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七罪剣と大罪人と呼ばれた少年の反逆譚  作者: YUU
第三章 王都動乱編
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55 山賊襲来

五万PV超えました。ありがとうございます。

相変わらず眠い目を擦りながら書いているので、おかしな点があってもご了承ください。

 朝食を食べ終わった後、アリシアは、自分は単独で王都に帰還する事にした。教会本部からの指示により最優先で帰還する様にと言われた為だ。本部に向かう為にはここからでは王都を経由しなければならない。王都を経由して本部に向かうつもりだ。アリシアはその事を彼女の部下の聖騎士達に伝えていた。


「アリシア様……」


 その事を聞いたアリシアの部下であった聖騎士達が心配そうに彼女に声を掛けた。


「今回の事を本部に急いで報告する為にも、私が単独で先行し帰還するのが一番でしょう」

「それは……」


 彼等も今回の事は既に聞いているのだろう。彼等にしてみれば七罪武具を手に入れた魔人が今後どう動くかは全く想定できない。

 教会としてもできるだけ早く対応を取る必要があるのは間違いがない。そして、彼等にとって、現時点でその魔人の情報を最も持っているのはアリシアなのだ。

 だからこそ何を置いても、アリシアの帰還が最優先だ。神聖騎士である彼女ならどんな相手でも逃げる位の事は出来るだろう。


「貴方達は、時間を掛けてゆっくりと帰還してください」

「分かりました」


 やがて彼等は納得したのだろう。アリシアは聖騎士達に見送られる様に、教会から立ち去るのだった。




 その後、用意された馬車は、それこそ、貴族が乗る様な物の中でもさらに高級であろうと思われるほどのものだった。聞く所によると、この馬車はこの教会にある馬車の中でも一番高級な者らしい。速さもこれが一番だそうだ。一応、公爵家の生まれではあったが、家族に疎まれていた俺には縁も無かったものである。


「もしかして、これを使うのか?」

「はい、それがどうなさいましたか?」


 俺の感覚では乗るのも躊躇われるぐらいの物なのである。だが、アリシアにしてみればこういうものは乗り慣れているのだろう。平然と中へ入っていった。

 俺も続くように中に入る。馬車の中は驚くほど広かった。内装もしっかりとしており、座席等も一般庶民が使っている物とは桁違いだ。

 そして、俺達が乗り込んだ後、アリシアが御者に指示を出すと、馬車が動き出したのだった。




「うおっ!!」

「きゃっ!!」


 馬車がアルマの街を出た後、街道を進み暫く経った時だろうか、馬車が突如として急停止した。


「何だ!?」


 慌てて外に出ると、多数の武装した人間にこの馬車を包囲されていた。恐らくは山賊の類だろう。

 御者も既に殺されている、馬は無事だったので、今後の移動には代わりの御者さえいれば何とかなるだろう。

 だが、事前情報ではこの道は安全という事だったのに、何故こんな連中が出てくるのか。

 辺りを見渡すと思いのほか山賊の数が多かった。四、五十人程度はいるだろう。

 そして、山賊達は俺の後から馬車から出てきたアリシアを見ると、興奮して騒ぎ始めた。


「こいつはとんだ当たりだ」

「頭ぁ、こいつら、こんな馬車も使ってるし、間違いなく良いとこのお坊ちゃん、お嬢さんですぜ」

「なら、身代金でたんまりとれそうだな」

「それよりも、そこの女とヤらせてくださいよ。間違いなく貴族のお嬢様だ。ちんまいのは玉に瑕だが、それでもこんな上玉みたことがねぇ。そういう女と一度ヤってみたかったんだ」


 そんな山賊達の言葉に俺は苛立ちを隠せなかった。それは、アリシアも同じようで眉間に皺が少し、いやかなり寄っていた。


 そして、そんな中アリシアが口を開いた。


「一度だけ警告します。このまま投降というなら、命の保証だけはします。ですが、私達を襲うつもりなら、それなりの覚悟はしておいてください」

「けっ、誰が投降なんてするかよ。お前らはこの状況が分かっていないようだな。お前らは二人、それに比べて俺達はこれだけの人数で囲んでるんだ。護衛もいないお前らに勝ち目はねぇよ!!」


 アリシアが今にも神剣を具現化し、山賊達に襲い掛かろうとしていたが、俺は手を向けアリシアを制する。


「お兄様……?」

「アリシア、ここは任せてほしい」

「ですが……」

「大丈夫だ。それとも、俺がこんな連中に負けると思ってるのか?」

「いえ、そうは思いませんが……」

「だったら、任せてくれ」


 その言葉にアリシアは、無言で首肯すると一歩下がり、俺の後ろに控えた。


「けっ、俺らの相手は自分一人で十分ってか。舐めやがって、お前ら、やっちまえ!!」


 山賊の頭のその言葉と同時に、包囲していた山賊達が一斉に襲い掛かってくる。恐らくは、護衛の類も連れていない二人程度なら楽勝と思ったのだろう。襲い掛かってくる山賊達は連携の一つもない。

 すぐさま、七罪剣を呼び出し、そのまま山賊達に向かって剣を振るう。一度、二度、三度と振るうたび、山賊達は数を減らしていった。今の俺なら聖騎士では無い相手程度なら、一振りするだけで、間違いなく倒すことが出来る。


「なんだ!?何が起こってやがる!?」


 次々と数を減らしていく部下に、山賊の頭は焦り始めた様だ。この程度の連中を相手にするなら、魔力を使う必要すらないだろう。


「さて、最後はお前だけだ」

「くそがっ!!」


 最後に残った山賊の頭の元へと向かう。自分の部下があっという間に全滅した事に恐怖したのだろう。山賊の頭は慌てて逃げ出そうとするが遅い。


「終わりだ!!」


 逃げ出そうと背中を見せた相手ほど戦いやすい相手はいない。俺が追いかける速度の方が早い。すぐに追いつき、背中からサックリと止めの一撃を振ったのだった。




「お兄様、お疲れ様でした」


 山賊達を全滅させるとアリシアがねぎらいの言葉をくれた。因みに山賊達の死体は放置しておいてもよかったが、『喰らう影』で影獣を呼び出し喰らわせた。

 最初は街に首だけでも持って行くつもりだった。街に持って行くと、懸賞金が懸けられていた場合は、幾らかの金が手に入る。この規模の山賊なら懸賞金を掛けられていてもおかしくは無い。俺はその懸賞金で代わりの御者を雇おうと思っていた。

 だが、アリシアがそんな面倒な事をしなくても、手持ちの金でもかなり余裕があるとの事を言った。実際にどれ程の額が有るかと見せて貰ったら、袋一杯の金貨を見せられた。流石、公爵家の令嬢だと、その時は驚いた。

 結局、このまま山賊の死体を残しておくのも馬車を動かすのに邪魔になりかねないので、山賊の死体は全て喰らう事にしたのだ。

 馬車の御者は既に殺されもういない。御者の死体は土に埋め丁寧に埋葬した。

 しかし、馬は殺されていなかったので、代わりとなる御者さえいれば馬車を再び動かすことが出来るだろう。


「お兄様、これからどういたしましょうか?」

「……俺が御者をやるよ」


 一応奴隷だった時に馬車の御者をする事があった。本職に比べれば拙いだろうが、それでも、いないよりはマシだろう。次の街まで俺が御者をやればいい。その後、次の街で代わりとなる本職の御者を雇えば問題ないだろう。

 そのまま俺達は次の街まで向かうのだった。

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