“生徒会合戦” ~三高紹介~
二高の紹介が終わり、いよいよ我々、三高の番になった。
さて、あの紙をカンニングしながら……って
あれっ?制服のズボンに入れたはずなのに、無いな。
じゃあ、学ランのポケットに……
無い。
無い、無い、無い、無い、無い、無い!!!
なーーーーーいッ!
紙がなーーーいッ!!
ど、どどどどどようしよう!?
何故、紙が無いのだ!?一体、どこへ置い……
ハッ!俺の部屋だ。
俺は天気と暗記にいっぱいいっぱいになり、遅刻しそうになったからとベッドか机に置いて、そのまま……
詰んだ。俺の人生、ここで詰んでしまった……
ジ・エンドだ。
「どうしたの?」
小声で話し掛けてきた茶駅田に、事情を説明すると……
「暗記は?しているの?」
「一応、していると思ってはいるが……断言出来ない」
「分かったわ、作戦変更よ」
「えぇっ!?」
「作戦は……」
「作戦は……?」
「何でもアリのアドリブ大会よ」
「はいぃいいいいいーー!?」
「おーい、そろそろ三高の自己紹介お願いしまーす!」
「あっ、はいっ!」
いやいやいや、紙に書いた通りにやれば上手くいってウケると茶駅田は言っていた。
それなのに、暗記が曖昧だと告げるとあっさりと作戦変更って……しかも、何でもアリのアドリブ大会ってなんだ!?
何を言っても大丈夫なんだろうか……
いや、躊躇っている時間はない。
やるしかないんだ、やろう。
滑ろうがウケようが、精いっぱいの自分を見せるしかない。
「えー、青葉大三高の生徒会長である、神司屋 創だ。よろしく」
「よろしくって、仲良くしたいの?」
「いや、挨拶として言ったまでだよ」
「挨拶ねぇ……」
「え、何かおかしいこと言ったか?俺」
「挨拶するなら、もっとこう」
「ん?」
「私は青葉大三高の生徒会・副会長の茶駅田 詩桜梨よ。今年の“生徒会合戦”優勝は、うちじゃーー!ぜってー負けねぇかんな!!」
「ガン飛ばしか~ら~の~?宣戦布告ーッ!いやいやいや、そこまでしなくても……」
「うるっせぇ!会長なんだから、もっと強気でいかねぇとナメられるんだよ!」
「ハイ、スミマセンデシタ」
「分かれば良いんだよ」
「ハイ……」
「ヤバい……!会長、副会長に尻に敷かれてんのかな?」
「何だか夫婦みたいで、副会長が鬼嫁って感じ!」
「「誰が」」
「夫婦で、しかも尻に敷かれてるだよ!」
「鬼嫁なのよ!しかも尻に敷いてないわよ!」
「おぉ~~~!!!」
いやいやいや、そこ拍手するところじゃないだろう。
何故だ。何故うちの生徒は皆、感動しながら拍手しているのだ。
「どう?何でもアリのアドリブ大会は」
こ・れ・か~!
「これが、何でもアリのアドリブ大会……」
「えぇ。もう台本はナシ。ていうか、あの台本は適当に書いたから微妙だったと思うわ」
「え、そうなのか?」
「多分。何回か書き直したけど、そんなに時間はかからなかったわ」
「流石は、三高の主席……」
「さぁ、うかうかしてられないわよ。どんどん、一高と二高を引き離さないと」
「おう」
何でもアリのアドリブ大会なら、何を言っても大丈夫なんだよな?
じゃあ、俺はキャラ崩壊覚悟でやってやろうじゃないか。