寄っている。
「ぶちまけて冷静になってきた。
悪かった、一方的過ぎた。」
「いえ僕も悪かったです。
そうですね。そうですよね、はい………僕も助けてほしい!
だから僕も助けたいです!
生駒さんを助けさせて下さい。
僕を助けて下さい!!」
「……ふん、蕾水で良い。」
「!
了解です蕾水さん。」
『まぁ今はそれで良いかな…………。』
その時、之郎がバッと蕾水を庇うように前に出る。
之郎は口で歯で銃弾を受け止めていた。
この銃弾は先の戦闘で之郎に鮮血を流させた彼ら被験体にある魔力の動き阻害する効果があった。
ここに来るまでに在った同胞はコレにより致命傷等を負い死亡していた。
この事を野性的な勘や五感で反射的に感じ取っていた。
「ほ〜ん。やるじゃえぇ〜かよ。
だが聞いてらよ〜はっ色仕掛けでもされたか?
いや同じ同郷同士、青い恋愛ごっこかぁ?
力尽くでその顔を泣かせて物にすりゃいいのによ!」
「お前からは鷲尾リョウスケや何と言ったか…サム何とかと同じ屑の類だな。
好きという感情を知らんらしい!」
「見て呉れだけが言うじゃねぇか!!」
「見た目を言い出すんならアンタはヒドイな!
マントヒヒとゴリラとブタみたいだ!!」
「なんだとっ!?
ゴミの分際で!!
訳の分からん!
ぐわぁ!?」
怒りで単調になった攻撃は躱され蕾水のファインプレーで追撃に変わる。
「アンタは随分と酷い内面が外観に漏れている。
見た目や容姿以上に目には見えない魅力が生こ……蕾水さんにはいっぱい、沢山あるんだ!!
蕾水さんは頭も良くて良い女性で!!!
僕は良い男性‥‥‥‥男だぁ!!」
「いきなり何を言い出すだぁ!?」
「ゴミのクソ共がぁ!!!!」
ニックが、この世のモノとは思えない雄叫びを上げると額が沸騰したように熱を帯び、発熱、湯気が出る。
肌が剥がれ落ちて全身が発光してマグマのようになる。
体格や全長も大きくなり肉体が全て熱した鉄のようになり常に湯気を発している。
「これがオレサマのチカラだ!
オソレオノノケ!!」
喋る度に口や鼻から湯気が漏れる。
その姿は悪魔や魔王を想起させた。
あと多少の蒸気機関車くらい。
恐怖を抱く時間は、とっくに地下研究室に置いてきた。
之郎はそれでも “だぁーーーーー” と鼓舞するように奮い立たせると走り出す、そこにニックの手から放たれた特大の火球が命中する。
◆
爆発の消えない中から之郎が飛び出し燃えながら、そのままニックに殴り掛かる。
しかし普段の姿の之郎はニックの熱に身を焦がし振り払われ蹴られ吹き飛ぶ。
「之郎ーー!!
貴様ああぁーーーーー!
うわぁ!?」
肌は焦げ燃え上がりながら天上近くの壁に吹き飛ばされる蕾水を逆法に吹き飛ばされていた之郎が何とかキャッチする。
無理をしたのか急いだ之郎は片方の足の裏が逆に曲がっていたりキャッチした拍子に両肘を潰していた。
その姿に蕾水は助かったとクチにするのが、やっとだった。
之郎を助けに来たというのに助けられてばかりの自分に嫌悪感を抱くしか出来ていなかった。
「ゴミゴミゴミ!!
どれもこれもだれもゴミのヤマだぁ!!!」
ニックの肉体から触手のように銀ピカが伸びると熱を帯びたソレは踏み付けた之郎を焼いてゆく。
ピクリと蟀谷をビクつかせると片足で立てず、されど立とうとして中腰で絶叫する。
言葉に成らない言葉は怒りなのか、その絶叫の最中に之郎の胸部真ん中、身体の奥底から球体に光る出す。
それに呼応するように隆起する壊れた筋肉と皮膚が魔力と交ざり実験物質の影響で変色し額から角が飛び出し骨が尖り表面に突き出て肉体を生成し増加させる。
その変化に身体が内側から付いて行けず破壊と再生を繰り返す形で出血や吐血させる。
全身の骨が肉を皮を突き破って身体が悲鳴を上げるように震え痙攣する。
血管は浮き上がり、その内に血を突き出す。
その過程で体を支えようと図体や背丈、足と全体が大きくなる。
血潮の赤色が皮膚を滴り溢れ染めては落ちる。
最後に鎧のように禍々しい魔力が影から出現し体を覆ってゆき完成する。
魔人と魔王が互いに威嚇するように雄叫びを浴びせ己を誇示しているかのようだった。
いずれ、どちらと言う合図も無く相対する両者は手と手を掴み拮抗するチカラとチカラは単純な力比べから化け物同士の戦闘に変わってゆく。
之郎は鷲尾リョウスケとの戦闘で学習した光線をクチから放出する。
光線はマグマの皮膚に弾かれ天上に線の痕を残す。
◆
「之郎!!!
っあ!?
‥‥‥‥‥‥そんな、なんで?
お前は‥‥‥‥リンダなのかッ‥‥‥!?」
ニックにより改造された死体被験体の中に蕾水は勝手、自分が守れ無かった親友であるリンダ・ネルソンを見つけ拳を強くし額には汗と目尻から涙を溢れされた。
蕾水は之郎を助けに行くための何か出来るか分からない自分の足は止まり己の情なさと目の前に居るリンダの姿に蕾水は急に喉元に込み上げた吐き気を無理矢理飲み込んだ。
ストレスは蕾水に負荷として急激に刺激を与える。
躱し損ねた、一撃に彼女は吐いていた。
それはただ単に殴られたからなのか、それとも情けない感情から盛れ溢れた激情なのか。
涙と伴に蕾水が叫びながら立ち上がった身体に魔力が迸り目覚める。
◆
ニックは額で自分の頭に激突すると指から小さな火球を高速で無数に放つ。
しかしネオチタンに変質している骨や、その効果で強度がデータ以上に上昇していた之郎の身体は火球で軽い火傷程度で済んでいたのだが掌と右目、この箇所だけは構造上どうしても他より脆く貫かれ鮮血を溢れさせる。
この、一手に之郎は穴の開いた手と、もう片方の手でマグマの高熱も無視して登るようにてニック耳を引っ張って千切る。
悲鳴を上げて痛みから体を振り回した攻撃が之郎を突き飛ばす。
そこに流水がニックを襲う。
蕾水のレベルツーと至った能力だった。
「急激冷やされたらどうなるかマグマの脳ミソで判るか?」
涙とその痕を拭い尚、続けられる激流の放水にニックの動きが鈍くなってゆく。
「ギッ、ギッサママァァ!!
止メロォ!!!
ヨクモォォォォオ・オ・オ・オ・オ・!?」
少しして黒くなりボコボコポコポコした表面がヒビ割れて発熱をしなくなったニックは完全に停止する。
◆
手や足裏は焼き爛れ溶けて再生も襲い。
血と肉の焼け焦げた臭いとが充満した室内は此処が戦場のような錯覚を起こす。
「大丈夫?」
蕾水の差し出した手を掴もうとして自身の大きな手を見て止めるも蕾水は気にした様子も無く掴み之郎を起き上がらせる。
「ふん、美味しい所は貰ってしまったぞ?」
「気にしてませんよ……………………。」
「なんだ?
いきなり呆けたりして?」
「女神みたいだ。」
「なっ、なっ!?
君は、君はどうしてそう言う事を平気で言うんだ!?
正気か?」
「え?
正気です。本気って言うか本音です!」
「だからそれだ!!!」
「危ない!!」
壁に叩き付けられ追い打ちのように殴られ壁をヘコませる。
本棚が壊れた先に隠し部屋が顕になる。
そのまま殴り転んだ部屋にはニックの集めた宝等が所狭しと飾られていた。
顔を上げた先にいた憤るニックは銀ピカのツルツルに成り骨だけのように細くスマートで液体金属のようで、もう人の呈を為しているかも微妙な化け物になっていた。
何かを喋ろうとして口の中も銀のドロドロで声を発せず苛立ちから之郎に殴り掛かる。
前方に転がり躱した先で壁に飾られている日本刀のような物を見つけ鞘が無いままに掴み抜く。
振り斬りつけた刃は銀ピカに傷を付けず逆にピタリと動かなくなる。
刃はニックの表面の銀で受け止められニックは手で刃に触ると不自然に日本刀は曲がり伸びて之郎へ反撃する。
躱すも左腕と左足をスパッと斬られ転がる。
追撃のように右腿を貫かれ倒れてしまう。
血が吹き出し飛び溢れる。
ニックは転がり落ちた之郎の左腕と左足を拾うと口に運び咀嚼し飲み込んでしまう。
するとエネルギーが溢れ発光し爆発的に増して周囲に魔力が放出され隠し部屋に在る飾られている品や之郎を吹き飛ばしてゆく。
放出が収まるとニックは姿を又、変様されていた。
人の皮膚が再生途中で止まり被さった状態で人体模型のように肉と骨が露出され血管と筋肉が目玉がドクドク、ギロギロと動き、それを守るように遅れて魔力が薄皮の半透明の膜の鎧を形成させる。
日本刀に付着していた之郎の血をペロリと飲んでチカラが更に増幅され額に目玉が出現し左右脇下と背中から腕が生えて全部で六本にある腕。
目玉を守るように薄い膜が頭を覆うように前胸背板を形成させ、人だった際の皮膚や髪を煩わしいと言わんばかりに掴み取り千切ると床に捨てる。
「ついに、ついに俺は神の力を手に入れた
俺は神になったんだ!!」
内側から超高熱で溶かし自身さえも溶かし難を逃れたニックは下手をすれば失敗して自壊していただろう。
ニック・チョッパーは独自に研究員の、一部を買収、研究資料等から己を改造。
被験者を拉致や死体を回収し時には自分の身体に取り込み継ぎ接ぎの不死計画を別の角度から能力を開花されていた。
「賭けは俺様の勝ちだ。
貴様の負けが死が確定した瞬間だぁ!!
ゴミめぇが!!!」
「之郎!!」
援護に向かおうとする蕾水を死体被験体が道を塞がるように邪魔して近付けない。
意思を感じさせない攻撃と再生能力は健在で蕾水を苦戦させる。
「もう貴様に用はない!」
パワーアップする前の火球よりも遥かに強力な火球は発熱と回転しながら之郎を襲う。
之郎は空気を鼻で吸うとクチから火球を吸い込み噛み潰す。
「なにいぃ!?」
爆炎と爆煙がクチの隙間と鼻から漏れ出る。
巨大化した状態から更に身体の、一部をもう1段階、上に上げる。
「【肥巨-足化-】!
【肥巨-腕化-】!!」
右足と右腕を巨大化し再生を完了したばかりの左足と遅れている左腕を関係ないと言わんばかりにニックに殴り掛かる。
腹と背中から生えた複腕でガードするも血を吹き出しながら吹き飛ぶニックに追撃をしようとして殴ったはずの右腕が弾け飛び膝を着く。
『2つ同時はキツイのか!?』
壁を破壊し廊下に転がり出たニックは扉を破壊しながら戻ってくると死体被験体を蹴散らしながら蕾水を握り怒り心に眼球を充血させながらツバを飛ばして之郎に飛び掛かる。
「俺様の邪魔をするなぁ!!!」
「邪魔をしてんのはアンタだあぁぁぁあ!!!」
再生が追い付いた片腕で迎え撃つが複腕に顔を殴られ腹は刺さり、めり込む。
その時、切られ食べ残された手首の指が動く。
磁石に引き寄せられるように飛んでニックの後頭部に激突、その一撃にバランス崩した隙に再生した腕を押し切ろうとして雄叫びで複腕を噛み千切り挟み込むようにパンチする。
腕は千切れ吹き飛び両腕を消失した之郎は蕾水を抱き締める術を持たない。
血反吐と唾液を垂らしながら蕾水を追いかけても掴む腕は無く之郎は腹でキャッチすると向きを変えて自分から壁に激突して蕾水を庇う。
「化け物に大きくなってて良かった。」
「之郎、守るから助けるんじゃ無かったのか?」
「すみません今度は助けて下さい。」
「……任せろっ!」
「お熱い中、悪いな。俺は死んでねぇーぜ?
ゴミクズのクセにやってくれんじゃねーーーーかよがぁおぉぉお、あぁ??」
「そんなに熱いのが好きなら連れてってやりますよ!」
「あ?」
巨大化した足でニックを蹴り顎を割りながら飛び上がる。
足跡の形が床に残る。
天上を破壊し空に舞い上がるニックと之郎は蕾水に振り返り笑顔を向ける。
「早速、蕾水の助力をお願いします。
あの水を巨大な玉にして僕を包んで下さい。」
「ん?
わ、分かった。」
「それとコレを持ってて下さい。」
「コレは!?」
「行きます!」
力を込めた両足に高速に飛び出し空中で何も出来ないニックを再生されたばかりの腕や足で殴り蹴り何度も何度も上へ上へと飛ばす。
大気圏に入りニックは摩擦で燃え上がるようにして宇宙空間に放り出される。
蕾水の水玉も小さくなり宇宙に入ると急激に氷結してゆく。
焦り動くとしたが之郎は宇宙を浮き舞うように流れて意識を失ってしまう。
一瞬意識を失い水玉から出ると口を膨らまれて宇宙空間でニックを見つけ複腕等を再生させながらも人の形をしていない肉の塊で蠢くニックに超巨大化した拳で叩き殴る。
音も何もしない世界で落ちるニックは表面を大気圏で爆発されながら落下してゆく。
全身の骨と言う骨が折れ超巨大化した右腕は肩から弾け飛び意識が飛びそうになりながら最後の力を振り絞って殆ど凍ってしまっている水玉に入ると落下して之郎はニックを追いかける。
薄れゆく意識の中、之郎はハーレルから貰った回復薬を思い出して何とか飲むと今度こそ意識を手放した。
大きな火達磨に燃え上がり複腕等を撒き散らしながら残骸が燃え尽きて地上へと戻ってきたニックは最上階から蕾水に間一髪で擦れ違い階層を破壊しながら落下し1階に激突して止まる。
地面を抉り建物は割れ崩れ始め燃える。
之郎は上空で氷玉は蒸発し無防備に青空を落ちてゆく。
それから風の音と折れた左腕が顔に打つかる激痛で目を覚ます。
風圧に身動きは上手く出来ず回転しながら貧血気味に肉体の再生が成され之郎は意識をハッキリされるも覚醒は遅く地面に成す術無く激突するしかなかった。
◆
衝撃音と大気よりも早く地面にクレーターを作り之郎が血みどろに成りながらクレーターの坂から出てくると離れてしまった訓練施設を見る。
そして1歩を踏み出そうとして時が止まったようにバタッと倒れていた。
世界の終わりの使者の如く、地獄の成れの果てのようなドロドロダラダラとした液体となったニック・チョッパーだったモノは再生しようと人形になっては失敗を繰り返し崩れる。
逃げ惑う兵士や被験者や死体被験者を見つけては取り込み始めると知覚を思い出したように不完全ながらニックだった頃の姿を取ろうとして違う何かと成っては徘徊を始めた。
人を見つけては殺し取り込む。
そこに何かがニックに掠める。
息絶え絶えの蕾水だった。
最上階の床に転がっていたライフルを手に発砲する。
まだ蕾水達は召喚されて1年経っていないため発砲訓練は開始されていなかった。
そのため始めて触った銃はニックに当たらず瓦礫や地面に銃痕を作るに終わる。
蕾水の持つライフルと蕾水を複数の眼球に映しニックは何かを思い出したように下卑た笑みを見せる。
そしてダロダロの身体を人間の元に変えてニックを形取ると知性のある瞳で蕾水へと歩き出す。
ライフルを掴み蕾水は払い除けられ倒れる。
全てを思い出したニックは大声で笑い上空にレーザーを発射しそのまま残りの瓦礫と化した訓練施設をレーザーで焼き尽くし始める。
大笑いして蕾水を殺そうとした時、高速で飛んできた影に殴り飛ばされていた。
突然の事に呆気に取られるも之郎だと安堵し見やるとそこには騎士のような格好に盾と洋剣を持ったその人物が居た。
騎士は蕾水に近付いて来る。
身構える蕾水に騎士は止まると手を差し出す。
「大丈夫?
私だ、コゼットだ!」
コゼット、本名を月城・グッド・コゼット・鏡雨子と言う。
彼女は之郎に支援と強力を申し出たアードと一瞬には1人の女性だった。
「アードと逸れてしまってね。
怖いか?怖がれてしまったかな。これが私の能力なんだ。」
言うと顔を覆っていたヘルムが背中等に収納され素顔が現れる。
「それより今はあの化け物をやっつけるよ!」
「はっはい!!」
ニックはヘコんで半分無くなった顔を徐々に元の形に戻してゆく。
そこから一方的な蹂躙が始まった。
雲が太陽を隠し辺りが暗くなる。ぶ厚い雲は、いずれ雨を降らしコンクリートを雨粒が濡らし血の臭いを消してゆく。
倒れ伏し踏み付けられるコゼットは抵抗のように大剣を手の平や篭手の辺りの部位を素材に作る突き刺す。
「バカメ!!
神ノ装甲ハキズ付カヌワァー!!」
「それならコイツはどうかな?」
声に振り向くと蕾水からライフルを預かったハーレル・ハートが手慣れた姿でニックに標準をロックして狙撃する。
弾頭が発射され薬莢が排出され発射残渣や音や振動が伝い弾発光火を辺りを灯す。
1発、2発と無数に放たれた弾丸はニックに命中する。
◆
日出る荒野にして口元に生温い水滴が数度と落ちてくる。
瞼を開けるも逆光でシルエットしか分からず意識が白濁して混濁した頭ではハッキリしない。
俯けから仰向けに直されており、その誰かが笑顔を向けている気がして之郎は意識を再度、手放した。
「ウィリアム……?」
「…………仕方ないな……。」
少しして之郎は雨に打たれる感覚、肌を濡らす不快感で目を覚ます。
之郎には上着やスボンが裸を隠すように掛けられていて之郎は軋む身体に歯を食いしばりながら立ち上がるとその衣服を着ながら呟く。
「ウィルなのか?」
親友を思い、彼なのかならば彼は何故こんな事を何処にいるのかを過るも言って火の手が上がる訓練施設だったらしい廃墟に向かって之郎は走り出した。
◆
「効カン効カヌハァーーー!!
ゴミクズが死ネェ!」
皮膚に弾かれ弾丸は明後日に跳び崩れたコンクリートに隠れていた蕾水の近くに貫通し驚く。
掴まれたコゼットは暴れて抗うが下卑た笑い声のニックに死を覚悟したその時、高速で飛んできた岩の衝撃にニックごと吹き飛ぶ。
ニックの手から離れるも破片や衝撃に気を失いかけるが現れた之郎に抱えられる。
之郎はそのままニック目掛けてラリアットを食らわす。
額や腕から雨の水滴が之郎の移動に横にずれる。
頭と胴体が伸びて粘液のようた瓦礫の壁に激突するとスライムのような形で地面に落ちてベチャと音を立てる。
「大丈夫ですか!
えっと…!?」
「助かった………私だコゼットだ!
それにしてもシロー君は大きくなったり出来たんだね!」
「ほっコゼットさんでしたか!
はっはい。そうなんです。
その度に身体が抉れて新しいのに生え変わるので痛いんですよ。」
「シローくん!
良かった無事だったんだね!」
「ハーレルさん!
あ!
でも奴はまだ死んでせんよ。
此処で叩いておかないと。」
ニックに向かっていた之郎に上半身だけ人のような形をしたニックが全ての指から銀ピカを放射する。
「カスゴミのブンザイでぇ!!」
銀ピカのスライムが飛び出しハーレルに向かう。
飛び乗られ倒れて暴れて足で蹴り飛ばす事に成功する。
その際にライフルと靴を奪われている事に気付きハーレルが飛び退くとニックはライフルを連射して発砲していた。
1発だけ当たってしまいハーレルは激痛に叫ぶ。
このライフルは先の予行演習の時にも之郎に攻撃を与えた対被験者用に開発された回復を阻害する特別仕様の弾丸のみが装填されていた。
「バカめぇ!!
シローと言ったか貴様の体を全て寄越せぇ
俺はもう一度神になる。」
ハーレルの様子に之郎は確信する。
そして蕾水を目で探し走り出す。
「蕾水さーーーん。
アレをぉ!!!」
「俺を無視するじゃあねぇ!!」
手を伸ばし手が獣の牙顎のようになり瓦礫を喰らいながら之郎を追い掛ける。
それを背中で受けて足で地面に痕を作りながら押されながら蕾水の近くまで来ると頬から汗が溢れて瓦礫を濡らす。
何時の間にか雨は止み晴れた空には虹が見えて、これから未来を想起させる。
「アレって?
もしかしてコレの事か?」
急いで取り出したのは上で之郎から渡された歯型の付いた金属、それは弾丸だった。
「はい、そうです。」
引っ張られ抵抗するも戻る力に負けて右腕から肩、上半身の少しを食われてしまう。
断面から骨が露出し大量の血が垂れる。
痛みから倒れてしまい蕾水は渡しそびれる。
痛みに意識して再生を急ぐイメージをする。
少し早くなった気がして瓦礫を掴むと立ち上がり蕾水に手を伸ばし投げるようにジェスチャーする。
その之郎の痩せ我慢した姿に蕾水は頷き之郎目掛けて投げる。
歯型弾丸は之郎を飛び越えて行ってんしまう。
「あれ?」
手に付着していた|水分(雨粒)と彼女の元々の運動能力が弾丸を高く上げていた。
「蕾水さ〜〜ん!?」
「ごめん、ごめんな〜〜!
本当にごめん!!」
追い掛けるように走り出して之郎は目に止まったコゼットを見る。
鎧に剣に盾を持っている。之郎は自身の再生途中の右肩に左手を突っ込む、叫びと同時に勢いよく骨を引き出し掴んだ手から骨に血管や筋肉、毒々しく禍々しい魔力纏わり付き大型巨大剣のようになる。
影に魔力が戻り、剣に成らなかった溢れた魔力が背中を這い怨念が赤黒い悪魔の翼になる。
牙顎から之郎の一部を受け取り掴むとニックは勝ち誇った笑みを浮かべて汚く咀嚼する。
人の体を取り戻し金色の魔力に包まれながら之郎へと余裕に歩きだす。
手にはライフル、発砲するが手に入れたばかりの肉体で標準は外れてばかりだが、その内の数発の弾丸が之郎に命中する、しかし之郎にはまるで効果がなかった。
それは之郎の追加されてゆく能力にあった。
之郎の細胞は自己強化と自己学習を繰り返す。
一度でも受けた攻撃は徐々に通用しなく成ってゆく。
驚愕し狼狽するニックを他所に空中で歯型弾丸をキャッチした之郎が瓦礫を撒き散らしながら着地する。
そしてニックに血溜まり筋肉巨大剣で斬り付けようとするも叩く形に成ってしまう。
巨大剣は砕き割れ血肉が飛び散る。
脳天から叩き付けられ床に突き刺さり、その衝撃に天井の一部が落下してきてニックに追い打ちを掛けるようにペシャンコにする。
「やったか!」
蕾水が言った瞬間だった天井の瓦礫を破壊して現れたニックは大きくなりながら腕を振り回して周囲を伸びた爪で破壊する。
暴れる風圧や殴る蹴りは之郎達をバラバラに1人にしてゆく。
壊れた大剣の取っ手の骨をニックに投げつけた之郎の手に歯型弾丸はキラリと光る。
邪悪に叫ぶ巨大なニックに飛び乗り落ちないように走り出す。
太もも、身体と駆け登り、邪魔だと之郎を狙う腕を足場に飛んでニックの額の目玉に歯型弾丸を突き刺して力一杯に押し込める。
この歯型弾丸は再生を阻害する効果のあるライフル弾だった。
「グワアァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!?
神である俺に逆らうなぁ!!!
人間のゴミクズ風情が神に俺様にぃ!?」
尚も巨大化を続け大きく大きくニックは成っていき巨人のようになる。
「お前は神じゃない身も心も汚いゴミ以下のヘドロの汚泥だ。
汚物のウンコの神様だ!!」
痛みに暴れ後ろに倒れるニックは土煙を起こして瓦礫を更に破壊する。
ニックはヘソの辺りから2本の複腕を生やして之郎を捕まえようとするが首から鎖骨辺りにある神経を引き千切られ左の眼球を刳り貫き潰す。
絶叫して仰け反り苦しむニックに乗って居る之郎にコゼットが大剣を投げ渡す。
「シローーーーーーっ!
受け取れ!!」
回転して飛んで来る大剣に之郎は、しくじり大剣はニックに突き刺さる。
「ウッ!?」
大剣を引き抜きコゼットの大剣に之郎の魔力を纏わり付くとサイズは大きく大きくニックに割り入れるように斬れるようになってゆく。
足場に足形を作りながら力を目一杯入れて飛び上がり空中で縦回転する。
汗が散り身体が悲鳴を上げるがスピードを上げてゆく。
高速でノコギリのようになるとその勢いのままニックに降り掛かる。
急降下した之郎は右半身と左半身が真っ二つに斬られる。
ニックのマナメタルは臍の辺りに大量に有ったようで長い絶叫が途切れて暫くジタバタしていたが止まる。
ニックの死体はマグマのように燃え上がり周囲の物という物を焼き尽くしてゆく。
1人立ち上がる之郎の姿に僅かな生存者が近くや遠くから見ては、これまでの全ての出来事を之郎のみの仕業だと言わんばかりに溢す。
化け物!魔人だと悪魔と叫ぶ。
焼き落ちる天上や燃え上がる瓦礫に之郎は目を回しながら立ち尽くすのを無理矢理に立つも倒れそうになり蕾水に肩を貸されて最後の最後で決まらないなと蕾水に感謝を伝える。
蕾水の答えは “1番の美味しい所を取られたんだ、肩くらい良ければ幾らでも貸してやる” だった。
そしてコゼットやハーレルを見つけて之郎は手を差し出した。
「行こう」
最後の力を振り絞って此処から離れ無ければと之郎は3人を連れて連れられて火災現場と化した訓練施設だった地獄が地獄の業火になる姿を背に、この騒動に町からやっと遣ってきたらしき国の兵達ら等に見つからないように混乱に乗じて闇夜にひっそりと脱出した。
◆
◆
あれから随分と時は経ち。
「やぁ魔人の生き残りジャイアントさん。
快適そうには見えないけど。
元気?」
幼い声に灰色の重たい首を動かし見上げる。
エルフの少年は月夜に浮いていた。
彼を見下ろし彼を恐がらず遠慮無しに問い掛ける。
「滅びた国の瓦礫で寝起きしてるのは誰かを忘れないため?」
エルフの少年の失礼な言葉に興味は無いと、そっぽを向きかけたその瞬間。
「君、日本人だろう?
魔人さん!」
エルフの言葉にドクンっと心臓が久し振りに跳ね上がった気がした。
そしてシロウは巨大となり襲い掛かっていた。
急ピッチで終わらせたので変な所有るかもと思いますが次回より新章・リンネ編に戻ります。
拙いですが面白いと少しでも感じましたらブックマークや星の評価宜しくお願いします!




