13話 7月/0歳 友達と誘拐
2025/06/28、微量の加筆を行いました。
母ミルフローラは女王として今回のホストでもあるためパフェアに俺を任せて親達・大人だけで仕事の話でもしている様子だ。
抱えられて暇なのでバレない範囲で魔力で聴力を補助すると会話の内容が聞こえてくる。
親等の話に耳を傾けてみると面白い事が分かってきた。
俺が懐妊したと、ちょっと違うか。
女王ミルフローラが俺を妊娠したと新しい命を身籠ったと分かって、それぞれがフフフンを急いだため産まれ年的に範囲が同じでもまだ産まれていない家系もあるのだとか。
まぁ俺、12月生まれ、年末だから~~~そういうの詳しくないけど大人って大変だな~
あと、この場に人が居ないのは寿命から俺達とは成長スピードが違うってのを仕事中のメイド達の会話で分かった。
1人、赤子がウンウン頷いて納得しているとそこに近づいて来る人影が…………?
◆
俺はパフェアに見守られながら赤ちゃん同士で意思疎通こそ出来ないが順番でやって来ていたメロディ家のルーナと、その両親達の相手をしていた。
すると、とある2人組が俺達に話し掛けてくる。
「美しいマドモアゼル方!
宜しいですか~?」
そう言っているのは姉カイネと同い年か少し上くらいの男の子だった。
料理人の格好と見習いのゼッケンを付けていて、その後ろに控えるように立っているのは料理人の女性で、タイミングとか絶対今じゃ無いだろと思ったが子供で見習いなら俺とかへの挨拶かなと予想する。
けどやっぱ挨拶に来るの今じゃないだろ。
第一声も可笑しいし。
後ろの女の人も、あちゃーって顔してるし。
そんな彼女の言葉で予感は大体当たりを見るのだが…………。
「失礼しました。
彼は料理人長デール・グリフォンの息子、フィリップ・グリフォンと言います。
殿下に御挨拶に参りました。
ほら。」
「あっ、あ、えっ、はい。
フィリップです!
リンネ様、ルーナ様。
メロディ家の旦那様、そして美しい二人の~」
あっこいつメロディ家の奥さんとパフェアを見る目がエロいってか年上好きなのか!
単なる只のエロガキだな。
先の言葉に後ろの女性料理人に拳骨で邪魔される。
このために彼女は付いてきたっぽいな。
「こふん。
申し訳ありません。
彼のお目付け役……教育係のレール・モー、牛の獣人です。
失礼を、、いえ本当に申し訳ありません。」
「いえいえ、大丈夫ですよ」
「レール、心配ない!
君の事も忘れてないさ」
「黙りなさい。
場をわきまえなさい!!
あっ!すす、すみません!」
「うむ、今からこのように軟派では大変だろうがワタシ達から、これ以上は無いよ。」
「お心遣いありがとうございます。」
「ええ、コチラからも有りません。」
そうなの?
こいつパフェアのおっぱいガン見してるよ今でさえ!
「ありがとうございます!!
ほら本題に入りなさい。」
「えっ、あっ!
自分が作ってみたクッキー等があるのですが御試食、お願い出来ませんか?」
「構いませんがルーナもリンネ様もまだ離乳食もまだですよ?」
メロディ夫人の言葉にパフェアは軽く会釈をして俺は興味が無くなったのでルーナ嬢が俺を触ってくるのをされるがままで寝ようかなとシストする。
赤ちゃん同士で切った張ったのワチャワチャ感、逃げれるモノなら逃げたい。
力強いんだコレが…………痛いんですけど。
「はい。それは分かっています。
父からも同じように言われました。
ですが俺、………ワタシの今の腕前を知って頂きたく存じまして参上しました。」
頭上では、まだ続いてる。
悪く言えば生意気な子供の言葉に最初に賛同したのはミラージュ家の人だった。
「なるほど。
未来の王と未来の妃候補、その親達に今から自分を売り込むつもりだな!
ならば家のカグアも忘れるなよ!」
確か旦那さんだけで来てて、聞こえ聞いた話だと奥さんは仕事で来れなかったとかだったな。
「食べていい?」
娘本人であるカグアルットは大人話より目の前のクッキーやケーキ等に手を伸ばしている。
この子は俺達より1年程大きい感じだろうか。
「勿論、お嬢さん!
どうぞ。」
「ありあと…ありがと、ござます」
「抜け駆けはよくないぜ!」
そこに元ヤンっぽいサンデー家が現れた。
…………ん?
親同士は将来っ!?
そうか、この中から俺と結婚とかそういうの有るのか!!
大変だな。
未来の俺が………。
今は忘れよ。
マジで王家だったのを実感したきて憂鬱的…。
マジなんだよなコレ。
「毒味は、されていますか!?」
パフェアの言葉でハッと現実に引き戻される。
ってかルーナさんとティーナさん、頬っぺた引っ張るのヤメテーーーー!!!
「ご心配無く。
私とデール料理長等が事前に確認済みでございます。」
答えたのはレール、それ以前にパフェアは乳母なのだが?
毒味役を呼べない状況からなのか俺が座ってるから移動出来ないもんな。
一様は毒味をしてからカグアルットさんに安心有りませんと告げていた。
「申し訳ありません」
「いえ此も仕事のうちですから。」
当の当人達、フィリップは女性達が増えた事で鼻を伸ばして浮かれてる。
カグアルットはクッキーを貰い俺の横に、ちょこんっと座ると食べ始める。
カグアルットの父親はヨシッと小さくポーズしてるから俺の横に座れとか言ってたのかな?
多分本人忘れてるぞ。
位置取り的に受け取って座ったのが偶々、俺の隣だったってだけだと思うけどね。
まぁ行儀よくクッキーのカスが零れないように手を添えたりしてるから育ちの良さが表れているからアンタの教育は間違ってないって思うよ。
◆
赤ちゃんに、もみくちゃにされるのから逃れるために俺はハイハイしていた。
やった、遂に出来た!
ヒーローはピンチの時に覚醒するモノなのだ!!
まぁ魔力のゴリ押しなんだけどね。
「ッ!?
ずり這いしています!!
ミルフローラ様、リンネ様が!」
「何っいぃつ!?」
んン?
ずり這いって何??
「だっ大丈夫なんですか!?
ビッタン、ビッタンしていますよ!」
「ハイハイの前に通る道だ。
カイネもやっていた。
止まり立ちのが早かったがな」
「掴まり立ちです陛下。」
「う、うん。
掴まり立ちだ。」
「そっそうなんですか~!?」
「おめでとうございます」
「うん、うむ。
ありがとう………いやリンネを褒めてやってくれ。」
ふぅここまで来れば。
んん?
なんだコレぇ〜?
フクロウ??
ミミズク?
ここには妖精も精霊も入って来れないってミルフローラ達が言ってたよな。
ここに来るまでの道中でミルフローラ達が精霊等が見えるようなった俺を姉カイネの時がとか何とか言ってて用心のために今日の会場には強力な精霊なんかとかの除け効果のある魔法が施されてるって言ってたはずなのにっ!?
何でだ?
普段見る妖精よりも、かなり小さい。
まるっこいフクロウみたいな妖精が俺の目の前にピョコピョコやって来る。
そして邪悪な笑みをしたと思ったら至る所から同じような姿の妖精が、いっぱい現れる。
子供の遊び場が設けられていた場所に100匹以上の妖精が集まり驚いていると大人達も俺達を回収しようとしていた。
しかしその瞬間、妖精が割れるようにハジけてパンっ!パンっ!と音を立てたと思ったらソコにはバカデカイ怪物が出現するから騒然、大変だ!
ちょっと漏れた、オムツくん。君は赤ちゃんの味方だ。
ありがとう。
今ほどに君の存在に感謝した事はない。
◆
否、違う。
俺が赤ちゃんだから、赤ちゃんから見てデカイので合って大人達からしたら………大人達、ミルフローラよりも大きい位の高さのはずだから。
あっそれでも充分大きかったわ~
3メートル位だとしたらヤバい。
怖いな。
感情に素直な赤ちゃんの俺を始め、その場に居た同世代の皆も泣いている。
「何処から侵入したんだ!」
「兵を!
騎士を呼んで、早くッ!!」
「くそっ武器が無いんだった。
魔法使用の許可を!!」
「ダメに決まってるでしょ!
子供達に当たったらどうする気なのよ!」
「今助けに行きますからね。」
黒色の体躯から甲高い鳥類の独特の鳴き声が響くと俺は、一瞬の間にシャボン玉の中に閉じ込められて空中を浮いていた。
うわっ!?
逆さになった時に反対側、後ろが見えたが俺以外の皆もシャボン玉に捕らわれていてシャボン玉同士が、ぶつかると割れるのでは無く1つの大きなシャボン玉になり遂に俺も巨大なシャボン玉と合流してフワフワと浮く。
泣いている子、このフワフワが楽しいのか笑っている子もいたがミルフローラが守るように最後のキャロラインの前に出るがシャボン玉に捕まりそうになる。
「危ないっ!!」
咄嗟にフィリップがミルフローラを突飛ばす。
女王に対しては不敬かも知れないが子供だから、まぁ許させる範疇なのかも知れない。
フィリップは女王を。
女性を庇う事に本気だった訳だ。
変態エロガキだけど紳士の本物だったわけだ。
え?今ぁ?
そう今は絶賛拐われ中なうイッツァ・タイム!
前にもこんなん有ったな~