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恋なんかじゃない。  作者: おたくだが
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連絡。


皆様、こんにちは。


私の名前は三枝と申します。以後、お見知りおきを。


私はこの屋敷の使用人、皆様が俗に言う『執事』をしております。執事というぐらいですから当然お仕えしている方がおります。


本日は私がお仕えしている『坊ちゃま』について紹介させていただきます。


ただいま、車が停まったので坊ちゃまがご帰宅された模様。私はすぐさまドアを開けます。なんてったって執事ですから。


「おかえりなさいませ、ぼっちゃま。」

「ただいま、三枝くん。」

「今日のお帰りは随分お早いのですね。生徒会は…。」

「今日は休みなの。」

「そうですか、春は毎年生徒会のお仕事でとてもお忙しそうにしていらしたので。」

「あはは!大変だよ、空良さんなんて忙しすぎて仕事の合間に何杯もコーンスープ飲むの!あとコンソメスープとか!」


スッとした芍薬のような姿勢の坊ちゃまのお名前は『菊池聖』様。


高3

●誕生日:4月2日 ●身長:165cm ●体重:51kg ●血液型:A型 ●足のサイズ:25cm ●部活:茶道部 ●委員会:生徒会副会長 ●家族構成:父、母、長男、自分、使用人 ●好きな食べ物:チーズ牛丼 ●嫌いな食べ物:うに ●趣味:犬の散歩 ●特技:音読 ●得意科目:英語、古典 ●苦手科目:体育 ●好きな言葉:継続は力なり ●悩み:放課後に買い食いするようになってから太ってきた ●休日:カフェ巡り ●好きなタイプ:笑顔が素敵な人


の素敵な方です。はい。


立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花とはまさにこの方のことだと思っております。


坊ちゃまはあの有名な菊池財閥の御曹司なのです。まるで漫画みたいですよね。


そんな方にお仕えできているなんて私は自分のことを誇らしく思います。


「みんなコーヒーとか紅茶とかなのに空良さんだけスープ!もうおかしくて!」


坊ちゃまは生徒会に入られてから随分と明るくなりました。


高校もお父様とお母様がおすすめした高校ではなく自分が行きたいという高校を選択していらしたのでそれが吉と出たのでしょうか。


今まで人に流されてばかりの坊ちゃまが自分で物事を決めたことは非常に嬉しいです。


お父様とお母様は海外にいらっしゃるので坊ちゃまとは離れて生活をしています。


自分は一人でもしっかりやれるというのを伝えたかったのでしょう。


今までは周りから距離をとられて友達もまともにできませんでしたから…。一般の方からしたら距離を取るのも無理ないですけどね。


有名な財閥の御曹司と言うだけでなく、成績優秀、眉目秀麗。こんな人実際にいたら普通気が引けます。


「…三枝くん?」

「あぁっ!申し訳ございません。ぼっちゃまは素敵なお友達に恵まれて三枝、非常に感動です。」

「…ありがとう!」

「…ぼっちゃま、どうかなさいました?」

「う、ううん!なんでもないよ!それでは!」

「あ、ぼっちゃま!本日のお紅茶とスイーツは…。」

「アッサムミルクティーとエクレアのいちご!」

「…かしこまりました。」


逃げるように部屋に戻っていってしまった…。


高校に入ってから毎日楽しそうなのは良いのですが…。


モンモンと考えながらお茶の用意をする。


坊ちゃまがこの頃おかしい原因はもちろん把握済み…と言っても確定ではないが、ある男が関係していると思われる。


その男とは…。


「ぼっちゃま、失礼し…。」

「はぁ…空良さん今日も可愛かったぁ…!しかもすごくいい香りがした…あれは柔軟剤というよりシャンプー…?金木犀の香り…。なんとかしてあの香りを再現したい…!」


坊ちゃま、それは犯罪です。


そう、杉崎空良。


おそらく坊ちゃまはこの男に恋心を抱いている。


「口にクリームがついていたの言わなきゃよかったなぁ、可愛かったから…あーもうなにしてるの私ったら!ばかばかばかばか!」


しかも尋常じゃないぐらいに。


今まで恋の一つもしたことのなかった坊ちゃまが犯罪に手を染めそうなまでに拗らせているなんて三枝は複雑な気持ちであります。


「…ぼっちゃま、お持ちいたしましたよ。」

「さ、三枝くん!?今開けるね!」


開いていましたよ。三枝が閉めたのです。


ベッドで何やらやばいことを言いながらジタバタしているご主人を見る気持ちにもなっていただきたい。


「ありがとうございます。あのぼっちゃま、幼少期から何度も申し上げているのですが私自分でドアの開け閉めはできるので…。」

「だめ!片手で持って火傷でもしたら大変でしょ!」

「ぼっちゃまこちらはホットではなくアイスでございます。」

「こぼしたら大変!だからこれぐらい私にやらせて!」

「ですが…。」

「私だってもう小さな子供じゃないし、当たり前に自分のことは自分でできる!」


はぁ…少し天然ですけどやはり優しいお方なのです。


私は幼少期の頃からこの屋敷に勤めていますが、坊ちゃまのこういうところは一切変わりません。


最初に屋敷に来たときも執事という存在をわかっていないのに『これからよろしくね!』『綺麗な目!』と言って下さいました。


私は本当に坊ちゃまにお仕えできてよかったなと感じる場面が多すぎます…。立派に育って

くれて何よりです…っ。


「三枝くんは私のことより自分の体を労って!この前肩を辛そうにしてたでしょ。」

「いえそんな滅相もございません。私はただぼっちゃまのお役に立ちたいだけでございます。」

「三枝くんらしいけど、私は三枝さんがいつ体を壊してしまわないか心配。」

「…ぼっちゃま、失礼ですが私はぼっちゃまのたった一個上でございます。そんなご老人を扱うような…。」

「働いてるんだから同じでしょ!」

「いえ全く。」


皆様、ここまで読んで勘違いしてる方も多いと思いますが私はまだ19です。ご老人かと思いましたよねきっと。


私だってまだまだピチピチの下ネタ大大大好きな歳です。


「もう!とりあえずそこ座って!肩もみしてあげるから!」

「い、いえいえそんな!とんでもないです!私ごときがぼっちゃまから肩もみだなんて!」

「いいから!」

「い…いけませんぼっちゃま…っ!」


強制的に椅子に座らせられる。これは拷問か何かか…?


ま、待って下さい坊ちゃま…っ!その、そのゴッドハンドで私の肩を掴もうとだなんて…!?


「ほら、気持ちいい?三枝くん。」

「あ、あぁぁぁぁぁぁ…っ!」


菊池家執事 三枝拓馬

5月7日 16時30分 主人のマッサージにより絶頂。あまりの快感に意識を失う。


三枝、まだまだ修行が足りません。

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