65 二度目の脈動
忙しい中書いたのでもしかしたら変な部分があるかもしれません。
「ふぅ、これで何とかなりそうですね……」
会議を終えた私はとりあえずお兄様の身の安全を確保できたことに安堵しました。
そして、それを感じたのは、安堵感を感じながら今迄いた会議室を出ようとした時でした。
――――ドクン、ドクン、ドクン、ドクン!!
「「「「「っ!!」」」」」
会議室を出ようとしていた時、私の足元、いやその更に下からドクン、ドクンという音が脈動と共に伝わってくるのを感じました。それを感じた私は思わず息を飲みました。
しかし、今のドクンという脈動の様な物は何でしょうか?
どうやらこの脈動の様なモノを感じたのは私だけではない様です。周りにいる四人も同じモノを感じたようで、揃って驚いたような表情を浮かべています。
「これ、は……」
「あの時と同じ……」
そう呟いたのはティアーナさんとリリアさんでした。あの時、という事は、前にも同じことが一度有ったのでしょうか。
「ティアーナさん、リリアさん、これについて何か知っているのですか?」
私は思わずそう問いかけていました。
「え、ええ。とにかく着いて来てください。詳しくは到着してから話します」
そう言いながら、二人は私達に着いてくるように言った後、案内する様に先行していきます。
そして、私達は二人に案内されながら、急いでこの脈動の元へと向かうのでした。
私達は二人に案内されるまま大聖堂の地下の巨大保管庫の最奥まで到着しました。
ティアーナさん曰く、地下巨大保管庫の最奥に安置されている神骸、それが私達が感じた脈動の原因であるとの事です。
そして、地下の保管庫の奥の扉を開けると、そこには五対十枚の羽が背に生えた人の数倍の大きさを持つ天使像、神骸が置かれていました。私は少し昔に一度だけこれを見た事がありました。ですが、その時はこのような事はありませんでした。
「これでニ度目、ですか……」
「ニ、度目? どういう事ですか?」
「え、ええ。神骸がこうなるのはニ度目なのです」
最初の時はこの大聖堂にいる時に突如謎の脈動を感じ、原因を探った結果、この場所に行きついたとの事でした。
神骸の脈動はこれがニ度目のとのですが、ティアーナさん曰く、前回よりも大きくなっているとの事です。そして、最初の時はこの脈動は神聖騎士だけが感じていた様で、他の聖騎士達や大聖堂にいる教徒達は何も感じなかったそうです。
「神骸がこうなったのは何が原因かは判明しているのですか?」
マリアナさんがそう問いかけていました。
「いえ……、原因は全く分かっていません」
神骸の脈動は何時の間にか収まっていた為、こうなっている原因を調べようとしたそうですが、その前に脈動が収まっていたそうです。
そもそも、神骸自体が解析不能である物の為、こうなった原因を調べても成果を期待できそうもないとの事でした。
「そう、ですか……」
「それで、これからどうするつもりですか?」
「勿論、本格的な調査をしなければならないでしょう。一度ならず二度もこうなった以上、捨ておくわけにはいきませんから」
ティアーナさんはそう言い切りました。
「これを見ていると、何かとてつもない事が起きるのではないか、そんな気がしてきます」
私は神骸を眺めながらも、思わずそう呟いていました。
「やはりアリシアさんもそう思いますか」
「ボクも同じ意見です」
「私もです」
そう言いながら、ミリアムさんもマリアナさんも肯定の意を示すように右手を上げています。
「ミリアムさんに、マリアナさんもがそう思うのですか……」
「という事は二人も?」
「ええ、私達も同じ意見です」
神聖騎士が五人揃って同じ意見となると、やはりこれには何かがあるのでしょう。ですが、それがどのような事かは全く分かりません。
この神骸が私達、神聖騎士の持つ七天神具に反応するのは既に判明しています。ですが、こんな状態で私達がむやみに近づくとどんなことが起こるか分かりません。
結局私達に出来るのは何もなく、本格的な調査をしてからという結論に至りました。
そして、私達は今も脈動を続ける神骸を背にこの保管庫から出る事にしました。
最後に私は一度だけ振り向きます。
――――ドクン、ドクン、ドクン、ドクン!!
「っ」
神骸は今も止むことなく私達がここから出てもずっと脈動を続けていました。
もしかしたら、私達はこれに関わるべきではないのかもしれないとこの時、私はそう思ったのでした。
今凄く忙しいのでもしかしたら少しの間、二日に一度更新になるかもしれません。




