299 フエルト
こんにちは。
大昔、私が第一次社会非適合者として半引き籠りをしていた頃、羊毛の原毛でバッグを作って売っていました。ヤフオクでハンドメイドの雑貨を売る走りのようなものでしょうか。
原毛をフエルト化するのはなかなか大変な作業でして。今は傷がついた針(ニードル)を刺してフエルト化する方法がハンドメイドでは主流ですが、バッグをなど布状のものを作るにはその手法は使いません。平べったい布上に仕上げるには、ぬるま湯とシャンプーを使います。
原毛は毛足の長い綿のようなものですが、それを作りたい大きさ形に切り取った分厚いビニールの上に同じ厚みになるように広げ、シャンプーを加えたぬるま湯を霧吹きで拭きかけながら徐々に濡らし、摩擦を失くすために手にビニール袋をはめてそっと表面を擦ります。最初は本当に優しく。原毛が崩れてしまうので。毛が絡まり始めて来たら、徐々に力を入れて、市販されているようなフエルトのようにみっちりと毛が絡まるまで、手と麺棒を使って締めて行きます。その間、ずっと水場の作業。大きな作品だとお風呂場になる。お風呂場でなくても、ぬるま湯はすぐに水に変わるし、腕まくりもしていて寒い。
フエルトの需要があるのは冬場です。だから作るのも寒くなってから。……フエルトを作っていた間は、ずっと風邪をひいていましたよ……。フエルトバッグは売れたのですが……寒いのと風邪をひくのが辛くてやめてしまいました。
冷たいし力を使うし、作業が床になるから腰も痛くなるし、肩も凝るし。今でもやりたくないですね(汗)だから水をつかってフエルトを作っている作家さんを見かけると、すごいなぁ~と尊敬する。これも忍耐と根気、体力勝負な一面がありますから、体と心から強い方なんだろうなぁ~と。
そんな原毛がまぁまぁ良い量が余っていまして。
先日、部屋で探し物をしていたら、出てきたのです。有る事は覚えていたのだけど、目に入ると手がうずうずと。基本的には、ずっと何かしら作っていたい性格なんです。お目当ての物は見つからなかったのですが、原毛で代用しようと引っ張り出してきました。
ハンドメイドをやっていると、人は考える葦だ、と良く思う。考える事と工夫と経験で大体のことは解決する。頭の中で、イメージを捏ねて、見つからなかったものの代用は原毛で上手く行ったのですが、久しぶりに触ってしまったものだから、もっと何かを作ってみたくなって衝動が止められなくなってしまった。
でもまぁこれも、やるべきことの前に違う事をしてしまう現象でもあるのですが。新しいパターンを作らないとなぁ~と思っているのだけれど、厄介すぎて心のどこかで逃げているんでしょうね(汗)
テスト前に掃除をしないといけないんだった、と思ったり、漫画のあのシーンってどうだったっけ?と読み始めてしまったり。今やらなくても良いのに。
今回、私もやらなくてもいいのに、原毛だったら小さな蜂のマスコットくらいなら作れるよな、と。友達が描いたデフォルメした蜂が気になっていて、それを思い出してしまったのです。
実はかなり昔に一度原毛で蜂は作ったことがあるのです。プーさん的な知人にブローチにして作ってプレゼントしたことがあって。ミュージシャンだったから、帽子などに付けておけばネタになるから。
あの頃から年月が経ち、私も色んなものを作ってどうやって具現化するかという引き出しも多くなっているで、どう変わったのかやってみたいとムクムクと気持ちが沸き立ってしまって。
結局無心で作ってしまった……
もうね、他にならないといけない事がある時の集中力と言うのはすごいですね ←
フエルトにする用の針はもちろん持っているんですよ。その以前の蜂の時に買っていますからね。針を刺す回数が多いほど硬く締まって行くので安定感が生まれます。調子に乗ってジャンジャン刺していると指も何度も刺してしまって……。昔に買った革の指ぬきがあったなぁ~と思い出して、使ってみた。その時は結局使い勝手が悪くて使わなかったけれど、今回はものすごく使い勝手が良い。何事も無駄にならないものだなぁ~なんて思いながら、無心に針を刺し続け。
いやー、脳が退屈するくらいの単純作業をするというのは良いものです。本当はアニメもラジオもなしで、無音の中でやっていたらもっと脳がすっきりしたと思うのですが。
脳をリフレッシュさせたい方にはおオススメのハンドメイドです。ニードルフェルトというのでしょうか?
フワフワの物を作るのは熟練の技と経験とセンスが必要ですが、しっかりした仕上がりでいいのなら、どんな初心者でもそこそこのものが出来ると思うので、頭をスッキリさせたい方はぜひ。ポイントは予備の原毛をたくさん用意しておくことです。膨らみが足りないなら粘土のように足せばいいので、いくらでも修正が可能です。
はぁ。私は一体何をしていたんだろうなぁ。まぁ、これもまた私にとっては無駄な事ではないのでしょう。




