雨。
翌日
何時もと、変わらない学校。
帰り際に、杉村先生が
「聖菜!」
と呼んで、見てみると私の
生徒手帳を、持っている。
ブサイクな、写真が載ってるので
返して貰いに行くと、先生は
走って逃げる。
学校中を、走り回っても、先生には
追い付かない。
もう、諦めるしか無いと、思った時
先生が、手帳を返してくれた。
中を見ると、先生の実家の住所が
書かれた、紙がはさんであった。
横に、《 愛してるよ!》と
書かれていた。
走った疲れが、吹っ飛んだ。
(これは、私の宝物だ!大切に
しよう!)
こうして、毎日少しずつ、距離を
縮める二人。
だが賢一先生は、黙って見ては
いなかった。
夕方、急な雨で傘の無い、聖菜は
小降りになるのを、待っていた。
すると賢一先生が現れ
「谷田、今日は雨、やまないぞ!
制服、濡れるのが嫌なら、僕の
ジャージを貸して、あげるから
着て帰れば?」
「いや、いいです!」
「でも、ずぶ濡れになるぞ!」
(あ~杉村先生が見たら、怒るよな?
でも、制服濡れるの、嫌だしな~
借りよう。)
「じゃあ、ありがとうございます。」
聖菜は着るのは、嫌なんで頭から
被って帰った。
これは賢一先生の、作戦だった。
「杉村先生、谷田、僕のジャージを
被って帰りましたよ!」
「まだ、そんな事をいってるのか!
聖菜は、そんな事はしない!」
「多分、今度洗濯して、返しに
来ますよ!」
何も知らない、聖菜は洗濯して
返しに行った。
「ほらね?持って来たでしょう?」
黙ったまま、杉村は聖菜を追い掛けた。
「聖菜、賢一先生のジャージを
借りたの?」
「えっ!何で?」
「賢一先生が、言ってた。」
「雨が、ひどくて制服が濡れるのが
嫌だったんで、ごめんなさい!」
「これからは、困った事が有ったら
俺を捜せ!いいな?」
「うん、そうします!ありがとう!」
(やっぱり、借りるんじゃ無かった
反対の立場なら、私も嫌だもんね
先生、ごめんね、気を付けます。)
だが、これからが本当の、二人の
運命の分かれ道になるのだった。