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茶うさぎから白うさぎへの手紙 2022  作者: メラニー
1月
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4 モーモーちゃん

 こんにちは。


 どうでもいい話ですが。

 私には男の子の幼馴染がいました。

 小学校に入ってすぐに仲が良くなった男の子。ずっとその子と遊んでいた。学校でも学校から帰っても、休みの日も遊びに行った。

 かわいくデフォルメされた牛が好きな子で、モーモーちゃんと呼んでいた。向こうは私の名前をちゃん付けで呼んでくれていたと思う。

 今から思うとモーモーちゃんは無いな、と思わなくもないのだけれど、それは私だけじゃなくて彼の家族も呼んでいたのだ。

 それくらい馴染んだニックネームだった。


 小学校2年生くらいだっただろうか?

 二人で遊んでいたら、からかわれたのだ。


 男の子と遊んで、ボーイフレンドなの?と。

 そりゃ、男の子の友達なのだから、ボーイフレンドで間違いない。

 でもその時の私とモーモーちゃんは、その言葉は嫌だった。

 二人の仲に名前を付けたくなかったのだ。


 友達……と言われても、嫌がっていたと思う。

 友達で正解なのだけれど。

 どの言葉も馴染まなかった。

 

 今思い出しても世の中にあるどの言葉も馴染まない。

 

 ただ、モーモーちゃんと私。○○ちゃんとボク。

 それだけでよかったのに。

 この仲に名前を付けられて、他の何かと同じ型に嵌められたくなかった。


 しかもそれを言い出したのは、大人だった。

 その後親戚となり、そして親戚じゃなくなり、この世から居なくなったことも知らされずにいたオジサン。


 母親は「わざわざそんな事を言わなくてもいい」と注意してくれたけれど、もう耳に入ってしまったら最後。それは消えない。


 私たちは、なんだか気恥ずかしくなって、そのうち遊ばなくなってしまった。

 あんなに毎日遊んでいたのに。


 友達だったりボーイフレンドだったり幼馴染だっり……そういう言葉を当てはめられると、その形が出来てしまう。

 それが嫌だった。

 ボーイフレンドってこういう物でしょ?という子供なりになんとなくもう常識が嫌だった。


 子供とは本当に繊細なものだ。


 アニメなんかで、幼馴染のラブコメとかを見たりすると、楽でいいなぁ~と思ったりする。

 いや、当事者はきっと楽じゃない事も多いだろうし、不満もいっぱいあるだろう。

 でも、もうあれこれ悩む必要ないじゃないと。

 だって小さいころからずっと一緒の人がいるって、こんな楽なことは無いと思う。

 だから「いいなぁ~」とモーモーちゃんの事を思い出すのだ。


 あのままもし、からかわれなかったとしても、遊ばなくなったかもしれない。

 十分それはあり得る。

 趣味だって好みだって将来の夢だって分岐していくのが当たり前。


 それでも、あの時わざわざからかわれて、私たちの仲を型に嵌められた、あの一言さえなければ、今の未来と何かが変わっていたのかもしれないという思いは消えない。

 タラレバは意味が無いし、かっこわるいけれど、思わずにはいられないくらい強烈な思い出として残っている。



 大人は絶対に子供をからかってはいけない。

 子供の答えが出ていないことを、大人の常識で感情や関係に名前を付けてはいけない。

 

 もし今子供にかかわる状況にある人は注意してほしいと思う。

 どんな子供も、鋳型を嫌う粘土なんです。

 

 モーモーちゃん、今は何をしているのかなぁ?

 もうそろそろ剥げてるんだろうか(失礼)

 一度会って昔話でもしてみたいけれど、もう連絡先も分からない。


 私の小さな後悔。



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