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茶うさぎから白うさぎへの手紙 2022  作者: メラニー
10月
296/365

296 双子コーデ

 こんにちは。


 季節の変わり目って、着る服に困りますよね。去年は一体どんなの着ていたかなぁ?暑すぎないかな?寒くならないかな?と。

 まさに今日は、暖かいというより少し汗ばむ時間もあるくらいの陽気でして。こんな日に着るのは少し厚手の長袖のTシャツなんて最適なんですよねぇ。ワッフル地で着心地も良くて。私はそれが大好きなので二枚持っているんですよ……同じもの。迷うことなく、今日はそれを来てお出かけをしたのですが……それがいけなかった。もっといつものように考えるべきだったんです。いつもは「と、私が考えるという事は、きっと向こうもそう思っているハズだから……」と考えるのに。


 えぇ。出先で現れた友達が、私と全く同じ長袖のTシャツを着ていまして。物は違うけれど同じ長さのネックレスまでして、完璧な双子コーデですわ。……何歳なんだよ!

 もう笑うしかない。

 そのTシャツはとあるアーティストのライブグッズでして。お互いそこそこのエリートファンだから、同じになるよなぁ~と。

 そのギャグのような双子コーデで、四月に他界した友達のお家へ遊びに行ってきました。同行した友達がお宅に用事があると言うので声をかけてもらったのだけど、ついでに付いて行くだけだからと、なんとか自分に言い訳をして、私も行く事が出来ました。

 よくよく考えたら半年の節目に行けて良かったと思っています。


 なのに噴き出してしまいそうな双子コーデ。ほんとね、ヤバいですよ……

 でも、訪問先のお母さんも「私も着ておけば良かった~」と。有り難い……お母さんは亡くなった友達が残したグッズを使っていらっしゃるので、トリプルコーデも夢じゃないのです(笑)


 救いは、移動が電車や歩きではなく、車だったこと。友達のお宅に駐車をさせて頂けたこと。

 たくさんの人目に晒されること無くセーフでしたが、走っている車中を見て気が付いた人がいたら、どこかのユニフォームだと思ったでしょうね。ライブグッズ感ゼロの普通のアパレルっぽいので。


 

 お宅では、お父さんとお母さんと一緒に、仏間で長い時間いろんなお話をして。彼女のハマっていたアレコレの話とか、半年経っての心境の変化や、医療ドラマが見られなくなった事とか。

 その一つ一つが、おかしくて、悲しくて、寂しくて。私も妹が亡くなっているから、今でもふと違う部屋にいるように感じてしまう感覚がすごくよく分かる。ずっと入院していた友達は、まだどこかの病院で入院している気がするし、今日の彼女だって彼女の夢を見て起きた朝「夢をみたよ~」と連絡を入れようと思って「もういないんだった、」と気が付くくらいには、まだ受け入れられていない。

 ご両親は辛いだろうな。「いつもは会話が無いか喧嘩するかだから、今日は楽しかった」と送り出してくださったけれど、私から見たらケンカだって仲がいいからじゃれ合っているくらいの自然体で仲睦まじいご夫婦に見える。でも会話が無いのは本当だろうな。最低限の会話しかないそんな毎日。

 今日はいっぱい喋った。三時間弱は居ただろうか。誰かがずっと聞き役、なんて事も無く、まんべんなくみんなが喋って、仏間が声でいっぱいで。私たちが帰った後、どんな時間だったんだろう。延長戦で話してくれていたらいいな。急にもっと寂しくなっていなかったらいいな、と祈るしか出来ないけれど。


 人は強いけれど、弱い。でも強い。考えてもどうしようもない。



 まぁ、いい歳の双子コーデを思い出して笑ってくれていたらいいな。その為の双子コーデだったんだろうな。



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