329 物足りない物語
こんにちは。
前にラノベ原作のアニメを好き嫌いしないで見てみようキャンペーンは、一応継続されていて作業中に見ている訳ですが。春にパロディーがお家芸の作品のイベントに行く事になっているので、旬アニメも履修しながら……と言った感じですけれど。
そう言えば、なろうの筆頭格の今一番勢いがあるアレを見ていなかったなぁ、と見始めたのです。今映画化なのかな?CМもよく見るし、思い出したわけです。ゲル状の水色のアレの作品です。私はアンチと言うわけではないのですが、もしかしたら大ファンの人が読んだら気分を害するかもしれないので、引き返して頂けると助かります。
一年ほど前にSNS内で、手をあげた作者の作品をみんなで同時に読んで、批評しようという会があったのです。基本的には主催の方がライブで読んで批評していくのを聞いている番組のようなものでしたが。
主催……配信者の指摘が、的確だと思う事が多かったので一部では人気だったと思います。その配信の中で、水色ゲルの話が雑談として挙がった事がありました。
配信者さんはウエブ版も書籍も読んだしアニメも全部見た上で、そこそこの酷評でした(笑)でも全部目を通している辺りは、作品が嫌いというよりも、好きだからこそなんだと思いますが。わざわざ嫌いな作品の書籍を買いませんからね。
酷評の内容を私なりにまとめると「ラノベ作家がやってはいけない事をやっている」という点と「すごく頭の良い人で狙ってワザとやっているのか、出来ない凡人が気付かずにやっているのか、そこを悟られないようにしている節がある」という話でした。
それを聞いた時は、ぼんやりとした感覚しかつかめていませんでしたが、アニメを見始めて何となくその感覚が分かる気がします。
私の感じた事は、どのお話も物足りないのです。もっと人物も繋がりも、出来事も事件も掘り下げて盛り上がっていく!と思うと萎んでしまう。あっさりと解決。その解決がお見事!というよりも、ケーキを焼いていてオーブンの中ですごく膨らんだから成功だ!と喜んで取り出そうとオーブンのふたを開けたら萎んでしまった……けれど、思っていたのと違うけれど美味しい物が出来た、みたいな。そういう解決・成功。
あの……一応、言っておきますが、これはダメ出しでも無く、酷評でも無く。私はそれを悪い事として考えていません。
先日、これまた今を時めく旬作品、マンガ原作の「密偵のかりそめの家族」の物語をアニメで見たのですが。全く同じ感想だったのです。申し訳ないけれど、こちらはアニメへの落とし込みの段階で、面白さが削がれている気がします。カット割りなのかな?テンポよく進むと面白いハズなのに、テンポが悪い場面とかがたくさんあって、話の見せ方がアクションギャグ向きじゃない。でもまぁ、そこを差し引いたとしても、物語の物足りなさは感じていました。水色ゲルと同じ種類の物足りなさです。
風のうわさで、密偵家族の作者さんは、熱を入れて書いていたお話が鳴かず飛ばずで下積みが長く、イケメンや可愛い女の子や美人を出したら急に売れた、という経緯があると聞いたことがあります。この方も、コナンドイル系の方なのかな?と勝手に推測しています。詳しくないので、私の勝手な妄想ですよ?本当はもっと玄人好みのお話を書きたかったけれど、受け入れてもらえないからヤケッパチでウケるエッセンスだけを半笑いで書いたら……当たってしまった的な。
きっと水色ゲルの作者さんは相当に頭の良い方で、掘り下げるより早い展開、縺れた話よりもシンプルな話、突っ込みやすく分かりやすい展開をワザと作ったのだろう。ラノベの上辺をかき集めたような展開は、ある意味「やってはいけない事」だったのだろう。ラノベが好きで、物語を作る事が好きで、自分だけの誰にも書けないすごい大作を書きたい!と思っているだろう大半を占める作者にとって、面白イベントを一つずつ深く堪能することなく、ヒョイッヒョイッと渡って行くのは、物書きを齧っている側としては、その行動や精神を面白く感じないのは避けられない事なんだろう。
しかし、その「しっかり、ねっちり、どっしり、ぎっしり」と書いてしまいがちな部分は、情報量が多すぎで読み手には、こってりしすぎて胸やけを起こさせてしまう。
早い展開が求めれる世の中で、重厚感のある作品に心酔させるのは至難の業。相当な天才しか出来ない。もちろん、そういう作品しか受け入れられない通好みな客層は居ます。ただ今の時代、大多数がライトな物で満足する傾向があると言うだけ。まぁ書き手には面白くない時代です。
だけれど、面白いイベントだけの良いとこ取りでヒョイヒョイと渡って行く作品を、簡単に書けると言うなら書けばいい話なのだ。プライドを折って「やりたい事とウケる作品の折り合い」を自分の中で付けたとしても、だからと言って書き続けられるものでもない。深く突き詰めた作品には伏線を張り巡らせる事も繋がりを作る事も簡単だけれど、シンプルでライトな展開だと、説得力のある繋がりのある物語として成立させるのは難しい。
時代のニーズを分かっていた事、ライトのさじ加減が丁度である事、それを書ける強さがあった事、深くしない状態で構成する才能があった事、そして書き続ける事が出来る事。全て天才の所業。
……と、好き勝手書いていますが、私は原作読んでいませんからね?あぁ、思い出した。まだ最初の洞窟を出ていないくらいの場面はライブ配信者さんの話を聞いた後読みましたが。でもそれだけ。まだ私は作品の本質に触れていない可能性の方が高い。
なのでアニメに限った話ですが、見ていると配信者さんの言っていた、言語化するのが難しい感覚がムズムズと沸いてくるのです。でもこれって、一番簡単な言葉で表現すると嫉妬でしょうね(笑)口に出すなら「ずるいわ~」です。
いつの時代もどんな創作活動でも、時代に合った人が勝ち組なのは間違いないって事ですね。死んでから時代が追いつく、なんて例はたくさんありますから。時代とマッチしている作品をリアルタイムで発信できている方々は、選ばれし者ですよ。ほんと、すごい。
とりあえず、水色ゲルはお話は最後まで見ようと思います。見終わったら感想が変わるかもしれないし。(今も私の中では、良い印象なんですけどね)




