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茶うさぎから白うさぎへの手紙 2022  作者: メラニー
9月
248/365

248 イイネを押す

 こんにちは。


 私は小説系の投稿は読んだら、どんな内容だろうと「読んだよ」の印にイイネ系のボタンがあれば推している。怪我をしたとかお葬式に行ったとかの内容でも。書いた人にとっては「最後まで読んでもらえた」というお知らせが大切だし、次の力になるから。


 でもツイッターのイイネも、同じようなものだと思ってはいても、なかなか押せない私がいる。

 ペットが亡くなった報告なんかもそうだけど、病状の内容だと特に押せない。


 今、私が毎日覗きに行っているアカウントがあるのですが。彼はコロナの後遺症で下半身不随から、症状がどんどん上に上がってきているという方で。

 フォローはしていない。どうしても知り合いじゃない人に見られるのがいやになった時に鍵をかけて遮断される様に。でも今は拒否されていないので毎日欠かさず見に行っている。


 アカウントを開ける前に「今日こそは何か体の調子がいい方向へ向かっていますよに」と心の中で祈る。しかし残念な事に、今のところはいい方向へ向かう兆しが無く、逆にスマホで文字を入力する事も難しくなってきたとツイートしている。

 ご飯を食べるのも、食欲が無かったり食べたら気分が悪くなるのもあるけれど、食べるという動作自体が難しくて食べることが困難の様です。でもそれもリハビリや運動だから、仕方がないのだろう……。本人はもちろん、手伝えない周りの人たちは辛いだろうなぁ。

 そういうツイートにイイネは……もちろんたくさん集まっているのだけれど、私は押す事が出来ない。昔のファボだったら出来たかもしれないけれど。


 そして、そういうツイートにリプライをしている方たちがいる。「頑張ってください」とか「出来るようになりますよ!」とか。善意の言葉だと分かるのだけど、どの口が言うのか。怖くて仕方がない。全て本人が一番よく分かっている。だれよりも頑張っている事も、出来るようになるまでにどれだけの苦労をしなくてはいけないのかという事も。

 健康な体で、苦も無くなんでもできる人たちの言葉がどれだけのナイフになるか。もちろん、色んなことを考慮したリプライもあるのですよ。

 でも私は軽々しく何も言えない。

 ひぃちゃんもそうだった。日に日に出来ない事が増えて、それが加速していって。私たちには涙も弱音も見せないで、どれだけの恐怖に押しつぶされそうになっていたか。出来た事の報告だけくれて。一日かけて牡蠣を一個食べたとか。

 今年亡くなった友達も、心配をかけないように、何一つ教えてくれないまま行ってしまった。心配はさせてもらえなかった。でも知っていても、私にはかけられる言葉が無かったかもしれない。泣いても励ましても、辛い気持ちにさせてしまっただろう。


 今は彼が自分の意思で、やせ我慢でも前向きになったツイートだけイイネをしている。

 きっと、どういう内容だったとしても場違いなリプライだったとしても、レスポンスがある事が病院以外の世界と繋がるコミュニケーションだから、した方が良いのかもしれないのですが。

 今はまだ、私には生々しすぎて。


 みんな健康に、ぴんぴんコロリで大往生が良いです。心から彼の体が一日も早く元通りになるように祈っています。



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