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茶うさぎから白うさぎへの手紙 2022  作者: メラニー
3月
72/365

72 戒め

 こんにちは。


 現在午前二時半ごろですが。

 外は土砂降りです。その上、雷が暴れている。

 まるで真夏みたいだ。降り方が三月の降り方たじゃない。


 雷が鳴ると、いつも友達の事を思い出す。

 その友達は雷が苦手で、はるか遠くで少し光った程度でも真上で鳴り響いたような反応だった。人って恐怖を感じた時はこういう反応なんだなって。

 雷は遠くで鳴ってても、進行方向にいるのならスピードが速いから危ないらしいので、その反応が本当は正のかもしれない。


 子供の頃は確かに私も雷が怖かった。

 何が怖かったかというと多分、雷効果を使ったアニメやドラマの演出がよみがえって怖かった。あと非日常だから。

 でもいつの頃からか怖くなくなった。音が大きいな、くらい。


 確かに山や原っぱにいたら警戒もするだろうし、ピリピリと感じていないか?など気にしたりするのだけど、建物の中で聞いている雷の音は、真上でバリバリと がなっている位の大音量でないと、ピクリともしない。


 大人になるという事は、なんでも慣れてしまって鈍感になってそういうもんだと思っていた。


 でも友達の怖がり方よ。

 この世に、人体に雷が落ちる恐怖がほぼ無い状態で、ここまで素直に怖がる人がいるは知らなかったのだ。

 どう言葉にしたら適切なのか分からないけれど……私は全て知ったかぶりをしているだけなんだなぁと思った。


 雷に怯えるという衝動はきっと理屈じゃない。

 単純に大きな音と空を切り裂くような光。それに災害にもなりかねないエネルギーを持っている事も、化学なんて知らなかった時代から人は感じていたはず。神の怒りをイメージさせるに容易い象徴的な現象。畏怖というやつだろうか。


 そういうものを私はただ単に鈍感になる事でねじ伏せているだけなんだなぁと思ったというか。魂に霞がかかっていて、クリアじゃない状態なんだろうなぁと。


 だから雷が鳴ると、いつも友達の事を思い出す。

 今一人で怯えているんだろうか、大丈夫だろうか?と。そして、自分は知ったかぶりをしているだけで何も知らない人間なんだな、という事も思い出す。


 戒め。


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