出逢い
聖菜は病院に行く前に、お世話になる親戚の
家に挨拶に行った。
それから病院に行った。
「お父さん。」
「聖菜。」
お父さんの目から、涙がこぼれる。
「今日から私が、学校行きながら看病
するからね、もう寂しく無いよ!」
「うん、うん。」
とうなずいて喜んで、くれた。
明日は新しい学校へ行くのだけれど
親戚の子が、同級生だったので
少しホッとした聖菜。
翌朝
「おはよう、聖菜。」
「あっ、おはようございます。」
「ご飯食べて用意したら、哲治と一緒に
学校に行きなさいよ。」
「はい、哲治君お願いします。」
「ほ~い。」
お調子者の感じがする、親戚の哲治君
だった。
「行くぞ、聖菜。」
「は~い。」
学校迄は徒歩で、10分程だった。
「じゃあ、俺、教室に行くから、聖菜は
校長室だろう?」
「うん。」
「じゃあ後でな!」
「うん、ありがとう。」
少し緊張しながら、校長室へ入る聖菜。
だが、あっさりした校長先生で
「大変でしょうけど、頑張んなさい。」
とだけ言って、教室迄の案内を担任の
六車達修先生に託した。
「初めまして、谷田聖菜です。」
「担任の六車達修です。じゃあ教室に
行こうか!」
「はい。」
「みんな転校生の谷田聖菜さんです。
お父さんの看病で、来ているので
期間は分かりませんが、みんな仲良く
して下さい。哲治の親戚なんで、よろしく。」
「は~い。」
「谷田聖菜です。よろしくお願いします。」
「こちらこそ~」
聖菜の住んで居る所も田舎だが、ここは
もっと田舎で、聖菜の入るクラスは
7人しか居なかった。
「じゃあ授業を始めます、数学は
僕が担当なんで、席に座って。」
「はい。」
(この先生、スポーツマンみたいなのに
数学担当なんだ?)
と全然、関係無い事を考える聖菜だった。
(2時間目は国語か?どんな先生だろう?)
チャイムが鳴って、先生が入って来る。
「おっ、君が転校生か?」
「はい。」
「よろしくな!」
「はい!」
(あの~格好良すぎるんですけど
本当に先生?)
「はい、谷田さん次、読んで。」
「はい。」
(何?これ、何か名前呼ばれただけなのに
ドキドキする、これって一目惚れ?まさか!)
3時間目は英語だった。
林賢一先生で、身長も高く優しそうな
先生だった。
関西出身らしく、面白かった。
そうしながら学校が終わると、聖菜は
そこから1番近い、バス停からバスに
乗って、お父さんの病院に直行だった。
お父さんの顔を、見ると嬉しい聖菜。
もう、流動食しか食べれないので
ゆっくりと口に運んで食べさせる。
「お父さん、明日も学校が終わったら
来るからね!」
「うん。」
「バイバイ」
聖菜は病院から、徒歩で40分掛けて
哲治の家に帰る。
夜は直ぐに眠りにつく。
翌朝
バタバタで準備をする聖菜。
「哲治君、待って~」
「早くしろ!」
とか言いながら、待ってくれる。
学校に着くと4人の女子が、気軽に
話掛けてくれる。
担任が入って来た。
「おっ、谷田来てるな!眠いか?」
「はい。」
「ハハハハ、頑張れ。」
「はい。」
(今日は国語は、6時間目か~)
お昼ご飯を済ませて、外を眺める聖菜。
すると、パンと軽く頭を、叩かれる。
振り返ると、国語の先生だった。
「谷田、何ボーッと外を見てる?
先生の名前、覚えたか?」
(えっ!いきなりー)
「国語の先生。」
「なんだ、それ?覚える迄、毎日聞く
からな?」
(どういう展開?私、顔赤い?)
それを見ていた、同級生の女子が
やって来た。
「珍しい、杉村あんな事、全然しない
クールで通ってるのに!」
「そうなの?」
「そうだよ!聖菜ちゃん気に入られたん
じゃない?」
「それは無いよ!」
(親の看病してるから、気を使ってるんだ
きっと。)
(さぁ、今日も学校が終わったから、早く
お父さんの所に行かないと!》