表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
七罪剣と大罪人と呼ばれた少年の反逆譚  作者: YUU
第三章 王都動乱編
75/128

75 アリシアからの依頼

何とか間に合いました。これが正真正銘平成最後の更新です。



あ、後平成最後というキリの良いタイミングなのでご報告を。

本日、総PV十万を超えました!!

これもいつも読んでくださる皆様のおかげです!!

これからも更新頑張っていくつもりなのでよろしくお願いいたします!!

 奴隷商の店から出た後、俺はその奴隷商を殺した少年を追っていた。スラムにはあの日から既に何度も訪れている、ここを移動するにも慣れてきていた。スラム内に薄っすらと漂う魔力の残滓を追うようにスラムを駆け抜けていく。


 だが、その追跡にもやがて別の理由から限界が訪れていた。


「くそっ、ここまでか……」


 俺が追っていた魔力の残滓はスラムの一角で途絶えていたのだ。これ以上、追う事はもう不可能だった。一応隠し通路などが無いか辺りを捜索しても目ぼしいものは無く、その後も何とか見つけようと捜索をしていたが、あっという間に時間が経過し、気が付けば日が落ちかけていた。そして俺は、結局追跡を諦めて屋敷に帰る事にしたのだった。




「ん? あれは……」


 俺が貴族街の屋敷に戻ってくると、屋敷の前に馬車が泊まっていた。その馬車から降りているのはアリシアだった。

 アリシアは俺の事に気が付くと此方の方に駆け寄ってくる。


「あ、お兄様。お帰りなさいませ」

「アリシアも帰っていたのか」

「はい、昨日は帰ってくる事が出来ず申し訳ありませんでした。それで、お兄様は何処に行っていたのですか?」

「……その事で、話したいことがある。後で時間を作ってほしい」

「? はい、分かりました」


 そして、俺達は屋敷に戻り、その後に情報を交換する事にした。




 そして、屋敷に戻った後、俺はアリシアにスラムで遭遇した出来事を全て話した。

 アリシアの手伝いになればとスラムに出向いた事、そしてスラムの酒場で奴隷商の話を聞いた事、翌日その奴隷商の店まで向かうと偶然魔人と思しき少年がその奴隷商を殺す現場を目撃した事、その少年が発していた魔力の残滓を追いスラムを捜索したが結局見つける事が出来ずにここに戻ってきた事、その全てを話した。


「結局、お兄様は二度もスラムで魔人と遭遇したのですか……」


 俺の話を聞いた後、第一声でそう言ったアリシアの表情は少し呆れ気味だった。


「私の方では目撃の報告一つすらありませんでしたのに……」

「ん? アリシアの方は魔人を見つける事は無かったのか?」

「ええ、捜索範囲を広げてはいるのですが魔人に関しては目撃すらされていません……」

「そうか……」


 一応アリシアの方も手掛かりと思わしきものはあったが、魔人そのものを見つける事には至っていないそうだ。

 今後はその情報を元に魔人を追っていくつもりだったとの事だった。貴族が関係している様で、アリシアも今情報を精査している様だ。あと数日でその結果が出そうだという。


 そして、アリシアは少し悩んだような表情を浮かべ、直後改めて俺の方を向きなおし、口を開いた。


「お兄様、一つお願いがあります」

「なんだ?」

「お兄様も今回の魔人の件、本格的にお手伝いいただけないでしょうか?」

「……どういう事だ?」

「私達が必死で捜索しても魔人を見つけることが出来なかったというのに、お兄様がスラムに出向くだけで偶然とはいえ魔人と二度も遭遇しています。もしかしたら、そういう不思議な縁があるのかもしれません」

「…………」


 魔人に出会う不思議な縁なんてものは個人的には願い下げだが、よく考えれば、あの奈落からここまで魔人に関係した出来事に幾度も遭遇した記憶がある。その中には忘れられない記憶もあった。

 或いはそんな不思議な縁があったからこそ、俺は奈落に落とされ、その後最奥まで行き、挙句の果てに七罪武具なんてものを手に入れる事になったのか、そこは判断に悩むところだが。

 一つ言えるのはアリシアの言う不思議な縁とやらは案外的を射ているのかもしれないという事だった。


「ですので、お兄様に手伝っていただけると魔人もすぐに見つかるかもしれません。なのでお手伝いしていただけるとありがたいのですが……」

「……分かった」


 ここまで関わったのだ。ここで、手を引くのもなんだか気が引ける。

 それにアリシアに頼まれれば無下にする事も出来ない。俺はアリシアの話を承諾するのだった。

 まぁ、アリシアの言う不思議な縁が正しいのなら、俺が望む望まないに関わらず、魔人と関わる事になるのかもしれないだろうが。


 そして、アリシアの本格的に手伝いをすることを決めた俺は今後の予定を二人で詰めていく。アリシアの方も魔人自身を見つけている訳ではないとはいえ、それでも一応手がかりを掴んでいると聞いた。アリシアは今後もそちらを追うのだろう。

 それに今、俺とアリシアが堂々と一緒に行動する事は出来ない。そこでアリシアから一つ提案があった。


「それで今後の事ですが、お兄様にはスラムの方の捜索をおねがいします」


 アリシアのその言葉に俺は首肯する。俺が魔人に遭遇したのは二回ともスラムだ。なら、スラムに通えばまた魔人と遭遇するかもしれない。アリシアの提案は的確だった。


「それに合わせてスラムを担当している聖騎士の配置を変えておきます」

「分かった」


 そして、俺は何度目かもわからないが、またスラムに向かう事が決まったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ