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37話 魔人の伝説編 (12)

あっ長いです。

4日目

 ネオ計画、不死と冠されているが彼らは完全に不死では無い。

高い再生能力を有しているが、その元であるマナメタルの破壊、魔力の供給を絶えば、或いは心臓・頭や首等を同時に破壊すれば個人こたい差は有れど殺害する事が可能だろうか。


「今まで、この人体実験で無念のうちに死にカスみたいに漂流してたアイツらは集合思念体となり僕達の中にある。

この燻ぶる感情の正体はコレだ。

通常の適正量を遥かに超えたにも関わらず今も尚、生きているのはコイツラのお陰ってのもあるらしい。

まぁもう意思みたいな物は希薄だけどな!」


 足元の渦から人差し指で突いてみたり手の平で転がしたりと嘲て見せる。


「迷ってたけど僕のする……したい事は変わらない。

いや追加されたって感じかな。

ぐずぐずしてる暇はない。

だから殺さない。仕返しはそれで充分た!!」


「ふっ、面白い……僕らしいな」



 地下研究室から地上に出た訓練施設は、まるで様変わりしていた。

壁や建物には銃弾の跡、爆発し今も尚、燃え上がる建物に殺された兵士や被験者達の死体いたいが転がり放置されている。


 之郎と蕾水は息を潜めながら之郎の部屋に向かう。

無惨に殺された中には之郎や蕾水の顔見知りや之郎を軽蔑や批難した者も居り、そんな彼らを尻目に蕾水の部屋に到着する。

之郎は入り口を警戒している間に蕾水は着替えや靴を履き、事前に用意していた軽い荷物を持ち之郎の部屋へと向かう。


 到着した之郎の部屋は酷く荒らされた後で何とか着替えた之郎は自分の荷物を蕾水に預けようとした。


「なんのつもりだ?」


「今も銃撃戦は続いてます。

ここに来るまでも敵と擦れ違いました。」


「だからなんだ?」


「逃げ切れません!

奴らの狙いは僕です。」


「ならっ余計伴に逃げよう!!

最初からその計画だろう?」


「………はい。」


 一瞬の逡巡 (しゅんじゅんのち、之郎は覚悟を決めたように答える。


「だからです。

僕が囮になります。」


「何を言い出すんだ!?」


「分かってます。

でも死ぬ気は有りません。

もう簡単には殺されませんしね!」


「ふざけてる場合か!」


「しっ!

上階から複数の降りてくる音がします。

気付かれたかも知れません此処に向かって来てます。

迎撃に向かいます。

それにウィルの事が気掛かりですから!

プランBの落ち合い地点で合流しましょう、では!」


「なっ何を……勝手に決めるな!

バカモノ………。」


 いつものように気丈に振る舞った蕾水は表情に隠しきれない感情を顕にしていた。

 

「すみません!

でも大丈夫です、道中で生存者を助けてみせますから!!」


 走る之郎はそれに気付かない。

之郎の目指すは最上階だ。


 自身の全ての所業を思い出した時、之郎はこの地獄からの脱出を諦めた。

希望だと縋った光は己の犯した悪意の上、闇が見えていなかっただけで直ぐ近くに有り紛れもなく自分が地獄の使者だった。


 最初の暴走は混乱していたとしても之郎自身が人を殺した。

リンダ・ネルソンを救出に向かった倉庫では先の殺しを忘れようとして生まれた人格が夢現ゆめうつつに之郎と溶け合うように戦った。

そして予行演習に向かっている際の襲撃ではフラストレーションや殺意、怒りが爆発した感情は混ざり溶けた本能が暴走し2人の之郎が1つになり殺戮を成した。


 もう後戻りは出来ない。

吐いた唾は地面に落ちるだけ。

出来うる抵抗は落ちる前に手で掴むか地面の染みになる前に踏んで形を変えるか…………そして之郎が選んだのは……。

この元凶、ニックを我が身を犠牲にしてでも止める。

殺す事、無理心中しんじゅうしてでも召喚を止めさせる事、それが之郎に出来る考え得る最高の贖罪だった。


 之郎はウィリアムの居る2棟に向かう最中にニックの部下みかたである兵士に見つかり躊躇せずに腕や足の一部分を隆起させ殺してゆく。

そんな之郎を付けている者がいた。

ハーレル・ハートだ。

之郎はハーレルに気が付きながらも敵対的行動が無い事、先を急いでいたため無視して進む。

すると前方の室内から荒い息の人物を確認して之郎はノックをして様子を待つ。


「誰だ!」


 声の主は老人だった。


「青田…………割れメガネの青尻です」


「坊主か!?

割れメガネのへなちょこの青尻坊主のか!」


「そうで、…す……青田之郎なんですけど入りますね。

失礼します!」


 銃弾痕があるドアを開けて急いで閉めて入ると老人に介抱されている四十代の男性がいた。

之郎が聞き分けた息の荒い、瀕死の人物は彼だった


「坊主!

こいつはワシを庇ってな、あの治癒が発動せんのだ。」


 之郎を知る、この人物は之郎と同じく見込み無しと見なされた無能の烙印を押されウィリアムと似た経緯で時折、之郎と話していた1人だった。


「見せて下さい。

この人は多分、僕達と同じ同期です。

………恐らく銃弾が核みたいな物に当たって再生が遅れているんだと思います。

ですが微かに傷を塞いでいるので大丈夫だと思います!」


「そうか、そうかそうか。

良かった。悪かったな之郎の坊主!」


「いえ、でも此処は危険です。

急いで批難を!!」


「分かっとる。

だけんどな、ワシの体じゃな。

このまま死だ方が、それを待つしか…………。」


「何言うんですか!?」


「だけんど!」


「そうですよ!

それでは貴方を助けた彼を無碍に、勇気に報えないですよ?」


「あんたは!?」


「ハーレル・ハート!」


「どうも!

どうやら僕は君を誤解していたようだ。

少なくとも志は同じ、いや近い。

悪かったね!」


 2人の会話に、ついて行けていないため困惑する老人にハーレルは嘘臭い笑顔を貼り付けた顔を向けると手を差し出す。


「貴方も彼も死なせはしません。

ですが安静に!

僕の味方が来るまで僕が貴方がたを護衛します。

シローくん、君は君のするべき事をしてください。

微力なれど尽力されて頂きますよ。」


「分かった。

避難を急いで下さい。多分、戦場になるし壊れる。」


「……ですね。

貴方は強い!

御老人、コレを。少しケガをされています。

シロー君も!」


 言って投げ渡されたのはボトルに入った液体で医療用と記されている。


「もしもの時は飲むなり掛けるなどして下さい。」


「あ、ああ。助かるよ。」


「容量には気を付けてですよ。

では!」


 思いもしない出来事に何故か心が温かくなるも之郎は自分の目的のため階段を駆け上がる。

ハーレルは之郎の行動に嘘が無いと確信して彼の目的を察してハーレルは自身の出来る事を、そして之郎の助けに成ろうと行動を開始した。


『重たい体にも慣れてきた気がする。

でもキツイ。ウィル、無事でいてくれ!!』


 嫌な予感はしていた。

人気ひとけが少なくなり銃痕や魔法の戦闘痕や血が飛び散っている場所を突き進むもウィルの部屋はドアは壊されたのか無く室内も戦闘が有ったようで壁や至る所に銃痕や血の痕に酷く埃臭く誰も居ない。



 ウィリアムに充てがわれた室内には戦闘痕や流れた血痕が見られ本人の死体等が無いことから死亡したかニック達に連れ去られた可能性が高く行方は不明であるため僅かな希望に縋るように手を震わせる。

之郎は自分の不甲斐無さに握った爪が食い込み血が垂れる。

それも数秒で再生して之郎は苦い顔をして感情に任せないと思いながらもウィルの部屋の窓から飛び出てニックのいる本棟に跳んだ。


 跳躍は当たり前に本棟には届かず地面に落ちてゆく。

着地する寸前、之郎は砲弾に狙われ爆発する。

白煙から現れた2メートル超えの巨大化した之郎は首を振り嫌な顔をしながらペッと血を吐き捨てる四方八方から集中砲火を食らう。

1つ1つ破壊しに飛んで回る。

終わると疲れたと言わんばかりに胸に両手を刺し食い込ませると皮を剥いで通常ふだんの姿に戻り捨てると、そのまま走り出す。

裂かれわかれたくろぐろしい肉片にくたいは腐り周辺を少し腐らせて空気に溶けるように消えてゆく。


 走りながら兵士を薙ぎ払い吹き飛ばす。

ハーレルやアードの仲間だと思われる者達や、この訓練施設の兵士やその他の勢力も見られるが之郎の邪魔をしない限り此方からは攻撃せずに進むも銃弾や魔法の球等による妨害が煩わしくなり之郎は力を入れた太ももや足の筋肉が血管を浮き上がられる。

地面は靴跡を作り、罅割れて広がる。

飛び出した之郎は行き過ぎた空中の空に、ぶつかり雲にポッカリと穴を開けて焦る。

まだ、いや又、能力を制御をと言うより能力の全貌以前にアップデートされ続けて変化したためか把握も理解も出来ていないため慣れるには時間を要するだろう。


 落下した先は丁度、ニック・チョッパーがいる本棟の屋上だった。

そのまま着々する勢いのままに重力で増した体重は威力と成り屋上を破壊して最上階にあるニックの居る部屋に破片と伴に之郎を案内する。

驚く之郎とニック。

先に行動したのは軍人であるニックだった。

ニックの腕は岩の皮膚よろいに変化し破片を粉砕しながら之郎を殴り鞭のように振り払った。


 床を転がり壁に激突して止まる。

咳と血を吐き起き上がろうとして腹部に蹴られ踏まれ尋常では無い力で身動きを止められる。


「そっちから来てくれるとは案外使える奴じゃね〜かよ!」


「何でこんな事をするだぁ!!」


「あん?

テメェのせいだろうがい!

テメェが暴れたせいで俺の存在が上に露見ばれちまったんだよ!

んで予定を繰り上げてこんな事になったんだろが!どりぁ!!!

へいへい!こんなモンかよおい!」


「ぐはぁ!?」


「オイオイ、そっちは大事なモンが有るんだ壊すなよ!

ったく………まぁ俺様は計画性があるから抜かり無ぇんだ!

こう言う事も有ろうかと兵士の半分は俺様に取り込み済みよ!」


「違うっ!!

なんで、なんでぇーー!

僕を狙っているんだ!

それに鷲尾達を差し向けたのもアンタなんだろ!

もう1人の僕が行っていた!」


「はぁ?

意味の分からん事を!

だがまぁ〜当たってはあるな!

やっぱお前は欲しいぜ!」


 犬歯を見せて光にギランとされると部下のオペレーターである兵士1人を破片等を取り込み巨大化した腕で掴み悲鳴を上げ懇願する彼を見向きもせず潰す。


「俺はこの逝かれた実験に神を見た。

だがゴミでやっても意味がない。

俺のような戦場を生きた選ばれた者がしなければ所詮はゴミの神になってしまう。

分かるか?

だから俺自ら申し出てやったと言うのにソレを拒絶しやがった、だから俺は勝手にする事にした。

結果、俺は細胞壊死反応リ・リジェクトを拒絶を起こす事無く貴様らゴミとは格別のチカラを獲た!

次はお前だ!使えると失望したがこんな隠し玉を持っていたとはだから合格だ。

お前のチカラを寄越せ!」


「何を言ってるんだ。」


 話を聞きながら之郎は気づかれないように位置取りを徐々に変えていた。


「お前は資料を見るにぃ〜

ゴミの中の原石足るからな、余すこと無く喰ってやるからな!!」


 下品に笑い隙だからのニックの足を掴むとし曲げる。

情けない声を出すニックを他所に起き上がる之郎は、この部屋に不釣り合いな複数ある培養槽の内の1つを肘から拳で破壊する。


「【肥巨-腕化-ジャイアント】!!」


 曇ったガラス張りから見えるようになった中身しょうたいと培養液が漏れ出る。

それは失敗作のようなイビツな姿の被験者だった。

色んな別々の物を繋ぎ合われたような死体然とした生気と意思を感じさせない男性は鼻やクチから培養液を垂らしながら感情を見せない瞳で之郎に襲い掛かる。

驚愕しながらもヒラっと躱すとニックにも襲い掛かる。


「くッ!

あぁ?何ぃーーー!?

おいどうなってる!早く操作しろ!」


「はいぃーーー!!」


 気弱な部下オペレーターは急いで操作盤へ向かう。

すると次々に割れて液体と被検体達が排出される。


「何をやってんだノロマがぁ!!!」


「すっすみませんんーー!」


 無作為に暴れていた死体被検体ゾンビ達は攻撃をピタリと止めるとギギギっと首を動かし之郎に視線を合わせると之郎のみを標的にし始める。

10体にもなる敵に之郎は奔狼され更にニックも加わり入り口近くまで吹き飛ばされてしまい頭から血を流す。

入口ドアを手に立ち上がると不意にドアが開き光が漏れ出て眩しくて目を細めた。

そこに見え居た人物に今度は瞳を大きくされる之郎がいた。


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