泣くほど辛い日々。
病院に着くと、今日はお父さんが
しんどそうだった。
日に日に、弱って行くのが中学生の
聖菜にも分かった。
その日、普段歩けない、お父さんが
急に起き上がり、歩き出した。
どうしたのかと、後を着いて行くと
窓から、飛び降り様とした。
聖菜は大きな声で
「助けて~お父さんが、助けて~」
と、叫んだ。
看護士さん達が、走って来て止めて
くれた。
泣きじゃくる聖菜に、看護士さんが
「痛さに、耐えられ無かったんだと
思うよ!」
「本人にしか分からない、相当な
痛みが有ると思うから、辛いね
でも本人は、もっと辛いから耐えてね!」
薬で眠りについた、お父さんを見ながら
(お父さんの痛みを、私は全然分かって
無かったね!ごめんね)
病院からの帰り道は、足取りが重かった。
(私は何の力も無い)
と考えながら帰る聖菜だった。
朝になると又、何時もの日常に戻る。
学校へ行くと、何時もと変わりの無い
みんなが居る。
でも聖菜は、昨日の事が頭を離れず
やっぱり元気が無い。
「聖菜ちゃん、しんどい?今日は
元気無いね?」
と、女子が心配してくれる。
「ううん、大丈夫、少し眠いだけ。」
「そう?何か有ったら、言ってよ!」
「ありがとう。」
でも、授業も頭に入らない。
放課後、ダッシュに呼ばれた。
「何か有ったか?今日は元気無いし
ボ~ットしてたぞ!」
「すみません、大丈夫です!気を
付けます!」
「谷田、どうして、そう強がる?
弱い所を見せても、いいんだぞ!
俺で駄目なら、杉村先生だって
居るだろう?」
「はい、ありがとうございます!
病院に行く時間何で、行きます。」
「気を付けて行けよ!」
「はい。」
でも、聖菜の足取りは重い。
(今日は、お父さんどうかな?)
病院に着くと、ソ~ット病室の
ドアを開ける。
(あっ、今日は昨日より、マシみたい。)
ホッとする、聖菜だった。
何時もの様に、食事を済ませて
今日は、身体を拭いてあげた。
「少しは、さっぱりした?」
《ありがとう》
ボードを指す、スピードも遅く
なっている。
「お父さん、又明日、来るからね!」
わざと元気に、振る舞う聖菜。
病院から出ると杉村先生の車が
有った。
「聖菜、送るから乗れ!」
「はい。」
「何が、有った?」
「………」
「言えないなら、せめて泣け!
少しは楽になるから!」
聖菜は、今迄辛抱していた涙が
溢れ出して、止める事が出来なかった。
杉村先生は、黙って居てくれる。
「これから辛い時は、泣け!
俺の前だけな!」
聖菜に笑顔が、戻った。
「先生、ありがとう!」
「早く寝ろよ!」
「はい、おやすみなさい。」
「おう、おやすみ。」
聖菜は杉村の車が、見えなくなる迄
見送った。