38 パーソナルスペースがバグっている人
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ところで。
今日は友達のモヤモヤ話を聞きました。
同棲している彼氏の親友が家に遊びに来た時に、やりたい放題だったそうで。
話の内容を聞くに、自分ちでもないのに、冷蔵庫を開けたり勝手に自分用の高級なお酒を無断で飲んだりしたそうで。まぁ言葉にすればそれだけのことかもしれないですが「彼氏」とその人は親友で、それが今まで許される仲だったのかもしれないですが、彼氏の彼女である友達は、その彼氏の親友とは、歴史も思い入れも無い他人なのです。
人となりも知らない他人が、勝手に自分の冷蔵庫を開ける。これは、けっこう嫌悪感在りますよね……
え?そんなことないですか?
友達は普段から、細かい事をあーだこーだ言うタイプの人ではないので、特筆すべきトピックがその二つだっただけで、彼氏の親友が家にいる間のいろんな事にモヤモヤしていたんだど思います。
冷蔵庫とお酒の件だけなら、心が寛大な人なら許せてしまうのでしょうが、まぁ私も同じタイプの人に振り回された事があるので盛大にモヤモヤするでしょうね……
こういう人の特徴は「他者と自分とのボーダーラインが極めてあいまい」という点なのです。それを違う言葉で言うとパーソナルスペースがバグっている人。
私の知り合いもそれで、日々モヤモヤしていました。
Aさんが家のお使いで、とある食品の瓶詰めを購入したのです。持って帰って家の常備菜にするつもりで。すると、バグっている人がそれを食べたことが無いから、食べてみたいと言い出したのです。ここで瓶を開けて一口味見させろと。
外ですよ?外と言うか、屋外では無いですがAさんの自宅とは全く関係ない場所です。お箸もスプーンも取り皿も無い。
もちろんAさんはダメだと言ったけれど、それでも食い下がるので、どちらが常識的かと言う問いを二人は私にしてきたのです。
私は私がAさんだったら嫌だな、と思うので、Aさんに賛同しましたが、バグっている人は食い下がります。
「家で食べる時も瓶を開けて、全部食べ切らなかったら蓋を閉めるのだから、ここで開けて同じだ」と言うのです。
その理論、「食べきらなかったら蓋を閉めて保管する」という部分だけは正しいですよ。ただ、お使いで買ってきてと言われたものを、家に持ち帰らずに開けてしまうという事は考慮されていないし、第一にこの場所でAさんは瓶を開けたくない。そこが欠如している。
百歩譲って「瓶のふたを閉めれば同じ」を採用したとしても、それはAさんが「食べる時はどうせ開けるし、ふたを閉めたら一緒だから一口食べる?」と言うならまだしも、もらう方がそれを言うな、という話です。
数百円の瓶詰め惣菜だから、食べたかったら自分で買えばいい。ただそれだけ。
結局、バグっている人の機嫌が悪くなるので、Aさんは瓶を開け、味見をさせてあげていました。
私もこのバグっている人に対してはモヤモヤの事柄が細かすぎてトピックにし切らないのですが、まるっと言うとボーダーラインが曖昧で、入られたくないところも土足で入って来るのです。
(瓶詰の時も取り分ける手段が無くて瓶を傾け手のひらに落とそうとしたのですが、粘度のある食品なので、なかなかうまくいかず「ちょっとでいい!たくさんは食べられないから!嫌いな味かもしれないし!」と騒いでいた。いや、知らんがな。あげたくもないのに、あげているAさんの気持ちよ……)
このご時世。「普通」という言葉は使いたくないのですが、普通は相手の立場だったらどんな風に感じるだろう?嫌かな?嬉しいかな?と無意識に感じるものだと思うのです。その上で、嫌がられてもここは踏み込むべき、とか、引くべき、とか、否定的な感情をどうにか肯定に持って行く工夫をするのですが。
バグっている人は、全くその辺りは考えていないようでした。
この場合、不快だと伝えたり注意しても、その感覚が無い人に伝えることがとても難しい。
そして「これが普通です」と言い切る事も、同時に難しい。
昭和のアニメやドラマなら、一喝するおじさんが「それは違う!道理に反している!」と言って終わるのでしょうが、今は多様性がどうのこうのと、こういう事まで言われそうで。
生きやすい世の中になった反面、新しい生きにくさも生まれたんだなぁと思った一件でした。
十人十色の「普通」があるのが当たり前の時代。
人の感情に敏感になり過ぎて繊細に傷ついて生きるのは大変ですが……それは人の気持ちをお互いが思いやっている事が前提での鈍感力なのだろうなぁと思います。
もとより、自分が傷つくことにばかり敏感で、人の感情には鈍感、なんてケースはダメです。どの時代でもそう。
そうは言っても、私がどの時代でも普遍だと私が思っている「普通」を、“自分に都合よく”ボーダーラインが曖昧な「パーソナルスペースがバグっている人」に理解して実行してもらうのか。
私はもう諦めましたけどね……その時は。ストレス元と距離を取り解決をしたという事です。
「無い」を「有る」に変える事。これ、本当に難しいんだなぁと勉強をしました。
友達はこの先、彼氏の親友のボーダーラインと付き合う中で、改善していけばいいのですが……
体と共に心の健康も、大切ですね。彼女の話で久しぶりにその事を思い出しました。難しい……




