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夏の田舎へ

作者: 袖野 霧亜

正真正銘本物の初(投稿)モノです。よろしくお願いします。

「おぉ……、相変わらずの緑やらなんやらに囲まれてんな」


 俺、広井夏樹は都会の喧騒に辟易してしまった。そこで癒しを求め、夏休みの間は母方の田舎のじいちゃん家で過ごすことにしたのだ。


「後でじいちゃんに頼んで野菜の採取させてもらおうかな……っと、着いたか」


 この地域は古きよき日本家屋が多くある。じいちゃん家もそうで、景観の良さが見て取れる。今時なかろう、瓦の屋根なんて。


 ──ピンポーン


「……あっ、呼び鈴鳴らさなくていいんだった。じいちゃーん来たよー」


 田舎は基本鍵をかけずに開けっ放しになっているのを忘れてた。

 まぁやったものは仕方ないと割り切り中に入る。するとばあちゃんが居間から顔だけを出してきた。


「あら、なつ君。わざわざ鳴らさなくてもよかったのに」

「あ、あははは。つい癖で。元気にしてた? ばあちゃん」

「えぇ、この通りよ。おじいさんも居間にいるからこっちにいらっしゃい」


 居間に行くとじいちゃんもよう来たと言って向かい入れてくれた。そんな時に誰かが家の中に入ってくる。たぶん近所の人が家で採れた野菜か何かをお裾分けに来たのだろうと思っていると、ッターン! とかなり元気よく居間の障子を開け放たれる。


「おっ? なんだ誰ぐふぁっ」


 背中に衝撃が走り俺にタックルかましたやつと共に前のめりで倒れる。


「誰だコノヤロウ……ってなんだ、従妹ちゃんか」

「なんだとはなんだー! お久、にーちゃん!」


 苗字は忘れたが名前は光。四つ下で母さんの弟の子供だ。

 しかし大きくなったなぁ。最後に会ったのが五年前の帰省が最後だったから、小学生の中学年くらいか? 時の流れを感じるなぁ。


「遊ぼうぜにーちゃん! 何かしようぜ! 畑行って野菜採ろうぜ!」

「わかったからとりあえず上から退いてくれ。重い」

「ひっどー! こーしてやるー!」


 おいこら無駄に引っ付くんじゃない。テンション高まってるなコイツ。


「じいちゃん今採っていいものある?」

「おぉ、今の時期なら何でも採れるぞ。光ちゃん、採り方教えてやっておくれ」

「はーい!」


 早く行こうぜにーちゃん! とめっちゃ急かしてくる光に連れられ、家の前にある農園に来る。いんげんやトマト、ナスといった夏と言ったらこの野菜だと言えるような顔ぶれが並ぶ。

 しっかしここは相変わらずだな。どこを見ても野菜だらけだ。


「にーちゃん! あれ採ろう! もろこし!」

「ん、これか。……でっか! なんだこのとうもろこし」


 市販で売られているものと違い、自由に栽培されているから大きさがまちまちになっているが、そのおかげもあってでかくなる物はとことんでかくなる。今俺の目の前にあるのは通常より1.5倍くらいはあるかも。

 思い切ってそれをもいでみると見た目よりもかなりずっしりくる。髭根もてっぺんから大量に覗いているから中身も期待出来そうだ。

 すっげー! と光が興奮気味になっている。かく言う俺もかなり高まってきた。


「光、籠にコイツを入れて置いてくれ」

「はーい!」


 その後、俺と光で今夜食べる野菜を採って家に戻った。

 こういう事をしているとやはり帰ってきてよかった、と思える。コンビニも娯楽施設も無いけどな。

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