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七罪剣と大罪人と呼ばれた少年の反逆譚  作者: YUU
第三章 王都動乱編
95/128

95 『聖刃百刃』

昨日も更新できず申し訳ありませんでした。

何もかもすべて残業が悪いのです……。

 フローラはアリシアの放った聖剣の一つ、聖炎剣を手に取ると、それを魔力で覆ってしまった。

 それに、フローラは封印という言葉を使っていた。いったい彼女は何をしたのか、俺の頭の中でその答えを思考し始めた、その時だった。


「呆けている時間は無いわよ!!」

「っ、しまっ!!」


 しまった、完全に戦いから気を逸らしてしまっていた。俺の眼前にはフローラが振るった双罪槍斧が近づいている。七罪剣を構えて防ごうにも、間に合うかどうかも怪しい。この状態では、避ける事も出来ずにあの双罪槍斧の一撃が俺の体を直撃してしまうだろう。

 このままだと、終わるっ!! そう思った時だった。


「聖絶剣!!」


 俺とフローラの間に一本の剣が割って入ってきたのだ。そして、その剣は俺を守るように聖気で出来た大きな壁を展開した。

 間違いない、あの剣を用意してくれたのはアリシアだ。

 そして、聖絶剣から展開された大きな壁は今にも俺に直撃しようとしていた双罪槍斧の一撃をギリギリのところで防いでくれている。だが、その壁も徐々に罅が入っていく。このままではいずれは破壊されるだろうが、それでも俺がこの場所から退くのには十分な時間があった。


「今です、お兄様、下がってください!!」

「っ、ああ!!」


 そのアリシアの言葉に従い、俺がその場から退いた直後、聖絶剣が展開していた聖気で出来た壁はフローラの振った双罪槍斧によって破壊される。

 だが、アリシアのおかげで間一髪のところで難を逃れる事が出来た。その事に俺は思わず安堵した。

 そして、フローラは忌々しげな表情を浮かべた直後、役割を終え、地面に転がっていた聖絶剣を手に取り、そのまま魔力で覆っていく。


「もう少し、という所だったのに。まぁ、仕留められなかったのは残念だけど、二つ目も封印できたのだから良しとしましょうか」


 その後、魔力で覆われた聖絶剣をフローラは地面に突き刺した。

 そして、アリシアはその光景を見ていた俺の方へと慌てて駆け寄ってくる。


「お兄様、大丈夫ですか!?」

「大丈夫だ。アリシア、助かった」


 アリシアのおかげで、何とか凌ぐ事が出来た。だが、一つ気になる言葉があった。それは先程からフローラが言っている封印という言葉だ。


「アリシア、フローラが言っていた封印の意味って分かるか?」

「……ええ」


 アリシア曰く、あの魔力で覆われた聖剣は操ることが出来なくなっているらしく、聖剣の持っている能力も発動できなくなっている。それは、正に封印という言葉通りだった。

 つまり、アリシアは、七本あった『光剣』の内、二つが封印された事になる。

 更に、魔力で覆われている為、どのような干渉もできなくなっている様だ。自分の中に還元する事すらもできなくなっているらしい。


「自分の中に還元する事さえできれば、一度還元した後に再度具現化することが出来たのですが……」


 アリシアはそう言うが、流石にそこまでは甘くは無い様だ。あの魔力をどうにかすればアリシアが再びあの二つの聖剣を操ることが出来るようになるだろうが、それを許すほどフローラは甘い相手ではない。それにあの魔力を消すのにも、それなりの聖気を消耗する事になるだろう。それだけのリスクを冒してまであの二つの聖剣の封印を解くほどの価値があるかと言われると、微妙であるとしか言いようがない。あの二つの聖剣はこの戦いではもう使えなくなったと考えるのが正解だろう。


 そして、俺は再び七罪剣を構える。だがその時、俺の隣にいるアリシアが一つの提案をして来た。


「お兄様、ここは私に任せていただけないでしょうか?」


 そう言うアリシアの表情からは、自信が感じ取れた。今から行う事に余程自信があるのだろう。


「……分かった、任せる」


 それだけ自信があるのならここはアリシアに任せるのもアリだろう。俺は彼女の提案を肯定する言葉を告げる。するとアリシアは俺を庇う様な状態で前へ歩み出た。


「では、行きます」


 そして、アリシアの周りにある『光剣』の内、二つの聖剣がまるで融合するかのように混ざり合っていく。

 次の瞬間、そこには光輝く一本の聖剣が現れていた。

 俺はアリシアが何をしていたのか、その事を事前に聞いていた。

 アリシアは俺の七罪剣の事を聞いた時に、自分の使っている聖剣も複数を一つに融合させる事が出来れば、新しい力になるのではないかと考えたらしい。

 そして、そのアイデアを元に練習した結果、アリシアの使っている『光剣』、その内の聖刃剣と転移剣、その二つを融合させることに成功した。

 アリシア曰く、その銘は聖転刃剣。聖刃剣の不可視の刃を転移剣の力で容易に転移させる事が出来るようになったとの事だった。


「何をするつもりか知らないけど、そう簡単にさせると思っているのかしら?」


 アリシアの周りに浮かんでいる『光剣』が妙な動きをしているのを怪しんだのだろう。フローラはアリシアを妨害する為に、双罪槍斧を構えながら俺達の方に向かってきているが、もう遅い。


「遅いです、『聖刃百刃』!!」


 そして、聖気が込められた聖転刃剣は輝きを増した。既に、聖転刃剣から放たれた不可視の刃は彼女の四方八方に転移し、周りを取り囲んでいるのだろう。

 『聖刃百刃』、それは四方八方から襲ってくる百にも及ぶ不可視の聖気の刃による攻撃だった。


「なっ!?」

「行きなさいっ!!」


 フローラも、その聖気の刃に取り囲まれている事に気が付いたのだろう。驚きの表情を浮かべている。そして直後、アリシアの言葉に従うかの様に、フローラを取り囲んでいるであろう刃が一斉に彼女の元へと向かっていくのを感じた。


「これでっ、最後です!!」


 そして、最後にフローラの真上に転移した聖転刃剣は、そのまま止めと言わんばかりに彼女の元へと急降下していくのだった。

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