表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
茶うさぎから白うさぎへの手紙 2022  作者: メラニー
11月
328/365

328 価値観

 こんにちは。


 最近、強く感じる事。現代に生きる者として大切なスキルは、価値観を日々アップロードし続ける能力だと。

 どの時代でもきっとそうだったと思うけれど現代は特に。目にする景色の変化は地味でわかりにくい分、ぼーっとて過去に生きているとすぐに置いて行かれてしまう。江戸から近代に変わった頃は見た目も、刺激もあっただろうからアップデートしやすかったかもしれない。そして現代は、その時代に負けないくらいの更新・上書きを休みなく続けないといけないのだと思う。


 何気にソレが普通だと持っていた価値観を、一週間後にはまったく別にの常識に上書きしてしまうくらいの変化。

 そういう時代の流れに乗れずに古い価値観で生きてしまう人……いや、その価値観を持っていてもいいのだけれど、違う価値観があると分かったうえで尊重できない人は、鼻つまみ者扱いを受けかけかねない。


 私の父が勤労感謝の日、「感謝されるのは自分と○○(私の弟)だけだな」と冗談めいた口調で言った。ひとつも笑いは起こらなかった。

 昔ならそういう考え方の方が大多数だったかもしれない。外で働く事だけが労働という考え方が主流の時代があったことは確かだと思う。でも事実、私は家の中で働いているのだ。

 いつぞやSNSで漫画家の方やエッセイストの方が、父親に仕事をしていると認識されないから困っていると言っているのを見たことがある。「そろそろお前も仕事をしろ」と顔を合わすたびに言うらしい。きっと「何かをしている」という事は分かっていても、自宅でやる仕事は内職で、内職とは仕事に入らないという価値観が働くのだろう。内職だって仕事・労働なのに。責任も伴い、時間も拘束される。何より、出版社に買ってもらえる漫画を描いたりエッセイを生み出す事って、産みの苦しみで重労働なのに。


 父親は私が、家庭内で手持ちのお金が足りない時に貸したりしている事も知らないのだろう。その上スネでも齧っていると思っているんだろう……。この歳で当たり前の話だが、おこずかいなんてもらっていないし、食材やら洗剤やらタオルやら、結構色んなものも買っているのだけれど……(家賃は払っていないけれど……)

 そもそもの話。母親は専業主婦だが、家事も労働なのだ。私だって家事の一部を担っている。私と母親が受け持っている家事の全てを丸投げされたら、生活は破たんする。家事が労働ではないと男女問わず思っていた時代も、そりゃ有ったと思う。でも今はそうじゃない。家事も子育ても労働だ。


 この例はとてもスケールが小さく、「家族」と言う小さな社会の中での話だけれど、こういう事が世の中のいたる所、色んな事例で起こっていると思う。ジェンダーだったり貧富や学歴、労働力や人種、国そのものだったり。

 新しい価値観にアップロード出来なくて問題になっている一番の事例は「欲しい土地は武力で奪っても良い」といまだに思っているあの人やあの人だけれど。

 今は上辺だけじゃなく、心底認め合っていかないとダメな時代なんだろう。国も個人も、強い物だけがパーソナルスペースを尊重された時代から、どんな身分でも、どんな貧困層でも、どんな性別や宗教であっても、優位な立場だからといって相手のパーソナルスペースをつめたり侵してはいけない。どちらかと言えば、優位だと思われる側が相手のパーソナルスペースが守られる様に、配慮してあげる気配りが必要なのだ。


 とは言ってもそう言う事を、いかなる時でも実行出来ればいいのだけれど、時代に追いついていない事に気が付かないままの時だってあるし、心が疲れてそれどころでは無い時だってある。人は一律では無いから仕方がない。しかし、それもまた許容してくれる世の中、変われるまで待てる社会というのが、求められる世の中の「空気」なんだろう。

 略奪や支配だけは、許して待つことは出来ないけれど……。


 国を動かす古い権力者は置いといて。変わってきている世の中のアレコレの価値観は、本人が気が付くしかないところのある。年齢が上の人になればなるほど、教える事は難しい。「私の時代は」「俺の時代は」がこびり付いているのだから。そういう価値観とも上手くやっていくのが、そこそこのストレスではある……。でもそれが時代が変わった、という証なんだうなぁ。時代は確かに加速するように変わって行っている。私もそのうち老害になるのだろう。なーんて、思っているのは間違いで、もう老害なのかもしれない。

 価値観が変わって行くという事は、アンテナの若さと柔軟さが必要ですからね。老害なんて言われないように、頑張ってアンテナを張って生きよう。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ