338 駄作製造監督
こんにちは。
私は原作があるアニメを見ると、原作又はコミカライズまで見る方だと思うのですが。
プロの本気が集結して、アニメで破格のブラッシュアップをされている作品もあれば、原作の方が良い作品もある。基本的にアニメは時間の制約があるから、削らないといけなくてエピソードを割愛したり、端折ったり展開を急ぎ過ぎて説得力と丁寧さに欠ける事が多々あります。まー、そーゆーところは好きな原作がある人にとっては多々ある事。
それが分かっているから、見るのを躊躇っていたアニメがありまして。でも例の、好き嫌いしないで見る一環で見たのです。……案の定でした。
私がその作品に対する思い入れが強すぎる事を差し引いたとしても、駄作になっていた。いやー……オープンエンドの曲やキャストに劇伴、時間枠などを考えてもかなりの予算を割いて力を入れてると思われる大作のはずなんですけどねぇ。
超大作の原作ストーリーを話数制約のあるアニメに全部落とし込むのはムリだと分かっているから、原作ファンからしたら大切なシーンでも省かれてしまうのは仕方がない事です。だけれど、びっくりするくらい省かれ過ぎてカッスカスの内容。それが本筋のストーリーだけを骨太にする為に、枝葉になるエピソードを泣く泣く削ったのだと思わせてくれたなら、まだ納得できるのだけれど、枝葉話に登場するキャラクターを、掘り下げるエピソードが無いままちょこちょこ出してくるから、視聴者が感情移入できないまま、お涙頂戴のシーンでキャラクターが死んだり、死に物狂いで頑張ったりする。感情移入できない上に、キャラクターの言動の説得力が無い。整合性もとれない。
アニメ化!と発表された時は、すごく盛り上がったのに尻すごみで話題にあげる人も少なくなっていったのが、そう言う事だったのか……と今さら納得しています。
なのに毎週のように誉めちぎって感謝しまくっていた作者先生の徳の高さよ……
新人で主役に抜擢されたキャストさんが、その後名前を聞かないのはこの作品の盛り上がりのせいだと思う。何度も録りなおしただろうけれど、悪い演技では無かったし、声のキャラクターも素直で悪くないし。
どんな監督が指揮していたんだ?と代表作を調べてみると、漫画のビックタイトルばかりが並んでいて驚いた。……えっと、驚いた理由が、漫画の名作としては知っている作品なのに、アニメはやっていたの?と思うような鳴かず飛ばずのタイトルばかりで……。私が知らないだけかもしれないけれど、いや、それでそれなりに人気があれば、オタクコミュニティーの中で、それなりに誰かしら話題にするもんだ。
メディアミックスに白羽の矢を立てられてしまう原作者の方々は、本当に宝くじ以上のくじ運というか、めぐりあわせと言うか。口を出す作者は現場で嫌われると言うけれど、どちらにしても多大なるストレスだろうな。
原作にリスペクトがあるだけではだめで、製作陣のトップたちにセンスがあり才能が有るか、そこも大きい。リスペクトのあるいい人だからいい作品が作れる、と言うわけではないのだ。色んなシガラミの中で、リスペクトをどこまで映像に落とし込んでくれるかの、心意気と覚悟があるか。
才能が無い製作サイドなら、せめて全てのエピソードを映像化するくらいの覚悟を見せてほしい。まぁ、そうしたところで、カット割りとか、セリフのテンポとかもあるけれど。それでもファンは応援するよ。全てを映像化するのがどれだけ大変な事かわかるから。
ほんと、ほぼ全部を映像化してくれる製作会社に巡り合った作者さんは幸せ者だなぁと思う。基本的に天才が書いた作品に割愛できる場所なんて無いのよ、ほんと。その人の考え方や空気がそのまま乗り移って、ヒット作になっているのだから。それをいじったり割愛できるのは、本物の映像化の天才だけ。凡人が名作に手を付けると駄作になってしまう。いい例だなぁ~と思った一件でした。
あまりに酷評しているから、タイトルは絶対に書けないけれど。




