あのあの……その小説って、このジャンルで合っているのでしょうか?
小説家になろうではファンタジー・恋愛・SFなど、ジャンルが細かく分かれています。
ジャンル分けがあるので、読みたい小説を検索しやすいですね。
あなたは投稿する時に、どのジャンルを選ぶかを迷ったことはありますか。
また、他の方の作品で『あれ? このなぜジャンルなの?』と疑問に思ったことはないですか。
その森ではエンジュの木がたくさん生えており、白い花が咲いている。
小さなタヌキくんと、頭に王冠のようなものを乗せた白いおサルさんがいる。
二人はお茶を飲みながら、魔法の鏡で小説サイトを見ていた。
「子狸くん。小説を投稿するときに、どのジャンルにするかを迷う人もいるみたいだな。例えばファンタジーありの超科学文明の舞台で、恋愛とホラーと推理要素、それにお笑いもあるお話とか」
「白猿さん。該当するジャンルが複数あって迷う場合は、どれでもいいと思うの。ラブコメディーなら、恋愛でもコメディでもいいの」
「その小説のテーマに一番近いのはどれか、で判断するんじゃないの?」
「んとね。僕は投稿したいジャンルにある程度合ってるなら、他のジャンル寄りでもいいと思うの」
「いいのかなぁ。競争率が高いジャンルを避けて、人気のないのを選びたいこともあるだろ。ジャンルに合った作品を押しのけてねえか?」
「そもそもジャンルが細かく分かれているのは、特定ジャンルだけに作品が集中しすぎることを防ぐ意味もあると思うの。でも、投稿する内容とジャンルに差が大きい場合は、小説の内容をジャンルに合わせて修正してほしいと思うの」
「たまにジャンルを間違ってないか、という作品に出合うこともあるぜ。他のジャンル寄りってレベルじゃなくて、そのジャンルの要素がまったくないとかな」
「んとね。僕はあるジャンルの半年間の投稿内容を調べてみたの。僕が見て正しくそのジャンルに合ってると思った作品は、2割ぐらいだったの」
「おいおい。いくらなんでも、それはないだろう。投稿作品の8割が『ジャンル違い』になるぜ。そこまで酷かったら騒ぎになるだろう」
「んとね。それは『リプレイ』のジャンルなの。なろうのマニュアルでは、これは『TRPGのリプレイ』を投稿するジャンルなの。実際にこのジャンルに投稿されているものを3パターンに分けてみたの」
A)TRPGのプレイ記録、またはそれを題材にした小説 22%
B)TRPGの世界が舞台。またはTRPG要素のある小説。12%
C)TRPGのリプレイとは無関係 66%
「子狸くんが『ジャンルに合っている』というAは2割ぐらいか。Bをいれても3割ぐらいってか」
「6割以上はリプレイどころか、TRPGとも関係ないみたいなの。でもこれは僕が感じた内訳だから、人によって意見は異なるかも」
「子狸くんの言うBに該当する小説って、他のジャンルの方がいいのかな」
「んとね。リプレイのジャンルを見る人でTRPGが嫌いな人はいないと思うの。もちろん、TRPGをネタにして他のジャンルに出されている小説もあるの。たとえばこんなの」
・現実世界〔恋愛〕
新しい女の子が加わったTRPGがなんかいつもと違うんだけど
https://ncode.syosetu.com/n7549ha/
作 水渕成分様
・ハイファンタジー
TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す ~ヘンダーソン氏の福音を~
https://ncode.syosetu.com/n4811fg/
作 Schuld様
・ローファンタジー
TRPG日記 -ろーぷれ日記-
https://ncode.syosetu.com/n3504et/
作 みなはら様
・空想科学〔SF〕
深層世界のルールブック ~現実でTRPGは無理げーでは?
https://ncode.syosetu.com/n9988hk/
作 のらふくろう様
「おいら、TRPGってのをやったことないんだよ。ゲーム機のRPGみたいなものか?」
「んとね。ゲーム機のRPGの元祖のものなの。テーブルトークRPGといって、元々は会話で進める遊びなの。遊び方はこんな感じ」
・ゲームマスターが、物語の状況を説明する
・登場人物役が、キャラクターの行動を宣言する
・ゲームマスターが、登場人物の行動に応じて続きを進める。
「これが『役割を』『演じる』『遊戯』なの。TRPGはテーブルで会話するだけじゃなくて、チャットや電子掲示板やメールでやる場合もあるの。昔は郵便の手紙がつかわれたこともあったらしいの」
「なるほど、リプレイっていうのはそのTRPGを実際にやった記録ってわけか」
「んとね。TRPGはルールなしでもできるけど、市販のルールやシナリオを使う場合もあるの。ファンタジーな世界やSFの世界、ホラーな世界とか、いろいろな市販ルールがあるの」
「ふむふむ。投稿する場合に『TRPG 公式シナリオを使っている』とか『リプレイ用キーワード』とかが出てくるな。そういう意味だったのね」
「なろうのリプレイで投稿できるTRPGは『「小説家になろう」リプレイ投稿規約』に載っているの。他にも作者のオリジナルルールのリプレイで投稿している人もいるの」
子狸くんは、自分の鏡にガイドラインのTRPG一覧を表示させた。
「しかし8割がジャンル違いって、よく今まで騒ぎにならなかったものだな」
「そもそもリプレイって小説じゃなくて、遊びの記録なの。リプレイを元にした小説もあるけどね。リプレイのジャンルはランキングに出なくて投稿も少ないから、あまり注目されてないの」
「なるほど。興味のある人も少ないから目立たないのか」
「リプレイは会話の記録だから、作者の著作物でもないの。本来は全参加者の同意を得てから投稿するべきものだと思うの」
「そうなの? じゃあ、このジャンルに合ったリプレイって、投稿する数はかぎられそうだな。それに会話の記録を、人に見せる形でまとめるのも大変そうだぜ」
「このジャンルは投稿が流されにくいの。人気ジャンルに投稿して埋もれるのがいやで、あえてジャンルとは無関係なのを投稿する人もいるかも」
子狸くんは、自分の鏡にリプレイのジャンルの一覧を表示させた。
「一覧のほとんどがジャンル違いの物で埋まって、本来のリプレイが埋もれているの。TRPGを知らない人が『リプレイって何?』と思ってそれを読むと、勘違いをしそうなの」
「ジャンル違いのものを読んだ人が、こういうものだと勘違いして自分も間違って投稿する、という悪循環にならねぇかな」
「んとね。人気ジャンルを避けて、競争率の低いジャンルに投稿するのも間違ってないと思うの。だけど……」
「作品を人に読んでもらうつもりなら、ふさわしい場所に置いてほしいぜ」
白猿さんと子狸くんは湯呑のお茶をずずっと飲んだ。
「んとね。本屋さんや図書館の本棚をイメージするといいの。ビジネス書の本棚にライトノベルを置いてたら変なの。目立つのは確かだけど、だれも喜ばないと思うの」
「反則技で目立ったら、むしろ作品や作者の信用を下げるリスクもあるよな」
「んとね。ジャンルの変更は投稿した後でもできるの。勘違いで入れちゃった場合は、内容を修正するかジャンルを変えた方がいいと思うの。連載ものでジャンルとは合わなくなった作品を別ジャンルに変える人もいるの」
「そういえば……おいら達の物語を書いた作者も、リプレイのジャンルで短編を出してなかったか?」
「んとね。『そしてみんなどこへいった』って題名なの。でもあれは架空のTRPGリプレイだから、僕の分類ではBなの」
「……だめじゃん」
作者の書いた小説『そしてみんなどこへいった』を下の方のリンクで見ることができます。
これを読めば、あなたも『TRPGのリプレイ』が理解できるかも。
紹介しているTRPG関連小説も下の方でリンクしております。