表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/199

26:ブハーラー戦1:声

 ブハーラーの商人グループの行動とその結果については、第1部(『カンの隊商』中の)副題に『謀略』1~4を付したものとなります。

 ブハーラー戦は、その最終的な結末を描いております。

 是非、上記部分を読んでから、こちらをお読みくだされば、と想います。

 (2021.10.12追記)


 まだ、その姿を見ぬ時のこと。


 アザーン(礼拝を呼びかける声)にて始まる朝。

 いつもと変わらぬはずの朝。

 1日の5度の礼拝。

 いつもと変わらぬはずの1日。

 ただ、異なるのは、神への祈りによってさえ、それが()やされることの無きこと。


 これまで同じ状況に(おちい)った人々と同じく、

 不安を言葉により塗りつぶし、

 恐れを信仰により隠すを目論(もくろ)むも、

 ただやはりそれは敗れる。


 人はあらゆることを語るを欲するが、

 こうなってはそれに直面せざるを得ない

――言葉が嘘へと腐れ落ち、そして声のみが真理をになうを。


 理性は知る

――声が己を裏切ったことを

――己が浅はかなる存在に過ぎぬを。

――声の本来の(あるじ)たる魂に、そのすべてを譲り渡す時の至るを。


 彼らには、

――彼ら自身の神が(たまわ)ったところのもの、

――言葉と声を(まじ)わらせて、甘き恍惚(こうこつ)と天上の至福へと至ること、

――それは、最早、許されておらぬ。


 彼ら自身の神が、その聖典コーランを声に出してこそ()むべきものと定められたにもかかわらず、

――彼らは何も学ばなかったのか。

――声のみが真理をこの世に表すものであるを。


 声こそが、その切迫した調子にて、心中にある不安をまろび出させ、

 声こそが、その常ならずの震えにて、心底の恐れをあらわにする。




 何より、彼らには、恐れと不安に駆られるべき理由があった。

――ブハーラーの商人たちには。

――ただ、そのなしたることのゆえに。

 その理性は知るを欲さぬも、

 その魂は知るゆえに、

――怨讐(おんしゅう)の軍勢の来たるを。

――劫罰(ごうばつ)の時の至るを。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ