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茶うさぎから白うさぎへの手紙 2022  作者: メラニー
9月
254/365

254 声

 こんにちは。


 もう体力の限界です……もう何もしないでお風呂も入らないで寝てしまいたい。けど、そう言訳にもいかない。今日は暑かったので気持ち悪いし。


 行ってきました。バンドの練習。私的にはよくやったなぁと褒めたい。課題曲の三曲とも叫び続けるような曲ばっかりで。練習時間の最後の方は高音が全く出ない位には喉がやられてカスっカスだったし、肺やお腹を支える筋肉は疲労しきって痙攣しそうだったけれど、なんとか最後まで歌い切りました。

 録音したものを聞いたら、思っていたよりは歌えていた……と思う。


 同じような状況で一人だったら途中で気力が尽きて歌うのを止めてしまったり、諦めたりして歌わなくなってしまうのだけど、歌う責任があるという状態や、誰かが聞いているという環境だと、違う力が出てくるもんなんだなぁと。

 やっぱり一人きりだと、自分で判断して自分の限界を無意識に決めてしまっているんですね。

 昔は録音することがその歯止めになっていた。少し未来の自分が聴くために……というか、どういう状況の時にどんな歌になっているかのデータを知るために録音をして歌う事が多かったのだけど、今は大体どれだけ息が苦しかったらこんな感じで、喉が掠れて来たらこんな感じというのが分かっているのであんまり歯止めにならなくなっている。

 だからお客さんじゃなく、バンドのメンバーだったとしても誰かが聞いているというのは、力になるんだなぁと。勝手に判断しないで、やるべきことをやり切る一番大切な事なんでしょう。


 あと、ここまで声が枯れて思ったのが、自分的にはハスキーな声になっている!と感じていても、実際に録音してみるとそんなことはなくて。これは毎回不思議なんですよ。

 自分で聞いている声というのは、胴や頭蓋骨の中で反響したものが聞こえているので、人が聞いている声とは違っています。自分で聞いている声よりも外の声は、少し上ずったような軽い感じに聞こえているの。自分声は反響した声なので少し籠ったような声になる。ハスキー成分の掠れ部分は、頭蓋骨内で特に増幅されるのでしょうか。今日もかなりハスキーになっている!と思っていたけれど、録音を聞いたら枯れているのは分かるけど、声が伸びなくて、プツプツと切れるから枯れていると分かるだけでハスキーでは無かった。

 昔も同じような事があって、喉が疲れている時は声を使わない方が良いのに「ハスキーになっている!」とあまりの嬉しさで、ジャズのスタンダード曲を何曲も歌って録音してみたけれど、ぜんぜんハスキーじゃなくてがっかりした事があった。

 私の声、ジャニスやエラのようにハスキーでもないし、歌のおねえさんとかケイト・ブッシュみたいな伸びやか声でもないし、高音質が耳に残る声でも、低音が心地いい声でもないし。ホッとできるような特殊さもない。歌声にキャラクターが無い事がずっとコンプレックスなので、ハスキーになれたと思った瞬間は本当にうれしかったんだけどなぁ。憧れます。ハスキーボイス。でも酒焼けはヤダ(笑)


 一体どうなったら、自分の声が好きになれるんでしょうね。声の仕事でもして、いい仕事が出来たなぁ~と自分も世間も認めてくれるような事が無ければ、自分の声を好きになんてなれないんだろう。

 人前で歌を歌うからと言って、自分の声や歌が好きなわけでもなく。きっと私は好きになりたいから歌っているんでしょうね。歌うという行為は好きなんですけどね。いつか心から、声も歌も好きになれる日が来たらいいなぁ。



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