4話 12月/0歳 赤ちゃんと鳳雛(ひな)
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1/10、言葉やセリフを修正・変更等を行いました。
2025/06/21、加筆・修正を以下同文。
飛行魔法から身体補助に切り替えて魔力を温存して辿り着いた矢先、ミルフローラはリンネが自身に飛び込んで眠りに付き困惑するも動揺はしなかった。
その直後にはミルフローラは左手に我が子を抱えながら右手に愛剣〈プシゥルムダンソード〉をファイアーバードに向けながらも攻撃するべきかを決め倦ね躊躇うのだった。
彼女はリンネが魔法とは呼べないまでも魔力を操っていた事には感ずいていた。
しかし、ここまで体を補助し動けるとは思っても見なかった。
この魔法動物=魔物と意思を通わせているような節さえ見受けられるのも拍車を掛けた。
そこにミルフローラが、一向に敵意を見せながらも様子を伺っていたためなのかファイアーバードの母鳥はノッシリと片足を上げると鉤爪の1つをミルフローラに差し出してくる。
ミルフローラは最初こそ警戒を強めようとしたが人差し指のように向けられた鉤爪に対話のソレを感じ、このファイアーバードは魔獣では無く唯の懸命に生きる動物、母親なのだと確信する。
そして剣を地面に刺すと右腕を伸ばした。
『エルフの女王よ!
ワタシには貴女にも。
勿論その赤子、エルフの国にも敵対の意思は無い』
脳内に聞こえるファイアーバードの声にミルフローラは悪意も無ければ嘘や偽りも無いと判断すると素直に受け答える。
王として。
母として。
『「ファイアーバードのヌシ!
そなたを信じよう。
さすれば何故、このような愚行を?」』
ファイアーバードとの会話は発声と脳内を同時に行う事で心意を外にいる双方に向けて知らせる意味も含まれていた。
魔力探知で部下が遠からず到着するのを把握するとミルフローラとファイアーバードは齟齬や誤解を解いてゆくのだった。
『「分かった。
余も協力を惜しまない。
息子もソチを気に入っている様子だ。
協力するなら最善を尽くそう』」
『何から何まで寛大な態度、魔物への対応…………感謝しますエルフの女王。』
『「長生きなだけだ。
‥‥‥‥名乗っていなかったな、ミルフローラだ」』
『先に名乗らせてすまない。
この周辺をネジロとして1000年程。
人類圏ではファイアーバードと呼ばれている。
名前は貴女達を真似てアカの王と自称していた。
差し支え無ければアカと呼んで欲しい』
『「アカか、あい分かった。
それでは下に部下が着いたようだ。
この子の着替えや諸々を終わらせて戻ってくる。
それまでの数分、アカは卵を暖めてやってくれ」』
『ああ、そうさせてもらえると助かる』
◇
うがっ!?
しまった、もう夕方か!
………母!?
母…………何してる……の??
哺乳瓶に搾母乳だっけ。
直接入れてるんだ。
粉ミルクだと思ってた。
うにゃ、この世界まだ粉ミルクとか無いのか?
起きて感情表現豊かだったからなのか抱えられながら見渡すように絶景を見せてくれる。
母鳥達も、どうやら無惨な事には成って無いようでタマゴ共々無事なようだ。
母親になんとか伝えようとしてみたけど無理だったはずが母もタマゴに魔力をあげてる様子だ。
起きた俺にも届くようにしてくれて魔力を、一緒に送っていると少しして殻が罅割れて中から赤い羽毛の雛が生まれる。
一匹の誕生を皮切りに次々と出てきて6匹が無事に産声?産鳴き?をしてピョコピョコするとチョコチョコトコトコピョンピョン歩き出す。
それぞれ赤色が微妙に色違いで毛も寝癖みたいのが違うから見分けは出来るかな~
巨母鳥の足元に集まったり俺や母の所でピョコピョコ・ピヨピヨしてる。
ちっこいな~
その一匹が巣の崖から下を見ようとしたのか落ちてしまう。
俺は咄嗟に彼 (彼女?)を追いかけて助けに行って自分も宙を回っていた。
まずい、これは死ぬ。
おっ、雛鳥見っけ!
キャッチ!!
ベイビーがベイビーをキャッチ!
ベイビーキャッチ!
うわら、ダメだな。
死んだわコレ。
ん!
覚悟を決めて目を瞑った。
うっダバァ!?
傘になるようなアホみたいに大きな葉っぱがトランポリンになって水溜りと跳ねて上がって下がってを繰り返して空を飛んでいた。
それを見た他の兄弟も真似して皆で、ぴょーんぴょーんしては遊ぶ事になる。
おほ~~この浮遊感、ジャンプ!
ジャンピング!!
たまらない、飽きないね~
もっと遊んでたかったが丁度、1番高く跳ねて巣より少し上の所で母にキャッチされてしまい、この遊びは終わった。
不完全燃焼だ。
「私を殺す気か!?
焦った。
リンネ、痛い所はないか?」
次々に回収される雛鳥たちと隅々まで傷や体が曲がってないかとか言われながら確認される俺ちゃん達。
も少し遊びたかったよね~~ケチ~
生まれたばかりの雛鳥達は眠くなったのか俺と一緒に眠りに就いた。
「こらリンネ暴れるな!
母はこーゆうの苦手なんだ~」
まぁその前に俺はオムツを替えられ哺乳瓶を飲み、ゲップしてからが鉤括弧に付くんだけど。
鳥ってポワポワでヌクヌクだぁ~
目を開ければ真夜中、母が魔法でバリアを作ったのか薄い膜で星空が暈けて見えている。
雛達は食事をしたのか母鳥の近くで集まって親子仲良く眠っているようだ。
俺は母の腕の中。
やっぱ、ここが1番安心するのよね。
‥‥‥‥‥‥‥‥すること無い。
暇だ、帰らない?
慣れない環境下での1人育児に疲れたのか母は舟を漕いでいる。
しょーがないな俺も寝るか……チュッ!
おつかれ。
おやすみ!
‥‥‥あっ、その前にウンチしていいですか?
結局泣いてしまったので母は起きた。
◇
朝、別れの時というのは早いモノで、あっという間の1日も終わり。
(厳密に言うと2日かな?)
──の時間がやってきた( ・`д・´)☆キリッ──
別れに悲しみ離れまいと俺の腹や頭に乗る雛たち。
俺も辛い。
でも又、会えるから!
次はお互いに大きくなってからーーと思っていたら母がこんなに居たいなら城に来るか?
とか言い出したので雛含め母鳥や姉娘達も城で住む事になった。
めでたしめでたし!
母鳥さんはファイアーバードの一種で城の近くを縄張りにするアカカと言う名前らしい。
そのアカカの背に乗って俺と雛達は城を目指して飛んでいた。
最初から背中に乗せてってくれよ。
母はその真横を飛行魔法で並走している。
俺達には落っこちないように魔法の障壁付き。
魔物の襲撃も無く安全に城に到着すると俺の部屋は修復が完了しているらしく着陸すると初めて見る所だらけの1階から入って行く。
エルフの魔法は通常より早くて凄いな~
その際に母鳥アカカは巨体すぎるので母の魔法でサイズを小さくされて入城してた。
子供部屋は綺麗に直され止まり木に巣箱、巣に似せたクッション等が追加されていた。
ベッドに置かれた俺は疲れた~と寝ようとして背中の辺りからチョロチョロと虹色の可愛蛇、尻尾の長いトカゲが付いて来てた事に気づく。
コイツも赤ちゃんかな?
付いて来ちゃったのか~~
ベッドの色んな所を移動しては俺に戻ってくる。
ペロペロしてくるので人差し指に魔力を溜めてみると舐めてくる。
くッ、くすぐったい。
あれ?
コイツ、首とお腹の中間の所、怪我してる。
回復魔法を掛けとこうな。
これでヨシっ!
君たちトカゲを食べちゃダメだぞ!!
よし、寝るか!
俺が寝てる間、トカゲが怪我をしていた時に俺の体の至る所やベッドに血の跡を残していのを見つけたメイド達が大騒ぎする事件が発生するのだがスヤスヤしてたので気付かなかった。