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28話 魔人の伝説編 (3)

 あれから7日。

之郎は先に召喚された先輩等からイビられ同時に召喚された同期にも遠目にされ、どの輪にも入れず1人っきりになっていた。


 それには国王側へいし達の之郎に対しての、ある種の特別扱いが招いていた。

男女分かれての、ぎゅうぎゅう詰めの牢屋のような中、之郎は1人部屋を用意され運ばれてくる料理。

奴隷のように管理され毎日戦闘訓練をする者達は之郎と同様に人体実験の成功例だ。

それは大小あれど千差万別の特殊能力を得ているが之郎は召喚前と、ほぼ違いが無く有るとしても視力と体力の上昇や以前より頑丈に成ったくらいで理由も分からず何も説明されないままに特別扱いとの格差が噂が噂を呼びイジメや無視といった嫌悪・嫉妬に繋がっていたのだった。

歩いていると肩を連続で何人にも当てられ蹌踉よろけて転び倒れたり。

2対2のはずの対人訓練では袋叩きに合い。

監視の目を掻い潜り魔力操作の練習だと的にされていた。


 そんなある日──昼食休憩の時間。


「もうやめてくれ!」


 立ち上がって逃げようして立ち眩みなのか転けてしまい之郎は又も魔法の的になる。

金髪の男は、一瞬だけ怯えたが再度魔力攻撃を開始させた。


「脅しやがって、オリャ!

立てやオッサン!

最初見た時はビビっちまったがよぉ!!

どうも気の所為だったみてぇーだな!」


「ジョン、そりゃお前がチキンだったからだろ?」

『まぁ確かに初めて見た時はオーラみてーのに圧巻された気がしたが、それも他の奴のだったんだろ。

今じゃこんな雑魚にありえねぇ話だぜ!』


「なんだとぉ!?」


「やめろバカ、俺達がケンカしたら奴らにバレんだろが。」


「「リョウスケ!」」


「そうだな、俺達にはコイツがいるしな!

おら、抵抗してみろよ!」


 彼等が兵士達から受けた仕打ちとストレス解消に殴られ蹴られていた。


 理不尽な暴力、意味も説明もされず状況さえ分からないまま朝から晩まで続く地獄は1週間が過ぎていた。


『ここは日本じゃない。

それなのに皆が皆、日本語を話し会話する。

文字だけは読めなければ書けもしない。

でも殴られても蹴られても……何故か死にたくないと思ってる僕がいる。

前の……此処に来る前の僕には無い筈の覚悟みたいな物が今の僕にはある。

何故なんだ。

何から何までおかしい。』


 之郎はその自信とは少し違う何かに悩みながらも、その自身の、お陰でイジメやこの生活も堪えられていたあった。

そして彼が耐えられている理由が、もう1つあった。

それは友と言えるか分からない同じ境遇の青年の存在にある。

その彼が今日も之郎の部屋に、こっそりとやって訪れた。


「シロー!」


「やぁウィリアム!」


 彼の名はウィリアム・ローガンス。

アメリカ系の学生だったらしく苦労人の26歳で此処に来る迄は金髪だった髪色も実験の際に白髪になってしまっていた。

之郎より数年前に召喚され之郎と同じように能力を発現出来ず同期や先輩達に彼も虐められている。

お互いに多くない紹介ながら、その境遇からか二人は直ぐに打ち解けた。


「あぁ、そうだ忘れないうちに。

これ、今日の分」


 そういって之郎は自分の食事をウィリアムに渡す。

之郎は優遇されているからか毎食3回、食事が出されるが他の者達は人数からなのか回数を減らされたり兵士の嫌がらせからか忘れられたからなのか決まった食事を出されない事も多い。


「ありがとうシロー。

僕は先輩なのにアドバイスも禄に出来ない。

助けてもあげられないのに、………………本当にありがとう。」


「そんな事無いよ。

僕はウィリアムの話す話、面白いと思っているんだ。

それで昨日の話の事なんだけど見張りのーーー」


 2人はこうやって夜中に交互に互いの部屋で愚痴や悩み事を話し合うようになっていた。


──ウィリアムも僕と同じように友達だって思ってくれていたらな。

もしかしらそうなんじゃないかと考えて違っていたら恥ずかしいとウィリアムに迷惑を掛けてしまうかも知れない──

そう、一度考えてしまってからは深くは切り出せず之郎は今夜も他愛ない話で笑ってはウィリアムを見送った。


「今度は僕がウィリアムの部屋に行く番だ。

それまでに神とペンを貰ってくるよ。」


 手にマメが出来る。

そのマメが潰れる。

鉄の剣を持ち上げるのが簡単になる程の腕力が改造で之郎には出来たが素振りや走り込みと体力には依然と自信メンタルが追い付いておらず。


 日中に出来たマメやイジメの怪我も寝れば何もなかったように回復する。

その事実に之郎は自分が自分で無い気がして体の変化が、この漫画や映画のようなファンタジーの世界が、之郎を虐める彼等や機械地味た対応の執事達が之郎を邪魔者扱いしているようで疎外感。

自分の事も自分が受け入れられていない事に言いようのない気持ち悪さに之郎は拒絶したのはそっちが先なのに何故、自分がこんなにツラいのだろうかと変な感じと自覚の無い微かな苛立ちに之郎は、この地獄からどう脱しようか逃げようかと死なない事ばかり、死にたくない事ばかりを頭に巡らせては現実逃避をしていた。

そんな時、甘い匂いが風と、一緒に之郎の鼻腔に意識を向けさせた。


「なに見惚れてんだよ!

へっ、ナヨナヨオッサンには無理だぜ」


 言われるが同時に之郎は槍で突かれて地面に倒される。

それでも今の之郎の頭には匂いの彼女はんにんで1色だった。

伊駒いごま 蕾水つぼみ

之郎と同じように召喚された同期の中で有り、同期の中では1番の有望株で歳も之郎と近いらしいと聞いた時から之郎は、一方的に尊敬と羨望を込めて心の中でオアシスさんと読んで荒んだ毎日の希望の1つとなっていた。


 そんな彼女が之郎を見て微笑んだ気がして嬉しくなる。

それが気の所為だったとしても位置関係的に見下みおろしていた事と見下みくだしていた可能性があったとしても、この地獄の最中には嬉しい出来事に様変わりしたように見えた事には何一つ変わり無かった。


 その日の夜。

ウィリアムに、あてがわれている部屋で之郎はウィリアムと伊駒 蕾水の事を話していた。

ウィリアムは被験者の中でも適応したにも関わらず能力が弱く発現しないためイジメに因り無駄死にさせないために簡素且つ広くは無いが専用の部屋が用意されていた。


「それはラッキーだったね!

キミのマドンナに直接会えたなんて今までで1番の良い話じゃないか!

次は話掛けられたらもっと良いよ

アプローチの方法、一緒に考えようか?」


「ありがとう。

でもそれが出来るなら僕は此処に居ないよ」


「どうかな?

案内切っ掛けさえ有ればシローは誰とでも仲良くなれると思うけどな」


「そうかな?」


「そうだよ。

ほら此処にその成功例が1人いるだろ?」


「ハッハっ、そうなのかな」 


「そうだよ!

そうだろ?」


 そう問われ之郎は話題を自分から換えようと軽い気持ちでウィリアムの事を聞く事にした。


「そう言えばウィルも好きな人がいるって言ってなかったけ?」


「あっ、‥‥ああ。」


「ウィルの話も聞きたいな。」


「‥‥‥‥‥死んだんだよ。

訓練中にね。」


「っ!?

ご、ごめん。僕知らずに」


「ううん。悪いのは僕だよ、話して無かったんだから。

それにもう1年も前の事だから………。」


 気まずくなった空気にウィリアムは咳払いしてから目立って明るい口調で話を切り出す。


「‥‥‥‥‥‥よしッ今は僕の事よりシローの事だよ!

僕に何か出来る事は無いかな?

ほら恋のキューピッドになれる機会なんて、そうそうないからさ!

それに、ほら応援だけじゃつまらないよ!」


「そ、そう?

って僕には恐れ多いよ!

高嶺の花ってヤツだよ!」


「ホントに?」


「本当だよ!」


「じゃあ〜そうだな───」


 雰囲気を戻した様子に安堵した之郎とピリついていたはずのウィリアムはもう、おらず昔からの親友のように、たわいない話から今日の愚痴になる。

無理をしている、その話に触れて欲しくないのは之郎が日本人だからしないのは関係ないだろう。

こうやって今夜も耽けていく。

だが2人の友の会話はもう少しだけ朝まで続いた。


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