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15話 7月/0歳 1人目と人間

今話は主人公の根本的考え方。

そしてタグのトリックスターが発揮されます。

R15 シリアス・ダーク 残酷描写があるので御注意下さい。

2025年7月9日、活動報告エルフレガシー2の内容に沿って加筆・追加を行いました。


 俺は元々は母親譲りの金髪だったのが例の、一件以来は後遺症なのか髪の毛の色素メラニン色だっけ?が抜け落ちて髪の毛もストレスからなのか一度全部が抜けてしまい現在は白髪になってしまっている。

そんな俺の髪の毛を興味気に触っているのはガッツ・マクナリーなんとか君、モチモチでボーっとしている印象を受ける坊主の男の子だ。


 サイガは犬耳のオオカミらしく周りの様子も、お構い無しに自分の尻尾をカミカミしている。

付いて来てはいるので大丈夫そうだ。

オムツ取れるから尻尾噛むのヤメな!


 ジャスティンはハーフグラスと言う種族でハーフグラスは成人しても人の半分程、童顔の子供にしか見えない種族なので今の段階では余り違いは無い。

そんな彼は暗いのが怖いのか血の臭いが駄目だったか泣いてしまいフィリップが背中を擦って、あやしている。


 パーチ・ナックルなんとかは俺達の中でも一番の、ふくよか…………大きい。

種族が巨人だと言うのに大きさが変わらないのは魔法でサイズを俺達に合わせて調整しているからなのだが、それを抜きにしても大きくないかい?。

彼は図太いのか眠っている。

何か食べる夢を見ているのか手を、しゃぶっているようだ。

あっ!ポケットにオシャブリが有ったはず、コレを咥えてると落ち着くんだよな。

はぁ~~キマッて来るぜ!!!

タバコ吸った事ないけどオシャブリをキメテる時が1番心が安らぐぜ!!

あーーお腹空いた。

はっ、みんなのご飯どうしよ!?

精霊ーーーーーーーーーーーーーーーーーー!

母上を!!

ミルフローラを!

大人を呼んで来て下さいーー!!

大至急お願いしまーーーす!

これで問題なし!


 この子はラッ‥‥‥‥なんだっけ?

ラッシーとか何とかカメレオンは小人だけどパーチと同じで俺達サイズに変更されている。

彼も怯えているようでフィリップに(しが)み付いているようで中々離れない。


 ティア・サンデー何とかだっけ?

彼女は鬼人で1人先にハイハイして進んでしまうのでカグアルットの腕の中、つまり俺の横で疲れ果てて眠ってしまっている。

髪は長いのかツインテールになっている。

当たってムズムズするんですけどもね〜〜。


 ルーナは人魚で足部分はヒレやウロコに覆われているので水が必要なのでは思われたがスイスイっと空中を泳いでいるのでココと同じ原理なのか無事なようだ。

ってか元気過ぎだ!!


 キャロラインは幽霊族って聞いてたけど透けてないし普通にマイペースらしくハイハイしたりしてるのしで普通に実体あるし生き物だわ。

幽霊族って何??


 そんな訳で小猿に案内された先に居たのは、さっきまで小猿達がしていた姿の大鳥モンスターだった。

しかし、子猿達が変身した姿より、だいぶ大きくて首は無く大きな翼を持つ鳥モンスターなのは同じなのだが、そんな鳥モンスター本鳥ほんにんは横たわり浅い呼吸と鼻息を続けていて苦しそうに血溜まりを作り瀕死なのが、一目で分かる程に急を要する状況だった。


 背中には矢が数本刺さっている。

剣も貫通しているようで地元のエルフとでも揉めたのか身体中に生傷が見える。

俺はカグアルットの腕から飛び出し何とか浮くと鳥モンスターの元に降りた。


「え?

リンネ様!?」


「大丈夫だ。

あっい、いやリンネ様は赤ん坊だけど聡明(ソウメン)って奴だからな!」


 見た目以上に大怪我だ。

って誰が麺類だ!

…………毒矢では無いみたいだな。

小猿の妖精が騒ぎ出すので1人……1匹に触れる。


[お前達は助けを求めて俺達…俺を呼んだんだろ?

ならそれは成功したな。

やり方は間違ってたけどさ、任せろ!]


 魔物や動物、精霊・妖精と会話が出来るはずだが一様は触れてタッチ・テレパスも発動してみるが何とか意思疎通は成功する。

1匹にしか伝えてない筈が大勢いた小猿達は喚くをピタッと止める。

鳥モンスターは、もしかしたら親なのか寄り添ったりと大人しくなっていた。


 パピコ達の時のように力業の魔力ゴリ押しは出来なくなってしまったのだが問題ない。

俺には現代日本の医療知識がある!!

(まぁそれも、そもそもがそんなに詳しく無いし。

記憶も朧気だけども)


 生物の誰もが持つ自己治癒能力。

過程を魔力で促し加速させてやる。

精霊!

森の妖精!!

足りない魔力を貸してくれ。

流した血と汗の水分は果物から。

水魔法で……そうだ。

フィリップ達にも手伝ってもらう!


 エルフでは無いフィリップ達には精霊・妖精の彼らが姿を表さないし見えず声も聞こえない。

なので精霊達に確認してオーケーを貰ってからフィリップ達に攻撃目的では無い飲み水としての水魔法を発動してくれないかと伝言を頼む。

後方からフィリップとカグアルットの驚く声が聞こえて彼らの光景を幻視する。

今は目を離せないのが少し惜しい。実際はだんなリアクションをしたのだろうか。


 少しすると空中に水魔法を浮かせて維持しながらカグアルットがやって来る。


「リンネ様?

痛いの治る?」


 それは出来る。

だけど死なないかとは別で微妙なんだよな。


「おいリンネ……様!!

矢は抜いたのに。

全部取ってるってのに何で剣は抜かないんだよ!

血ぃ出てんだぞ、可哀想だろが。」


 あっバカっ!!

空気を圧縮して手を模した《エアーハンド》で制止したが間に合わずフィリップのバカが柄を少し抜こうと動かしやがった。


「なにしやがんだ!?」


 エアーハンドでペチンっと頭を軽く叩きながらも俺は無理をして吐血しながらも鳥モンスターの急変のため更に魔力を使い回復魔法を多重発動する。


 赤ん坊達が遠くに行かないように世話しているカグアルットは俺の名を呟きながら手を合わせ祈っているようだ。

確か、この国アクアテールは特別宗教形態も信仰も無いと聞いていたのだが敢えて言うなら母ミルフローラがそうなのかも知れない。


 ふぅ。

魔力も体力も危ないな。

治される方も治す方も大変で、一時でも気が抜けない。

カグアルット達が用意してくれた水も役に立った。

精霊達の助けも有って何とか山場は越えられたかな。

俺経由で小猿にも伝わったようで場には安堵の雰囲気が流れる。

疲れた。


 治療が終わり気を緩めてしまった、まさにその時だった。

鳥モンスターが横たわる場所の木々、その後方の影からグワッと草木を押し退けて勢いよく1つの人間が飛び出して現れる。


 咄嗟にカグアルットや子供達に魔法のバリアを展開する。

人数は1人。

伏兵無し。

人間、男。全身が泥や汚れで少なからず汚れている。

服装や装備の下等には乾いた血の痕が多数見て取れる。

この男性のモノばかりじゃないのだろうが問題なのは、この男の服装や装備、格好から予想されるのが冒険者のソレでしかないという事だ。


 少ない武装から予想されるのは森を彷徨っている間にでもに落とし

焦燥した様子なのに血走った目と形相なのが引っ掛かる。

対象は考えるまでも無く、この鳥モンスターだろう。

向けている感情は復讐か?

いや殺意からくる自棄糞感!


 そしてこの人間が現れたと同時に怒りを顕にしてる小猿達からして鳥モンスターと争ったのがこの人間なのは明白だ。

ってか人間はアクアテールに入れないんだったよな。

城にも何人か人間はいるが冒険者がエルフの国で活動は出来ないはずだ。


 あーーーー!?

そうか思い出した。

魔物達の持ってきた依頼の中に人間のモンスターに襲われた事件が有ったぞ。

たしか1ヶ月前くらいだったかな?

その残党か何かの生き残りだとすると、あの出来事からずっと潜伏してたって事か?

だとしたら死太(しぶと)いな。

この広大な森で寝起きしてたことになる。

その無駄な図太さ、他の事に生かせよ。


 現場に行けなかったのは事実だが依頼解決とは行って無かった訳か。

これは……俺のせいだな。

よくも。…………よくも俺をココまで疲弊させてくれたな。

俺も元々は人間だ。

前世も前前世だから、よく分かる。

それに冒険者にこそ成った事は無かったが仕事内容も生活水準も知っているつもりだ。

何故なら前世では勇者一向として世界を旅して冒険者の真似事もしてたし協力関係に成った事だってあった。


 でもなぁ無意味な殺生は看過出来ない。

特にこの世界は魔物や魔獣は危険なんだ。

人間の方が弱い。

素材が武具に、薬に、そのために狙ってるっては有るだろう。

でもなんだ?

エルフの国に密入国してまで泥まみれになってまでして得たい物ってなんだよ!?

この変な鳥モンスター討伐して獲られる名誉は英雄とは程遠いだろ。

その果ては、この国での犯罪者っていう称号だけだぜ?


 それも今は目的が鳥モンスターとの戦闘から受けた私情に変わっている。

因縁を作ったのは自分自身だろう?

全く、それは子供達を危険にしてまでする事なのか?

決めた。お前は俺の敵だ。

最悪は抹殺対象にする。

カグアルット達を守るためのバリアの強度を上げる。


 言い訳するとしたら、この子達を死なせない自負は有っても怖がられられない自信ないし、これ以上危険には晒せない。

だから悪いが死んでくれ。

恨むなら俺を恨めよ、名も知らぬ冒険者。

吐血して倒れそうになるがその飛行速度を利用して強めるように人間の冒険者に飛び付く。


「死にやがれぇぇぇぇえ!!

ッ!?

なんだ、このガキはぁ!?

間抜けめ、自分から飛び込んできやがった!

う!?

ウギャア嗚呼呼呼!」


 男の持つ欠けている剣を()り抜けるようにして片腕を掴む。

把握反射だ。

原始反射とも言うらしい。

あの父親は案外物知りで赤ちゃんはまだ力の制御が出来てないからだとか掴むのが苦手だからとか言ってたが、一瞬でも隙が作れたら此方のモノだ。


[今だ!

水の精霊、俺の魔法を強化してくれ!!]


 俺は前世、勇者の一行の魔法使い─賢者─として補助や後方支援を行っていた。

だが本来は攻撃が花形なのが魔法使い。

そして俺は水に氷系統を特に主として使っていた。

理由はイメージが簡単なのと少ない魔力で強力な、一手となるから!


 凍れぇ!!!

添えた手から冒険者の男は空気中の水分・魔法からの水、そして自身の体温とで急速に凍り付いて身動き出来なく成ってゆく。

せめてもの情けは冒険者自身の体内の水分と血液を凍らせ無かった事だ。

まだ聞きたい事は山ほどあるのだから。


 はぁはぁはぁ。

はぁはぁ。

もう、一押しだ。チョンっと人差し指で触れると半透明の氷塊に罅が入り割れてゆく。

冒険者の身体が割れ無いように気を付けながら崩れる凍片が音を立てて落ちて冒険者は倒れる。

急速に氷らせられた体、表面に衝撃。

二段重(にだんがさね)の俺の十八番(オハコ)だ。

子供には刺激が少し強すぎたかな。

あ~体力が尽きた。

あとはミルフローラ達を待って、お家に帰るだけだ!!


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