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恋なんかじゃない。  作者: おたくだが
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プロローグ 〜俺たち〜


「あ、俺数学のワーク出してないわ。」

「お前それ何回目だよ。」

「やまたそ怒るとこえぇぞ。」

「誰?やまたそって。」

「山村だよ、俺らの数学の担当の。」

「やまたそって呼んでるのお前くらいだぞ。」

「えーうそー。」


橋本、吉竹、黒川、双子の旭、拍

そして俺、杉崎は腐れ縁だ。


現在高校2年生の真冬。何故か周りの皆が何か自分にできる新しいことを始めようとしている中、俺たち六人は最近ずっと教室でみかんを剥いている。


考査に部活にアルバイト、そんなどこにでもあるような高校生活に満足している自分がいる。これははたして珍しいことだろうか。俺たちが自堕落なだけ?


「うわいった…ささくれにみかんの汁入った!」


箱買いみかんを持ってきた張本人。橋本。

明るい髪色で身長がそこまで高くない。


「橋本ーちょっと購買でお菓子買ってきてー。」


馬鹿にされているため完全な女子のパシリである。


「大変そー、俺にも何か買ってこいよ。」


黒髪・黒縁眼鏡で腹黒い。吉竹。

顔も整っているし高身長なのに何故か印象が悪いためモテない。


「よっちゃん、みかんもう一個取って。」

「ん…あ、ごめんこれカビ生えてる。」


先輩後輩同学年から絶大な人気を誇る。黒川。

ピアスを開けていること以外何一つとして問題無い優良児。


「ねぇそれカビ生えてるってことは他にもカビ生えてるのあるんじゃない?」


アホそうな見た目をして本当にアホな双子の兄。旭。

小さい見た目の割にかなりの力がある。ゴリラ。


「ねぇなにそれ最悪なんですけど。」


アホそうな見た目をして成績優秀な双子の弟。拍。

黒川といつも一位差で負けていて敵対視している。


「黒くんそれ取って。」

「それってどれ。」

「だーかーらー僕のカフェラテ!指さしてるのわかんないの?」

「名詞で言ってくれる?」

「うるさい!」


まぁ拍の一方的な敵対視なんだけど。


「はぁ〜…っつっかれたぁ…!」


バタバタとした足音と共に橋本が購買から帰ってきた。息切れをして額に汗を垂らしている。


「ありがと橋本ー。」

「おい金返せ。」

「今持ってなぁい。」

「明日返すからー。」

「お前らそれ絶対持ってこないやつだろ。必ず明日持ってこいよ。いいな?」


召使いかよ。


「はい杉崎。」

「え?」

「お茶。さっき自販機で買い忘れてただろ。」


橋本から500mlの温かいお茶を渡された。

確かに朝飲み物を買うと言っていて忘れてた。


こいつ人のことよく見てるんだよな。


橋本は馬鹿だけど周りがよく見えている。

馬鹿だけど気遣いができる。


「あー…ありがと。」


「そろそろ昼休み終わるな。」

「え!うわほんとじゃん…俺の昼休みがぁ。」

「はっしー今日はバイトもありますよー。」

「げー、俺サボろうかな…。」

「ゲーム買うんじゃないの?」

「なんかあれレビュー見たらクソゲーって書いてた。」

「またそうやって。前もなんかそんなこと言ってたじゃん。」


旭と橋本は同じ居酒屋でバイトをしている。

俺と吉竹は部活に入っているから長期休暇だけバイトをしている。

黒川と拍は部活に入っていてバイトは未経験。


そんなことを話している間にも昼休み終了のチャイムが鳴った。


「次移動教室だ。」

「ねぇ僕地理やだ~。」

「絶対寝るわ。」


俺は少ない時間で前回のプリントを探した。

どこを探してもなくて軽く焦っていたとき、


「杉崎、これじゃね。」


「あ、」


橋本が俺の探していたプリントを渡してくれた。


「なぜお前が持ってる。」

「この前早退したから杉崎が見てない隙に勝手に写した!」

「いやんえっち。」

「おいお前ら遅刻するから早くしろ!」

「僕らの内申が下がってもいいのかよ!」

「別に俺に関係ないし。な?」

「まぁね。」

「うわ最低。そんなんだからモテねぇんだぞ。」

「吉竹が一番人気ないよ。」

「ふざけんな。」


五時限目が始まるまであと三分。階段を風のように早く降りて、先生からの注意は「ごめんなさい」とい言いながら走り抜ける。


多分後で職員室に呼ばれて怒られる。


そう。これは普通の俺たちの普通の日常なのだ。


絶対に。

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